旅立ちの祝福
僕達はこの国を出る為にこなさなければいけないイベントが、今のところ3つある。
それについて助言を求めたところ、ルイスと聖女ルナの勧めもあり、まずは教会にて祝福を受ける事になった。
レンさんから受け取った書類には『ギルドからも、教会へも連絡いたします』とは書いているが、ギルド職員の手間を省く為、ルナのつてを借りる事になった。
その日の朝、ルナは僕たちの家でて教会へ、いつものように出向くと夜遅く帰って来た。
「明日、儀式を行えることは早々に決まったのですが……、その後教会の運営する病院や孤児院を回ったら、つい……」と、彼女は可愛らしく恥じらいながら言うが、聖女ルナ様お前も夢中で働いてしまうタイプなのか!?
と、言えてしまえれば、すべての仕事の世界は白く漂白されるのかもしれない。
世界の黒さに翻弄される。僕らの後ろを、ぬいぬいが通る。
彼も彼で旅立ちの日まで、古代魔法を復活させるべく、最近、日夜研究している。なので、僕とルナは、標的をぬいぬいに変え、彼に寝る様に説得や回復魔法をかけに彼を追い回すのだった。
★☆★☆★
朝、鳥たちの歌声が聞こえ、窓から入る光は眩しい。
あの後ぬいぬいを無理やりベッドに寝かせたが、彼はちゃんと寝てくれただろうか……?
朝の支度を済ませ、ダイニングルームに立つ。
はい! 寝てませ――ん! ぬいぬいが、昨日より濃いクマを作りながら、もうろうとしながら歩いている。
「ぬいぬい、回復の魔法をするから少し座って」
「ちょっと待て! 今の研ぎ澄まされた意識でないと、新しい魔法のヒントが生まれない。これでいいんだ。むしろ今の状態でなくてはならない」
そう言って聞かない、レンさんを叱ったぬいぬい帰って来て……。
その後の馬車に乗り込み、教会へ行く短時間の間もうとうとすると、飛び起きて手帳を片手に何かぶつぶつ言っている。
「仕方ないですね……もうすぐ教会へ着く。今すぐには難しいですが、ハヤト安心してください、彼は後で落としますよ」
ルイスは、優しい笑顔で言った。落とす……?
そんな不穏な発言も発せられながら、馬車は教会の本部へと辿りついた。
高らかに鐘がなり、僕たち一行は大聖堂のシンボル前に通され、人々の期待を一身背負いながらそこに立っていた。
教皇の祝福は聞きやすく、そして落ち着いた声だった。
そしてガクッとぬいぬいが眠りに落ちる。さすが、戦いに生きる僕達、瞬発力で彼の脇に手を通し彼を受け支える。
オリエラとフィーナが、僕の手を隠す為ぬいぬいの両脇を隠すように立ってくれた。
丁度、教皇が勇者の絵について話をしている途中で、みなそちらの絵を見ている時でよかった……。そうしてぬいぬいの意識は、儀式が終わるまで戻る事はなかった。
そしてやっと目を覚ましたぬいぬいは、どうやらやっと古代魔法の解読のヒントを得たらしく。神の啓示とか言ってたが、たぶんいっぱい寝たおかげ。
帰りの馬車の中でルイスから、相手を眠らせる睡眠魔法のスクロールを貰った。
「魔物へ攻撃魔法にも使えるらしいので、使ってください」
いや、魔物にしか使わないやつだよ、これは。
☆
召喚の間からこの地に降り立った僕。そして畑に続く道は、何度となく歩いた道だ。
僕は明日には異世界に降り立ち、初めての国を、旅立つ事となる。大豆畑は、今日焼き払った。帰り道の出たスライム1匹は、もはや楽な敵となった。
玄関前のシルスさんは、「僕も今日祝賀パーティー出席しますが、これでしばらく会えないのですね……」そう言ってくれた。
「本当にいままでお世話になりました」
僕は、魔界に暮すかもしれない。ここに戻って来ても勇者の間には、もう住まないだろう。 もう一度ここ戻って来るなら、仮住まいではなくここへ根を張った生活をしたい。そんな風に思う。
あと少しの時を惜しむ様に鍵を解除し、扉を開ける。開けてびっくり別れを惜しむ我が家は、クリスマス化していた。
ところ狭しとプレゼンとの箱が、並べられる。
「主様、これ見てフフフ」
ウンディーネが、シフォン生地が、ふんだんに使われたブルー地に白のさし色が入ったマーメードドレスを着ている。
「可愛い!」ウンディーネは、ふぁふぁで、水の中の妖精の様だ。
「「イェーィ」」パチン、僕とウンデーネとでハイタッチ!
