16 屋内プールへ
こんにちは。こんばんは。
この作品は、性的描写。不適切。不快な表現が多量に出てくると思われますので、お読みになる方はご注意ください。
あと、ご容赦ください。
最後までお楽しみいただけたら、幸いです。
男女共用のトレーニングルーム・・・スポーツジムなどの器械が取り揃っている施設の一室が、普段は男性用ルームに居るはずの方々で満員である。という話を聞き、私とリザドラルさんは『屋内プール』のエリアへと目的地を変更した。
共用のトレーニングルームが満員であるということを教えてくれた『イデスバリー・ドラゴニッカー』さんと『イデスバリー・ドラグナーレ』さんの二人とは、屋内プールエリアの入り口で一度別れた。
トレーニングルームで汗を流すつもりだった二人は、変身していない人間時の姿であるため、タオルや着替えなどを持っており・・・それらを預けるべく更衣室へと立ち寄っている。
あと、エリア管理事務所で借りるモノがあると言っていた。
そういうことで、私たちは一足先に屋内プールへと足を踏み入れる。
「そ、想像以上に広いですね・・・」
社屋内だというのに、テレビなどで紹介される夏のレジャー施設・・・というか、遊園地が丸々一つ収まってしまいそうな広さがあると思える。
「すごいやろー? 異世界人の空間拡張技術で、まさに遊園地並みに広いんよー・・・ま、正確な数値は知らんけどー」
知らないんだ・・・。
「んでも、これでまだ序の口らしいんなー」
「この広さで序の口なんですか・・・」
異世界技術って本当にどうなっているんだろう?
一つ、間違いないのは・・・地球侵略が実現していたら、地球人類は為す術などなかっただろうということ。
技術レベルが段違い過ぎるもの・・・。
私は、改めて周囲を見回してみる。
学校などで見かける・・・見慣れたプールが五つほど並んでいるのが、施設に入ってすぐのところにあり、人はまばらだけれど普通に泳いでいる人が見える。
プールサイドでは体操やらヨガのような事をしている人も見えるので、ただ運動するだけを目的にしている人が利用しているのだろう。
他へ視線を移せば、高跳び台とかアーティスティックスイミング用プールなど、世界スポーツ競技大会などで使われるような施設も見える。
また、レジャーでは定番のウォータースライダーもあるようで、私は目が輝くのを止められない。
「にゃははー。アスレチックプールもあるやでー。水上に足場があって、これと伝いながら障害物を乗り越えてゴールをめざせ。的なバラエティ番組でありそうなものもあるし、流れるプールでも数種類。あとは世界的有名な忍者アスレチックもんなー」
そ、そんなに揃っているんだ・・・でも、話を聞くだけでも身体はしっかりと鍛えられそうな物ばかり・・・。
トレーニングルームが使えなかったのは残念だけれど、まだ本格的な訓練が未定となっている私には、遊びながら体を鍛える。という屋内プールは理に適っているのでは?
今日一日で、すべてを回ることはできないでしょうけれど・・・数日掛けてしっかりと遊ぶ・・・いえ。トレーニングして行けばいいわけですし!
「おや? ナイトメアさんではありませんか!?・・・あー。あとリザドラルくん」
ラナタスカさんの声が聞こえたので、そちらに視線を向けると・・・五つ並んでいるプールの一つからロボット系戦士の方が一人、プールサイドへ上がって来てこちらに近寄ってくる。
・・・頭にはモノアイゴーグルと、戦闘機のパイロットが被るようなヘルメットに付いているホースが胸の分厚い装甲に接続され、なんだか亀の甲羅を被っているような姿をしている。
背中にはジェットエンジンみたいな形状の筒が装着されており、その割には脚や腕などは特に増加装甲というモノを確認できない。
「えーっと、ラナタスカさんですか?」
近づいてくる亀の甲羅みたいな外装を被っているロボット系戦士の方に確認をしてみると・・・。
「はい。ラナタスカです・・・すみませんね。私の環境別戦闘衣装『水着』は水中戦闘での機動力と防御力を重視した外付け装甲タイプでして・・・」
と、言いつつ・・・頭の顎下辺りに手を入れて何かを解除すると、ガパッと頭部ヘルメットが開いてラナタスカさんの顔が露出した。
「あー。やっぱりラナタスカさんだったんですね・・・それが、水着なんですか?」
「そうなのです。コレが私の水着でして・・・ビームとか歪めて曲げられそうな外付け装備だというのに、水中専用なのですよ」
???
