崩れていく
暗転…。
音無静寂は空気に混じる音に違和感を感じていた。第六部隊の隊員達から音が聞こえてこないからだった。反射的に鬼の異形の視線の先に視軸をずらす。
隊員達も小さな異形も小さな呻き声を漏らし、首筋の辺りを引っ掻き藻掻いていた。顔色が赤くなったかと思うと、暗褐色になり、黒く塗り潰した様な色へ変化していった。
「貴様ぁぁぁ。」
鬼の異形が視線の先へと断末魔の叫びの様な声を上げ、地面を這いずり小さな異形の方へと近付いていく。ソレに続き、何かを察した音無が隊員達の方へと駆け出した。
然し…。
音無は急激に倒れ込む。呼吸が荒々しくなり、首の辺りを探っている。
「な…。何?…。」
相原咲は肉体に違和感を感じていた。右腕と左脚の感覚が無くなっていき、変色していった。赤く染まり、暗褐色になり、塗り潰した様な黒へと変わると…。ポトリと音が産まれ…。右腕と左脚は肉体から切り離された。腐敗臭が辺りに漂い始める。
相原咲は錯乱し、悲鳴を上げ続け、酸欠状態となり意識を失ってしまう。
音無の瞳には…。
隊員達の顔の肉が膨れ、崩れ落ちていく様が映し出されている。鼻を突く腐敗臭。音無の唇から声にならない声が漏れ出し…。
音無静寂の意識も無くなった。