「ってどうしたんだウンディーネ!? これ」
「うん、わかんない」
「そっか……わかないか……、これからはわらないドレスは、勝手に着てはいけません。ウンディーネ」
「わかった」彼女は、力を込めて頷いた。
プレゼントの箱をかき分け中に入って行くと、ダイニングで紅茶を飲んでいる、シルエットが居た。
シルエットは、シックな赤色のドレスで、肩と胸元が大胆かつふしだらではないラインを極めて露出されている。
手には長めの手袋を付けて、髪は横で真珠の飾りでまとめられているようだ。。
彼女の艶やかさや色っぽさが香り立つ様だ。
「あら、ハヤトじゃない? どうしたのに惚れちゃった? でも、こっちはもっとなのよ」
彼女が立ち振り向くと、背中はあらわになっている。俗に言う、殺す系の洋服だ。
「詳しくは、言いませんが、純朴の青年達を殺しにきてますよね?」
そうは言っても彼女のドレスは多くの布によるドレープが作られて、上品に体のラインを出す事に成功している。異世界の匠グッジョブ! なのである。
「まぁ、私が落とす男は特別な男だけだけど……、そう言われて悪い気はしないわ、合格」
僕は無事合格した様だ。ウィンクされながら、エレガントに指をさされた。
「ところで、どうしたんですか? そのドレスは?」
「あぁ、オリエラのお父様のアニス王かららしいわ。ところで、気にならないのフィーナのドレスが?」
「あっ! 行ってきます!」
僕は、2階へ駆け上がる。気持ちは、高揚しドキドキは収まらない。
「まだ、話の途中なんだけど……」
階段を駆け上がると、オリエラが居た。
全体的にレースをふんだんにつかったバレリーナのチュチュに似た作りになっている。そこにシフォン生地等で露出が少ないようにされている。
ミニスカートの上に、くるぶし丈まである一枚のシフォ生地がミニスカートを覆って、前側で布はしが重ねられ、そこから歩く度、覗かせる足が少女ぽさを演出しているようだ。
女の子の可愛らしさのふんわりした雰囲気と女性らしいボディーラインを出す努力のせめぎ合いの落としどころを探った作りになっている。
「オリエラ、ドレス凄くにあっていね」
「そうかな? 魔法学校の制服は、ズボンばかり穿いてたから着なれないというか、自分が自分じゃないみたい」
「でも、君の事を一生懸命考えて選ばれたドレスだと思うよ。ぬいぬいにも聞いてこればいい」
「師匠か――恥ずかしいなぁ――、うん……じゃぁ行ってくる」
「いってらっしゃい」
「ハヤト、褒めてくれてありがとう――!」
階段を駆ける音、でも、その音はすぐゆっくりとした足音に変わる。若いっていいなぁ……。
フィーナとシルエットの部屋をノックする。
「はい……」
彼女が、顔を覗かせる。
「ハヤト! どうぞ中へ」
「えっと女の子が一人だけの時は、部屋へ入るのは遠慮した方がいいかな? っと最近思って……準備が、出来たらしたへエスコートするよ。まぁただの1階へだけどね……」
そう言うと僕は頭を掻きつつ、ポケットを探る。
そしてありえない過去を思い出した。
「僕の携帯は、向こうの世界で破壊されてた!!」
僕は力なく座り込み……体育座りをした。美しい彼女の驚き、引かれようと……それをしなければ乗り越えられない時がある、それが今回は体育座り。
「ハヤト大丈夫? 携帯に大事なものが入っていたんですか?」
僕の彼女が西洋のお姫様の様な淡いピンクのドレスで、あくまでも上品であり可愛い、上等なレースを幾重にもつかったドレスを着ているのになんたる事……。
「大丈夫……写真は、取れないけれど絶対に覚えているから、今日の日の事を……」
「写真撮りますか?」
「撮ります!」
写真は、撮った。たくさん撮った。さっき女性の部屋へは一人の時って言ったけど、夜景も撮りたいから入って撮った。
わぁ――い!
続く
見ていただきありがとうございます!
また、どこかで。