「ラナタスカ先輩。そういうネタは、ナイトメアちゃんには通じないっすよー」
「おや、そうですか・・・」
あ、何かのネタだったんだ・・・すみません、分からなくて・・・。
「まぁ、私の装備は前世の趣味全開なので、ゴテゴテしてしまうのも仕方ないのかもですが・・・もう少しカワイイ水着だと嬉しかったのですよ」
あぁ・・・前世の『趣味』『嗜好』『性癖』が反映される以上、仕方ないですよね。
「ま。前世が男性だと、ありがちですもんなー。転生して女性になったけど、変身したら男型スーパーロボット系戦士になるとか・・・俺的には羨ましいけんどー」
あ、確かに・・・変身時の姿がどう見ても男性型のロボット系戦士な女性が数名いるけれども。
「私はまだマシというのは、分かっているのですよ・・・彼女たちは『サ〇ライズ立ち、お願いします!』とカメラを向けられたりするぐらいには、別方向で敵に人気がありますからね・・・」
・・・。
・・・たぶん『イデスバリー・ゴオランガー』さんかな? いや『イデスバリー・ホウオウオー』さん? もしかして『イデスバリー・ヴァルガシオン』さんかも・・・。
該当しそうな方がそれなりにいるから、絞れない。
あと、その逆で男性に転生したけど、変身したら魔法少女系を始めとした女性型戦士に変身したっていう方も結構いる。
シェルさんが言うには・・・ちゃんと説明はしたのだけど、高齢による弊害があったのかもしれない。とのことだった・・・。
「ところで? トレーニングルームを使うと聞きましたが、なぜプールに?」
「え? あ、いえ・・・リザドラルさんと一緒に移動していたら、共用ルームは満員だから。と教えていただいたので、こちらへ」
私とリザドラルさんがトレーニングルームを使うという話は、お昼を食べていた時の約束であるため、誰かに話したわけでは無いのだけれど・・・。
誰かに聞かれていたのが、広まっているのだろうか?
「あー・・・なるほど。私も、最初はトレーニングする目的でそちらへ移動していたのですが、男性用ルームから共用ルームの間で男たちが騒いでいたので、屋内プールに来たのです」
男性方が騒いでいた?
「その際に『ナイトメアちゃんが来るのは、本当なんだな?』と、数名が確認するように大きな声を出していたので・・・まぁ、目当ては察しがついたわけですね」
その目当てが、私ってことですか?
え? なんで?
「なぜ、私が来るのが本当かどうかを確認していたのでしょうか?」
「あなたと仲良くしたい。と考えている男性は多いですよ。なにせ、リザドラル君との仲が良好ですからね」
「リザドラルさんとの仲?」
私は、確認するようにリザドラルさんへ目を向ける。
別によくあるトカゲ怪人な感じだけれども? 特別に気持ち悪いデザインをしているということではなく、トカゲの特徴が良く再現された怪人だな。ってぐらいの印象ですが・・・。
特に何が問題なのかが分からない・・・と、首を傾げていると。
「ま、アレやねー。俺ってば爬虫類な上に怪人系じゃん? あんま好かれんのよー。キモイってよく言われるんだわー」
ああ・・・なるほど。
確かに、爬虫類が苦手だという人は多く居ますよね・・・蛇とかなら、私も怯んでしまいますけど・・・ときおり見かけるトカゲの類なら、特に気にならないですし。
それに、よく見ればどこか愛嬌のある顔をしていますし・・・。
「昨今のイデスバリー戦士は、獣人系が最も多いですが・・・次点で怪人系が多いんですよ。そのせいで、生理的にムリ。という女性も多い中・・・ナイトメアさんはリザドラル君と恋仲になっているわけですからね―――」
「こ、恋仲ッ!!?」
ラナタスカさんの言葉に、私は『ギョッ』とする。
唐突な言葉に驚いたまま固まってしまい、なんと言えばいいのか分からずに呆然としていると・・・。
「ん? お二人は恋仲なのでは?」
「いんやー? 別にそういうお付き合いはしてないっすなー」
リザドラルさんが否定してくれたので、私は首を縦に振って肯定することしかできなかった。
ただ、顔が真っ赤になっているだろう事が分かるぐらいには、頬が火照っている。
「あー。そうでしたか・・・なるほど、男子らがチャンスはまだある。と燃えるのも分かりますねぇ」
「チャンス!?」
え? え? どういうことですか!?
