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カルテNO.003 無垢な慈愛 相原咲
神よ…。貴方は信ずるに値する。
でも人間は…。
今一度、相原咲へと視軸をズラす。純白のシーツは彼女の肉体を隆起的に包んでいた。その隆起的な形状に私はほんの少しの違和感を感じていた。純白のシーツの隙間から覗くチューブの先には規則的に音を奏でる機械がある。その画面には規則的に数字とグラフが表示されている。その機械は心伝図と呼ばれているモノだ。人の精神世界の安定度を簡易的に示すモノとの事だった。
私は相原咲の額に右の掌を当てる。そして意識を相原咲の心の深奥へと向けた。
私の咎が反応していく。
私の咎が私に語り掛ける。
『私の名前を呼んで…。』
左の手で音無静寂の右手を取り、【システム・オブ・ア・ダウン】と呟くと…。相原咲の精神世界への侵入が開始されたのだった。