巨大な金属の塊。
ソレが此奴の名だ…。
「なるほど…。ソレにしては出来過ぎてる気がする…。」
天野桐人は、そう呟いた。左手で資料を持ち、右の手は顎に添えられている。呟いたかと思うと、次は言葉になっていない様な音をブツブツと発していた。
最後の髑髏が完全に息の根を止めた時。無表情の車椅子の少女が小さな声で…。お母さん。と言葉を発っした。すると地面から黒い霧が立ち込め、塗り潰したかの様な黒い霧は、徐々に形を成していく。
ほぅ。と音無は吐息を吐いた。
黒い霧は鬼の異形へと変化する。
「おい。天野。解明出来たか?」
そう云いながら、音無は天野の横に並び、天野の顔を覗き込んだ。
「もう少しなんです。もう少しで…。」
天野は心此処に在らずに云う。
「時間切れだ…。」
音無は、そう言葉を投げた。
「音無さん。あの子、相原咲は本当に…。」
お…。
その刹那、耳元まで裂けた大きな口を開き鬼の異形が襲い掛かってきたのだった。
音無は冷静に咎の名を謳う。
【キリング・イン・ザ・ネーム・オブ】
すると音無の眼前に大きな金属の塊が地面に突き刺さったかの様に顕現した。音無の姿を完全に隠してしまう程の巨大な塊だった。紅黒い刀身は無骨に鈍い光を反射している。
天野がソレを巨大な剣なのだと認識するのには、暫くの時間を必要とした…。
「【断ち切り】ソレが此奴の名だ。」
と剣を取り、音無は鬼の異形へと駆け出したのだった。