「そもそも、なんで私とリザドラルさんが、こ、恋仲だと?」
「なんで?と問われましても・・・」
ラナタスカさんが、少しばかり困ったような様子でリザドラルさんを見る。
私も、ラナタスカさんの視線を追うようにして、リザドラルさんを見れば・・・あの映像で見た『きょとーん』とした顔で首を傾げていた。
ぽ、ポーカーフェイスになっているということですね?
「おい、リザドラル」
声を掛けられ、私たちはそちらの方へと顔を向けた。
更衣室へ立ち寄って、エリア管理事務所に立ち寄っていたドラゴニッカーさんとドラグナーレさんが、イデスバリー戦士に変身した姿でこちらに近づいて来ていた。
ドラゴニッカーさんは、昨今では珍しい人間型の戦士さん。その姿はファンタジーなどで見られる鎧甲冑姿だけれども、竜を彷彿とさせるデザインであることから『竜騎士』をモチーフにしていることが一目でわかる。主な武器も投擲で使われる形状の『槍』であり、全体的にヒーローチックにまとまっているので、正直にカッコいい人だ。
ドラグナーレさんは、竜と人の融合した姿をした竜人戦士。イデスバリー・フェニックスさんと同じで人間ベースの竜人であるのは見て分かり、竜の鱗と人肌が絶妙な配分で混ざり合っているため、とても美しく見える。武装は、軽鎧と篭手に脛当て。また、短剣を・・・背中に二本。腰に二本。脚に二本と携帯しているけれども・・・六刀流?ってことなのかな?
どちらもファンタジー系の戦士であることは間違いなく、竜をモチーフにしていることでカッコよさは段違いの美男美女。ヒーローショーなどで出てくるなら、間違いなく子供たちから大人気になること間違いない。
そんな二人が隣り合って歩いている姿は、まさにベストカップルと納得できる。
「ほら、管理事務所から記録用カメラを借りて来たわ」
一眼レフのデジタルカメラ?と思われるモノをリザドラルさんへと手渡すドラグナーレさんは、周囲を見回してから、ラナタスカさんを見る。
「なるほど、ラナタスカが居てくれて助かったわ」
「いえ。私は特に何もしていません」
「そんなことはねぇよ。お前さんのバズーカは、怖いからなッ」
三人が親し気に話しをしている様子を見つめ、私はラナタスカさんが爆破系攻撃を得意としている事を思い出す。
周囲を確認すると、次第に人が集まり始めていることに気が付いた。
・・・え? どうしたんだろうか?
「ところで、ナイトメアさん」
ラナタスカさんが、何やら銛を積載したライフル銃みたいなモノを取り出すと、コレを周囲に向けて構えつつ、私に話しかけてくる。
「はい!?」
武器を構え出して、それから名前を呼ばれたので驚きに身体が強張った。
「環境別戦闘衣装への変更手順はご存じなのでしょうか?」
「い、一応・・・シェルさんから座学で習いましたが・・・後日、訓練時にやってみるのがいいだろう。とのことで・・・」
その場では確認のために衣装変更をやっていない。
「とのことですが? どうされますか?」
私に、ではなくて・・・ドラゴニッカーさんとドラグナーレさんに対しての言葉みたい。
「そうだな・・・手本も兼ねて、俺たちが着替えて見せるのがいいんじゃないか?」
「ふむ・・・それもそうね。水着に着替えるわけだし、お手本を見せましょうか」
どうやら、やり方を実演してくれるらしい。
「はい、おねがいします」
丁寧にお辞儀をしてお願いする。そして、見逃したりしないようにジッと見つめた。
「「チェンジ! イデスバリー。スイマーッ」」
二人の身体が光に包まれ、さほどの時間を経ずに泡のように弾けて消えていくと・・・。
ドラゴニッカーさんは、男性用競泳水着に薄地のジャケットを羽織った姿へと変わる。水泳帽と水泳用ゴーグルを装着しており、武器が消えている・・・と思ったら、腰にベルトが巻かれて警棒のようなモノが提げられている。
一方で、ドラグナーレさんはビキニアーマーと言われるビキニ姿をしており、竜人としての鱗と人肌が美しく映えている。さらには、程よく鍛えられた身体が、力強さも演出していて・・・カッコいい。
武器が無くなったように見えるけれど・・・お土産屋で見かける剣のキーホルダーみたいなアクセサリーが、耳のピアス。ネックレス。ビキニアーマーのボトムにキーホルダーとして付いて、揺れていた。
なんとなく、それが武器なんだろうな。ってわかる。
「と、こんな感じで着替えるんだ」
「どんな格好になるのか分からないからね・・・ここで大勢に注目されながら変身しておけば、ぶっつけ本番よりは心に余裕ができるはずよ」
・・・そうでした。
確かに、どんな姿になるのか分からないですからね・・・というか、なんだか人が集まり過ぎていませんか?
