命あってこそ。
太気が帰って来るまでは…。
私達も生き続けないといけないのよ。
疲弊していた私達は、冷静な判断が出来なくなっていた。太気が居なくなってからは、私は仕事にも行けなくなり収入源も無くなっていた。子供達は塞ぎ込み、一日の殆どを部屋で過ごし引き籠もっている状態だった。理花は理花で相変わらずの有り様だ。
ソレでも生きているだけでも、飢えもするし、渇きもする。そんな最中、理花に子供達を監禁している部屋が露呈しまったのだった。然し…。理花は部屋にいる子供達を見ても何ら反応はしなかった。子供達の様相が変わり果てていたからなのか…。それとも我が子では無かったからなのか…。
或日の事だ。理花は久々に笑った。
「太気が帰って来るまでは私達も生き続けないといけないのよ…。ソレには栄養をつけないとダメよね?私は家族を護らないといけないから…。」
そう云ってキッチンへと向かう。
その日から家族の食卓には肉料理が多く並ぶ様になった。久々に食欲を満たしたからなのだろう。その肉料理は、矢鱈と美味しく感じられたのだった…。
A5ランクの牛を育てている畜産農家が云っていた言葉を思い出した。
「愛情を込めて育てる事が大事なのです。」




