凍てつく世界の冷たい花R2
寒くて冷たくて寂しい世界。
そこに白くて綺麗な花が咲いていた。
世界と同じように冷たい花だったけれど、
それはそこに生きる人たちの心を温めていた。
花は歌い、人々を励ます。
花は踊り、人々を笑わせる。
次第に花は、なくてはならない存在になった。
しかしその花の命は永遠ではない。
その花には冷たさがあって、
その冷たさはゆっくりと体全体にまわって、
命を凍らせていくからだ。
その世界の人たちは、花が凍えないようにと、
懸命に温めた。
しかし、花は凍ってしまう。
花を愛していた者達は、みな喪失感で打ちひしがれる。
そうして、花がなくなった世界は、一夜にして滅び去ってしまった。
なぜなら、
今まであった温かな物を知ってしまったから、
そうその温かなものがないと、生きられなくなってしまったからだ。