さっきよりも人の集まっている数が増えているように思う。
皆さん、個性的な水着姿をしているように思えるけれど、パッと見だけでも獣人系、怪人系、ロボット系が多い。
確かに、人間型の戦士は少なくなっているんだと分かりますね。
「・・・り、リザドラルさんは、どんな水着姿になるんですか?」
あまりの大勢から注目されていることを意識してしまい、緊張した私は心の準備をしたいと思ってリザドラルさんに話を振ってしまった。
「おれ? 俺の水着姿とか、見てもおもんないよー?」
「・・・そういや、リザドラルの水着姿とか見たことねーな」
「確かに、訓練時に見ている者もいるだろうけれど、私も見たことないわね」
「言われてみれば、私も見たことないですね」
三人の注目がリザドラルさんに集まると・・・どことなく嫌そうな顔をしてから、ため息の後に応えてくれた。
「しかたないっすなー。面白いことなんてないっすが、お見せしましょう! チェンジ! イデスバリー。水着!!」
あ、日本語でもいいんだ。
リザドラルさんの姿が光に包まれて、泡のように弾けて消える・・・あれ? 先輩二人に比べると、なんだか早いような?
そして、特に何かが変わった様子も無いリザドラルさんが、そこに居た。
「・・・なにか、変わったんですか?」
あまりにも、なんの変化も無いことに周囲も『しーん』としてしまっている。
私も、首を傾げつつ尋ねると・・・。
「服の生地?が変わったくらいやんなー」
と言うので、私はリザドラルさんへ歩み寄って、服を触らせてもらった。
「・・・これ、防水とか撥水コーティングなどでしょうか?」
「さぁ? 水に濡れてもすぐに乾くタイプの生地に変わった・・・てとこやんなー」
そんな解答を貰うと・・・興味津々な先輩方三人がリザドラルさんの服を確認しに手を伸ばしてくる。
「確かに、なんだかツルツルとした材質みたいですね・・・」
「妙な手触りだな・・・ナイロンか?」
「水を弾くタイプの生地なのは間違いないだろうから・・・ある種の水着で間違いないんだろうけど、これは・・・」
三人とも、ちょっと何と言えばいいのか分からない様子で悩んでいる。
水着と言えば、まさにプールとか水辺で活動する姿をイメージすると思うんだけど、リザドラルさんの前世さんは、その辺をイメージできていなかったのだろうか?
私とは違う意味で、規格外なのではないでしょうか? リザドラルさんて・・・。
「んじゃ、最後はナイトメアちゃんやで? そろそろ心の準備もできたんなー?」
「う・・・」
しょ、正直に言えば、心の準備は出来ていません・・・が、これ以上は逃げるわけにも行かない。
覚悟を決めるんだ・・・。
そして、私の前世さん・・・どうか、どうか変な水着だけは・・・どうか、まともな水着を。
「チェンジ! イデスバリー。スイマー」
私の身体が光に包まれ、服が確かに変化していくのを感じつつ・・・光は泡となって弾けるように消えた。
「「「「「「おおーッ!!!」」」」」」
着替えが終わったと同時に、周囲からの歓声が響く。
私は「ビクッ」と震えつつも、自分の姿を確認するために視線を下へと落とした。
真っ先に視界に入るのは胸。
ボディコン衣装の時は、大胆に開けた胸元に驚いたけれども・・・水着は首までしっかりと覆われていて、露出が減っている。
触れてみれば、確かに水着の手触りであることにホッと一息・・・どうやらワンピース水着のようで、腰からパレオスカートが巻かれており足首近くまでしっかりと下半身は隠れている。
とはいえ、スリットで片足はほぼ露出しているけれども・・・まぁ、これくらいなら。
また、厚底のビーチサンダルを履いているので、海岸などの水辺を素足で歩かなくて良さそうだ。
これは、結構まともな水着なのでは?
