海に住む、うるさいスライム
海辺の町に来てしばらく経った。
その間にわかった事だが、この街は4つの区画にわけられ、それぞれの区画に自警団がいるようだ。
しかしギルドのある区画に住居を構えた僕らは、ホデイルさんが団長をしている自警団との交流があるのみで、他の区画の人たちとは交流がない。
シルエットただ一人を除いて、彼女は自警団とギルドの合同の会合に行き、朝帰って来てパンプスを脱ぎながらーー。
「今日は、自警団の団長全員を潰したわ! アハハハ」や「今日はみんな真面目に会議してたから、お店のママと誰が一番浮気しなさそうかって話してたけど、サルメスは結構浮気しなさそうって結果に達したわ。後、これ討伐の進行表」
そう飲みニケーションが全然駄目な僕らに代わり参加し、パイプ役してくれる。人当たりの良さが人気となって、ギルドなどではシルエットは元気? 聞かれる事も多く。頼り気になる存在だ。
そんなわけで初めて異世界の街の人々の身近で、暮らす生活はなんとかうまくやれている。
そして僕らの今いる区画には大きな港が無いが、海に面した海岸に小さな砂浜と船着き場はある。
その小さな砂浜に、この季節にやって来るという海のスライム達の退治が、今回の僕らの選んだギルドクエストだ。
それにしてもクエストはなかなか減らずに、いつになったら旅立てるのか見通しがまだ立たない。しかし港町と言う事もあって、少しだけ狐の里についてわかった事があった。
どうやらフィーナが去っただろう年の次の春あたりから、狐の里の狐達の一部が、こちらの世界の人間界へと移り住んでいるようなのだ。
魔界へ渡る前に、まず彼らに狐の里について、事情を知った方がいいだろう。しかし事情を知って、フィーナが今すぐにでも、狐の里に行かなければならないと言い出す可能性が、僕には怖かった。
「やっぱり魔王を、先にするべきか……」と、思い悩んだりかげながらしていた。
それについて気になって、フィーナにこの事を伝えた。彼女は静かに「そうですか……」と、呟いた。
もしかしたら彼女は人間界へまで、場所を移したとはわからずとも、狐の里の人間が一部、里から出てしまった事自体は知っていてのかもしれない。そしてただ気に病む事しか出来なかったのかもしれない。
話は少しそれてしまったがそろそろ、スライムがいるというの海岸線へと着きそうだ。
だが、いつもちょうっとお話の多いウンデーネは、今回の攻略メンバーに居ない。
きっかけとなった僕らの話しは、こんな風に始まる。
「ここの海辺のスライム討伐が、今回のクエスト目標なんだけど何か知っている?」
「赤いの?」彼女は首をかしげる。
「うん、赤いの」僕は彼女と反対に、首をかしげた。
「情熱の赤いスライムは、ちょっと好きじゃない。うるさいし、うる
さいし、うるさいから」
「なるほど……、じゃ今回はウンデーネはパスで」
「主様もパスした方がいいよ。うるさいし、うるさいし、うるさいから」
「まぁ、うるさいから退治しなければならないって事で、うるさいのは仕方ないよ」
「ウンデーネは、伝えたからね」
と言う具合に、なんか赤いスライムと聞いただけでウンデーネの機嫌が悪くなったのだ。
そんなわけで今回のパーティーは、フィーナとぬいぬい、オリエラだ。事務組は事務仕事で忙しく、今回はパス。
……一応来たシルエットは、凄いバカンスルックでパラソルの下で座って居る。その横で不機嫌な顔で顔で座っている。たまには一人で自由気ままにいろいろやっちおうと思っていたのか、事務組が行かないと聞いてなら行くと、彼女は言い出した。
どうやらスライムたちは、水辺で体を水につけるか、魔法を使うと来るらしい。
砂浜は理攻撃はやりやすいのだが、ぬいぬいの精霊系の魔法では狭すぎるって事で、桟橋を中心として移動しながら、まずやろうって事になった。
「うんだば、行くぜよ!!」
「真面目にやれ――!」速攻、ぬいぬいに怒られた!?
……仕切り直しで、「では、行きます!」
「「はい!」」
雷の魔法を作り、投げるモーションをする間に、海から飛び出したスライムに抱え込まれた形で、奴が出て来た方とは逆の水面に落とされる。
――は!?
と、思っている間に、僕を中心として海面がどんどん赤くなるのだ。見えるすべてが赤く染まり、めちょねちょばりばり音がうるさい。
上に見える太陽が、どんどん赤く染まり湾曲して歪む、なんとか水面の上へと片腕を上げるが精一杯だ。
息が出来ない……。
右手の薬指が、熱を持っている様に感じ、痛い。
今際の際に見た風景……。
「本当にうるさ――い!!」 「もう黙って! 静かに!」
ウンデーネのガチギレ…………。
彼女は僕を羽交い絞めにし、彼女のお陰か僕らの周りに空気が出来ていた、海の世界はもの凄く赤くグルグルまわっている。
どれくらい回っていたかわからない。海の中に出来た即席台風の目の世界は、今や青く染まり、そしてゆっくりと僕を足元から水につけていく。
「ウンデーネありがとう……」
「だから言ったでしょう! うるさいって、もう! 主様は、私が居ないと何も出来ないんだから」
ウンデーネは、最初僕に怒るが、自分の言葉で機嫌が良くなり、結構笑顔で僕を砂浜へと連れて行ってくれた。
しかし彼女は、「私が居ないと何も出来ないんだから」と言う自分の言葉を、大変気に入ったらしく。思い出しては日常生活で、言う様になってしまったのだった……。
続く
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