ソイルドソレルの街のギルド長のサルメス
新しく降り立ったばかりの街、ソイルドソレル。
賑わう人だかりと、ひっきりなし行き交う幌馬車。
そんな街の道を『大蛇の牙』のメンバーの一人を、魔法のツタでグルグル巻きにして、そのツタの先を持って歩く。
たぶん彼の名前を知らない者でも、彼の左手にほられた大蛇の刺青の事については知る人は多いのだろう。皆が彼の姿を見て顔色を変える。
ーーしかし、僕でも見ず知らずの人が彼の状態なら、僕でも顔をそむけるので、彼の所属している組織の規模には未だに曖昧のままだ。
僕と関わりを持った少年に、ギルドまでの案内役を頼む。その親と妹には、「自警団か、ギルドへ人通りの多い道を使い、今すぐ駆け込んでください」絶対に戻って来るな。と、強く言い先に家から追い出した。
そのまま彼らの私財を確保するため、彼らの家に残り待ち伏せも考えたが、炎をかけられれば結果は同じと家を出た。そこまではいいがこんなに目立つとは思わなかった。
しかしここまで来てしまった以上仕方がない。勇者パーティー全員の安全をふたたび確認するまで、気を抜かぬようにいくのみだった。
東洋人であり、勇者てある僕の素性を探るのは容易い。僕が移動している今でも、相手が動き出す可能性はあり、僕の仲間たちなら多分大丈夫だろが、絶対はないだろう……。
「出来たらもっと早く歩いて」
そう言いながら、僕は少し彼を引きずるように歩く。
「こんな所で、早く歩けるかこんちきしょう」
悪態をつく男の歩調に、最低限合わせるが、それは相手が転ばない程度でしかない。苛立つ時間は、少年の「あそこがギルドだよ」という声に一旦終わった。
しかしすべてを終わらすのは、まだまだ時間がかかりそうだ。
?
ギルドの奥へと通されると、ルイスたちと少年の妹と母親が先に着いていた。
僕たちはそのままいかにも、海の男という感じの、ギルドマスターのサルメスと面会する事になった。
「街に来るその日のうちの内に騒ぎを起こすとは、さすが勇者様と言ったところか、おもしろい。俺が、サルメス。このギルドのギルドマスターだ!」
「勇者を名乗らせて貰っている草薙ハヤトです。よろしくお願いします」
彼は僕の手を握りぶんぶんと振りながら、握手するとその手をほどきながらすぐ僕の関わった今回の案件へと会話を移した。
「では、本題に移るがお前の捕らえた男は、『大蛇の牙』の一員だ。でだ、勇者様はそいつらをどうしたい?」
サルメスもレンさんと同じで、僕をはかりにかけて見定めようとするもの言いをする。それがこの世界で偉くなる人物の特徴なのか、それともただの偶然かは、僕にはわからない。
「僕は、この街へ来たばかりで、何も詳しく知りません。今までの常識で悪として連れて来ただけです。だからいろいろ『大蛇の牙』の情報が欲しいです。今回捕まえた男の仲間を、捕まえる事は出来ますか?」
「容易くと言わねえが、その予定があり、その予定にあるパーティーを引き入れる予定はあった。しかしそのパーティーについて、様子を見る必要があった。しかしそこのリーダーが下っぱ連れてやって来た。質問は?」
はぁーー。僕は、体を曲げ息をはいた。
「このギルド所属のヴァリスさんは、『長旅でお疲れでしょう』と、今日ギルドクエストの休みを推奨されてましたが?」
「悪い話は変わった。時間をおくとあの少年の家が見せしめに、燃やされる事も考えられる。もう、質問はないか?」
「うーーん、質問ではないのですが、今回の案件について、ギルドクエストとして正式にオファーを出してください。そうでないのなら僕はなんとしても仲間の足止めをします。なんの保証もない魔界へ付いてきてくれる仲間に僕が出来る事はそれくらいと教わってホイルトツェリオを出てきました」
「レンか、あの夢ばかり追って自分をかえりみない、あの女はまだそんな事を言っているのか……で、あいつの仕事量は減ったのか?」
「いや……、減ってないですね……」
「なら、今度会ったらお前も、あいつがぶっ倒れるまで戦いを挑め。戦いの傷を癒すついでにいろいろ診て貰える。ようはあいつを休ませろいいな」
「わかりました」
「おうおう、約束だ。勇者様絶対果たせよ」
そうサロメスは、僕の手を力強く握った。彼は僕が魔界へ行く事を知っているのに、やっと旅立った街の約束をさせる。
正直言って彼について変な人だと言う感想だった。
「話はもとに戻りますが、彼らの仕返しについてははどのレベルと考えていいですか? 逆恨みし収容所を破壊して、味方を助け出す様なグループなのか、そういうところを詳しく聞きたいです」
「破壊するようなグループだったらどうする? お前はまだ目の曇りがない、まだ人を殺したことはないだろう? だが、この街のためだけに、人を殺すのか? お前が、縁もゆかりも無い人間たちをだ」
「そいう事は考えた事はありますが、例えば低級のギルドクエストに連れて行き、死んだら死んだにするとか……、そのボスの家に乗り込んで改心するまでただ、食事を落とし続けるとか」
「落として改心すると思うか?」
サルメスは、僕の答えにまゆげを八の字にして僕に質問した。
「わかりません……相手の尊厳がなくなるまでただ落とし続ければどうにかってところでしょうが、そういう場所で育った人間には聞かない方法だと思うので、今度は寝ない様に、布団から叩き落とし続けるかもしれませんね」
「お前は、弩級の馬鹿だな。だが、おめでとう。今回はそれはしなくて良さそうだ。やつらはまだ出来たばかりのグループで、こちらとしても自警団と連携をとる事も後回しにするような雑魚ばかりだ。だが、勇者が絡んだ事で、あいつらのランクが上がった。だから、今自警団に人を行かせた。早くするとあいつら今晩は留置所で眠る事になる。とりあえずお前は来たばかりだ、ゲストハウスで少しは休め」
「でも、自警団と手を組み僕ら待ちだった。って話は?」
「だいたいお前と同じ理由だ。しょうもないアホので部下を危険にさらすくらいなら、なる物入りで加入するパーティーと手を組、楽に倒したい。というわけでよろしく頼む」
僕らの商談は成立した。そして彼に促され、僕達が席から立ち上がった時、ものすごい音が受付の方からした。僕達がドアから出ると馬車が窓ガラスにつっこん炎をあげている。しかしまわりの冒険者達は馬を外すと、面倒くさそうに魔法でその馬車ごと土の魔法で粉砕してしまった。
「怪我人の救助を早くしろ!!」
「馬の治療をしてやれ」
怒号が飛び交うが、怪我人も偶然いた冒険者に治療されていく。死人が居ないのを確認すると、ギルド長のサルメスは笑いながら言う。
「おもしろいあいつ等はギルドと大戦争を起こすつもりらしい、ならあいつ等がどれだけ惨めで弱々しい、牙の無いヘビなのか教えてやろう」
「いや……これは全然笑えないでしよう……」
「まぁそう言うな勇者様まで登場する祭りはそうない、楽しくなるのも仕方ないだろう?」
「そんなもんですかね」
僕のこの街の1日目は、まだまだおわらそうだ。
つづく
見ていただきありがとございます。
また、どこかで!