「うーむ。前から見ると露出が減っているようにも見えますが・・・」
「後ろから見ると大胆に背中を露出しているな・・・スゲーな・・・背中から腰まで白い肌が雪景色の様にキラキラして見えるぞ」
「ふむ・・・ホルターネックのバックレスなワンピース水着?に、パレオスカートと厚底ビーチサンダル・・・か」
「ま。服装の事は分んねっすけど・・・すごく、エッチです」
・・・背中?
自分では確認し辛い背中がどのようになっているのか?
ちょっと手を後ろへやって、手の甲で腰辺りを探ってみると・・・確かに地肌が露出していることが分かる。
しっかりと水着を改めてみれば、首から胸をしっかりと覆ってくれている布は、脇から背中は覆っていないことが分かる。くびれ辺りから後ろの方へと布が伸びているけれども・・・よく見れば、ハイレグなのでは?
パレオスカートを少し捲って確認してみれば・・・おへそくらいの位置までハイレグの切れ込みが入っており、決してまともな水着ではない事を認識した。
前世! 私の前世!! 何を考えているんですかッあなたはッ!!!?
パレオスカートが無ければ、痴女とも誤解されかねない水着じゃないですか!?
顔が真っ赤になっているだろうことは、自分がよく分かる。
ど、どうしよう・・・こんな格好で出歩くとか、ありえないですよ。
「んじゃ、記録するために写真撮るかんなー」
「撮るの!?」
あ、いや、撮るのは分っているんですが、こ、こんな水着姿を撮られるのは、どうかやめて欲しいと思うんですよ。
でも、みんなが通っている道である以上、私だけ「嫌だ」を通すわけにもいかないから。
・・・ええい!
「お、お願いします!」
直立姿勢で写真の撮影に身構える。
「あ、撮影時のポーズは頭一つ分ほど足を開いて立つんよー。んで、両腕は肩と水平になるように構えて、背筋はピシッと伸ばす感じで頼むんなー」
・・・あ、撮影時のポーズとかあるんだ。
言われた通りのポーズを取って、写真は全部で四枚。前。左右の横から。後ろ。となる。
「うん。綺麗に撮れたんよ」
最大の山場を越えた。そう思った・・・。
「じゃ、次はパレオスカート?を脱いだ状態で撮るんよー」
「撮るの!!?」
そ、そそ、それだけは!
思わずパレオスカートを掴んで、頭を左右に振って拒否してしまう。
「いんや、まずは全体の恰好を。そんで次は装飾類を外した状態の写真を。って決まりやで」
「そうなんですか!?」
あれ? 私、標準の戦闘衣装で写真撮影とかしたっけ?
「まぁ、嫌なのはわかりますが、パレオスカート一枚脱げばいいだけなのは羨ましい限りですよ」
ラナタスカさんが握りこぶしを震わせながら言う。
「私など、こんなゴテゴテ装備なので・・・研究室に連行されて内部構造の解析とかで数日ほど缶詰状態になりましたよ」
・・・ろ、ロボット系戦士の方は、別の意味で大変なんだ。
「ま、個人差こそあれ、みんなが通る道だからな・・・ここに集まった連中に一度でも見られていれば、次から緊張することもないだろうし、頑張れ」
と、ドラゴニッカーさんが乾いた笑い声をあげているので、周囲を見れば・・・さらに人の数が増えていませんか!?
これ、ハリウッド俳優とかが空港に来た時の人垣レベルになっていますよ!?
ラナタスカさんとドラグナーレさんが武器を構えているため、一定の距離は保たれているとはいえ・・・なんでこんなに人が集まってくるんだろうか?
「み、皆さんも、これぐらいの人数に囲まれたんですか?」
「「「「いや? 数人程度だけど?」」」」
・・・なんで?
