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 命を見極める

 廃虚の城からの帰り道。


 猫の爪の様な細い月と、数々の星たちが僕らを追いかける。深い森の中に入ると、森が音を吸収する世界かと思ったが……、そうでは無く、鳥がバタバタ飛んでいたりうるさい。


 梟やミミズクだろか? 本当に心臓に悪い。


 僕らは廃れてしまった城での数々の戦いを終えて、幌馬車に乗って街へと向かっているところだった。


 深夜の戦いによって疲れていたがやはり、夜道を進むのにも前方と、後方に見張りはいる。

 聖女ルナ、彼女はある意味、僕らには正式に所属していない。


 彼女は自ら教会の最表に立ち活動している。教会のボランティアであったり、病院への訪問だったり。


 そういう部分については彼女は割り切り、休息にいつも勤めるのだが……、今日はいつもより元気がなかった。


 先程の戦いで、彼女と一緒にネクロマンサーを倒しに行ったぬいぬいの横へと僕はすすむ。


 仲間はちゃんと皆、寝相が良く容易に進む事が出来た。



「ルナ、彼女は少し元気がない様ですですけど、どうかしましたか?」


「別に救えない命があっただけだ。よくある事で、気にする事じゃない。そう言ってもお前は行くんだろ? 行け、行けそして泥沼にはまって来い」


「そんなひどい」


「本当の事だろ?」


 そう言ってにゃりと笑って、帽子を目深(まぶか)にかぶり「おやすみ」言って眠りについた。


 難しい話しだが、とっかかりは掴めたかもしれない。


「ルナの所まで行くの?」

 不意の声に驚くと、「う――ん、ハヤト姉弟子です」


「クックック」暗い中、不意の声は見分けがつかないと思ったのだろう。不意の姉弟子宣言に思わず笑ってしまった。


「行って来ていいよ」

「何かあったら、フィーナかルイスを頼って、たぶん……この2人はタヌキ寝入りだから」


「むぅ……」フィーナの声は聞こえたが、さすがルイスは声も出さない。本当に寝ているのか? まさか?


 彼女は、考えたい事があると言って御者(ぎょしゃ)の隣に座って、見張りをしている。僕は荷馬車の後ろの仕切りまで来ると、「よいしょ」と言ってそこから飛び降りた。


 何人かに、僕の名前を呼ばれたが、手を振って答える。そこから走って御者とルナの座る前へと走って行き、ゆっくり出来るだけ馬を驚かせないように前の椅子に上がり込んだ。


 まぁ結果的に、御者とルナに叱られ、呆れられる事となったが……。


「本当にすみません」


「これからは危ないので、絶対やめてください」


 二人からそんな事を言われたので、静かに座って居た。聖女ルナは、やはり何かを深く考えているようだった。


「ルナ、貴方が、考えているのはあの城のネクロマンサーについてですか?」


「そうです」


「それは彼を貴方が、救えなかったから?」


「もしかして、ハヤトそれを聞く為に、危険な真似ををしてここまで来たのですか?」


 彼女の声から呆れたって気持ちに、しょうのない無い人っという気持ちを込めた笑いを感じられた。希望的観測だが、うん。


「そうなんだ。凄く、そうなんだ」


 僕は嘘ぽい感じで2回そう言った。


「そうですか……。でも、心配に及びません。私が今、考えている事はルーティンワークにすぎません。ヒーラー特に、蘇りの魔法を使う聖女と言う職では、人の命と毎回深く関わり、命を選定する事も少なくありません。そのため毎回、一定の時間を設け、その日触れた命について考える様にしているのです。そうすれば命を軽く扱う事が無くなり、次回の成果につながると考えているからです」


「それなら邪魔してしまいましたね。すみません」


「まぁ、それは少しもないとはいいませんが……。でも、その行いを誰かに知っていただくのは大切な事です。一人ではいつか私の中で、命の基準が歪んでしまうかもしれません。その時は是非、教えてください。特にこれから向かうと言う魔界では、善良な者でもの魔物であるだけで、切り捨てなければならないかもしれません。善良な者が、禍を呼び覚ます糧になる。そんな事も考慮して考えていかなければいけません」


「そうですね。種族が違えば考え方は全然異なりますよね……。その時どうしたらいいか一緒に考えていきましょう。そしてその時間が終われば僕らとぱっと遊びましょう」


 そこで彼女は少し微笑む。天使の笑み。


「でも、それでは遅いのです。戦況は刻刻と変わる事でしょう。ですが、私も伊達に聖女として、今まで生きてきたのではありません。なので、戦いの初動の生き死には私にお任せください。ですが……その基準が少しでも間違っている様ならお教えいただいて良いでしょうか? と言うことです」


「わかりました。その時は絶対言います。貴方の公正さを損なわせません」


 そう言って僕とルナの話は終わった。その時、朝日が昇って来た、とか言う綺麗なおわりであったら良かったのだが、そんな事はなく。


 僕はその後、眠気と御者の席から落ちる恐怖に戦いながら、残りの道を過ごしたのだった。


 続く



 

見ていただきありがとうございます!


また、どこかで

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