ユニーク
見れば、二人の男が共に一人の女の子に詰め寄っていた。
女の子は、魔女らしく、先のねじ曲がったとんがり帽子からはみ出すツインテールをぴょこぴょこ揺らしながら男達の誘い文句に反論していた。
「ああ、もう!しつこいこと!これ以上粘るようでしたらあなた方のユニークを数時間ほど封じてしまいますわよ!?」
その一言に、反射的に反応していた。
「そんな事が出来るのか!?」
すると彼女は誇らしげに答える。
「ええ、出来ますとも!私ほどの魔女ともなれば!現に今私の周りにいる方々はユニークが使えない状態になっていましてよ!」
「なんだテメェ横から!」
と、彼女に詰め寄っていた男の一人がこちらへがなる。
「本当じゃないか!君、名前は?僕はレンだ!家名はさっき捨てる事になった!」
「え、家名を……?大変ですわね。私はアルモニカ・カリヨンと申しますわ!ひとまず近い内にこのギルド最強の魔女となる予定ですので、お見知りおきを!」
「アルモニカ!僕とパーティを組んでくれ!この通りだ!」
と、人生で初めての、人生で一番綺麗な土下座を決める。
これが謝罪とかネガティブなものでなくて良かったと内心密かに思いながら。
「あなたは魔術の心得がおありで?」
バッと顔を上げ、彼女の両目を凝視しながら答える。
「学校では一、二を争っていたよ!」
「自分が何者であるか、答えられまして?」
「ついさっき貴族から流浪者になって流浪者から冒険者になったひよっ子冒険者だよ!でも剣士になれと言われれば剣士になれるし、魔術師になれと言われれば魔術師になれる!自分で言うのもなんだが優秀なんだ!」
「なるほど、枷になるユニークを授かったのですね?」
「分かるのか!?」
「あなた、18歳くらいですもの、お誕生日おめでとうございます。しかし、めでたくない事に優秀さでカバー出来ないほどの足枷になるようなユニークを授かり、家名に泥を塗りおって、恥晒しめ!と、家から追い出されたのですね……稀によくある話ですわ」
「そこまで分かるのか……やっぱり追い出された貴族なんて仲間としてはナシかな?」
「あなたのユニークの内容次第ですわ。"真実を全て吐き出しなさい"」
呪文詠唱じゃなくて命令型魔術!?
めちゃくちゃ優秀な魔女じゃないか……!
そうして、大聖堂で起きた事について、大して長くもない話を洗いざらい話した。
「なるほど、しかし私のユニーク消しの魔法は範囲と時間が限られていますので万能ではありません。そこは構いませんか?」
「もちろんだ。君以外には出来ないんだろ?」
「そりゃ当然。私ほどの練度の魔女はそうそういません。構わないならこれにてパーティ成立ですわ」
そこで、ふぅ、とアルモニカが息を吐いた。
「解除!疲れましたわ……長時間魔法を使うのって本当に疲れますわね」
「え、あと数時間くらいもつんじゃなかったのか?」
「Yes,The effect is still on these two for a few more hours」
と、彼女は絡んでいた男二人を杖で指した。
「Magic is complicated and not all-powerful」
「そう言われても何言ってるか分からないよ……」