「まぁ、脱がずとも収納できると思うけど?」
ドラグナーレさんが、短剣を片手に歩み寄ってくると、私のパレオスカートを指さして教えてくれる。
「こういう服装の場合、水中での活動を妨げないように腰ベルトや太ももバンドに変形などしてコンパクトになる場合が多いのよ。触れてみれば、なんとなく出来る気がするはずよ」
「は、はい。やってみます」
アドバイスに従い、私はパレオスカートに触れて、収納する術を考えてみる。と、ドラグナーレさんの言う通りで脳裏に手順が思い浮かんだ。
パレオスカートを左手で左太もも辺りを触れてから、指を鳴らす。と、パレオスカートが左脚の太ももに巻き付くようにして収納され、太ももバンドとなった。
「「「「「「オオオオオオオォォォッ!!!」」」」」」
ひぃ!
パレオスカートの収納が成功して安堵する直前に、地響きのような歓声が沸いたことで、私は身を小さくするように強張らせた。
私に向く視線・・・その全てが腰回りから股間回りに注がれているのが分かってしまう。
「う、うーむ・・・なんと大胆なハイレグでしょうか・・・」
「おいおい、おまえさんの前世さん・・・素直過ぎるだろ・・・」
「・・・ホルターネックのバックレスでハイレグなワンピース水着だったか」
「むーん・・・てんこ盛りやんなー」
ラナタスカさんが渋い顔で私の水着のハイレグを凝視し、ドラゴニッカーさんは鼻の下を伸ばしているし、ドラグナーレさんは敗北した戦士みたいな雰囲気で頬を引き攣らせ、リザドラルさんは「にんまー」という感じでちょっと嬉しそうにしている。
「あ、あの! 写真を早く撮ってください!! 恥ずかしくて顔に火が付きそうです!!」
前。左右で横。後ろの四方向で写真を撮ってもらい、終わったところですぐさまパレオスカートを再展開。下半身を隠して、ようやく一息つけた。
そうしてから、カメラの液晶画面より撮影した私の写真を確認する。
「ぅわ・・・」
前から見ると、確かにハイレグなワンピース水着のように見えるのだけど、横から見ると布が大幅に減少し、背中など腰まで丸見えになっている・・・。
その上でハイレグなのだから、もはや目のやり場に困る・・・。
私は項垂れた・・・。
何をどうしたら、こんな水着になってしまうのだろうか・・・ぅぅ。
「ほんじゃー。この写真を管理事務所へ持っていくんでー」
「そうか。プールに誘ったからな・・・俺も付き合おう」
「そうね・・・私も付き合うわ。 最後まで面倒見るのも先輩だからね」
・・・あの、なぜに死地へと赴く戦士のような顔になっているんでしょうか?
「ラナタスカ。ナイトメアの護りは任せるわ」
「承りました! そちらも、道中お気をつけてッ!」
そうして、リザドラルさん。ドラゴニッカーさん。ドラグナーレさんの三人が一斉に駆け出すと、人垣の大半が三人を追いかけるように殺到し始める。
・・・なんで?
「さぁ。私たちは一足先にプールを楽しむとしましょう」
ラナタスカさんの言葉に、私はどことなく腑に落ちない気持ちなれど、頷き返す。
と、この場に残っていた男性方が私たちを囲んだ。
「この屋内プールの利用が初めてなら、案内してあげるよ!」
「いい運動コースを知っているんだ! 一緒にどうだい!?」
「泳ぐ前に準備運動は大事だぞ! 俺が教えてあげよう!」
と、言い寄ってくるのに対して、ラナタスカさんが問答無用と言わんばかりに銛が装填された銃のような武器を構えて乱射し始める。
「はいはいはいはい!!! それ以上は近づくんじゃありません!!」
床に刺さる銛が、そして連続して爆発していく・・・爆竹みたいなモノだけど。
「うっわ! あっぶな!!」「おい! こんな所で物騒なモンを破裂させるな!」「いくら出力抑え目でもな? 当たったら痛いんだぞ!!」
などの抗議が殺到する中、ラナタスカさんはどこからともなくバズーカを取り出して構えた。
「さぁ、あなた方は自分のトレーニングにでも戻りなさい! わざわざ共用ルームにて彼女を待っていたのでしょうが、駆け込み過ぎなのですよ!」
・・・あ、この人たちが共用のトレーニングルームを満員にしていたの?
え、それがどうして、屋内プールに?
「あのッ!! 質問をいいでしょうか!?」
私が手を上げて声を張ると、ラナタスカさんとにらみ合いをしていた全員が私を見た。
「・・・えっと、皆さん。共用のトレーニングルームに居られたんですよね? どうしてプールに?」
私の問いに、全員が一斉に回答してくれた。
「食堂でリバトのヤツが、君とトレーニングする約束をしている所を盗み聞いたから、俺も便乗しようと先回りしたんだ!」
「トレーニングルームでいつも通りに筋トレをしていたら、君が共用ルームに来るって騒いでいるヤツが居たから、俺も便乗することにしたんだ!」
「リバトのヤツは、基本的に筋トレしないからな! 俺が手伝ってあげよう!と待ち構えていただけだ!」
「そうだぞ! 俺たちは純粋に、君の鍛錬を手伝いたくて共用ルームで待っていただけなんだ!」
「やましい気持ちなんてあるわけないぞッ! ちょっと何かのハプニングでエッチな姿でも見れないかな?って期待していたわけじゃないんだからね!」
「そしたら、屋内プールに行くのを見た。って奴がやってきて、詳しく聞けばドラゴンカップルが連れ立っていたと聞いてな。急いでこっちに来たんだ」
「まぁ? 新人連れて屋内プールでやることなんて、環境別戦闘衣装の確認ぐらいだからな」
「今、注目の大型新人! その水着姿! 見たいに決まっている!!」
「大変素晴らしいモノを拝ませていただきました。ありがたや。ありがたや」
・・・えぇっと。
私、注目の大型新人・・・というのは、歓迎会の時に色々と話をしていて教えてもらったりしたけれど、水着姿を見たい。と言われると、ただただ恥ずかしい限りで反応に困った。
ドラゴニッカーさんやドラグナーレさんに、正確な数値は知られてはいないとしても、大方のスリーサイズが知られている事を思い出せば・・・顔が真っ赤になるのを堪えることはできない。
数値だけだとイメージし辛い事って多いから、自分の眼で見て確かめたいって思うのかも。
そんな私の横で、ラナタスカさんは舌打ちをしていた。
「そういう下心を隠そうともしないから、あなた方は女子と仲良くなれないんですよ!!」
その言葉に、数名が図星を突かれたような顔になっている。
「「「「「「うるせぇ! 仲良くしてください!!」」」」」」
「嫌です」
「「「「「「チクショーッ!!!」」」」」」
十分、仲良しに見えますけれども?
「はぁ。とにかく、彼女の水着姿を見れたのですから、トレーニングルームへ帰られてはいかがですか?」
「ま、それもそうだなぁ・・・」
そう言って、集団から一人が前に出てくると・・・この人は、えーっと・・・イデスバリー・ウィーカーンさん。かな?
確か、超長距離狙撃が戦闘スタイルの方で、近接戦闘にナイフを持っている戦士だったはず。
よし。変身している方であれば、とりあえず誰だか分かる・・・人間姿の方は、ごめんなさい。
「さて、俺も日課のトレーニングを再会するとしよう」
「ナイトメアちゃん。筋トレする時は声を掛けてくれれば、指導してあげるからな!」
「今日はプールを楽しむといいぞ」
「運動も鍛錬も出来るし、もちろん、遊びも充実しているから! 大いに楽しむといい!」
イデスバリー・ウィーカーンさんが屋内プールの出入り口へと歩き始めると、続々と移動を始め、私に声を掛けてくれた。
そうして、あっという間に静かになる。
「皆さん・・・あっさりとしていましたね?」
「まぁ・・・過去に支社長・・・フェニックスさんで色々とあったらしく、こういう場合のルールで『大人しく帰れ。焼き殺されたいか?』というのがあるんですよ」
あるんだ・・・というか、フェニックスさんの時に何があったんだろう?
「それに加え、あなたの水着姿を十分に撮影できたから、満足したんでしょう」
え!?
「コスプレの撮影会場というわけでもないのですし、私も牽制していたので卑猥なアングルの写真は撮られていないとは思いますが・・・後程、シェルさんに報告しておくので安心してください」
「・・・なぜ、シェルさんなんでしょうか?」
ラナタスカさんは、少しばかり目を泳がせながら・・・。
「・・・まぁ、フェニックスさんの時にあった出来事を反省し、こういう時のルールを色々と設けたのはシェルさんですので」
あー。
なるほど・・・。
・・・本当に、何があったんだろう?
次回は、アトラクション・ダンジョン? を予定しています。
水着の設定に悩みました・・・。
あと、何か間違えていたら申し訳ありません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




