何故、貴方方は喜ぶのですか?
それはあまりにも…。
私が贄として選ばれた時…。
両親は歓喜の声を上げ、私を祝福した。
曰く。
「贄に選ばれたと云う事は、神様へ捧げられると云う事。コレは名誉な事で、私達も贄を産み、育んだ事に恩恵を与えられる。御前は私達の誇りであり、世界を救う救世主となる。」
何故?
貴方方は喜ぶのですか?
娘が贄に選ばれたのです。
悲しむのではないのですか?
涙一粒流さないのは何故ですか?
神様…。
そう想う事さえも罪なのでしょうか?
私は贄に選ばれた。
街中の大木へと肉体を貼り付けにされる。街中はKARMAウィルスにより怪物と化した人間で溢れていた。その怪物と化した人間の姿に、私は涙する。
「辛かったのでしょう?苦しかったのでしょう?その様な姿に成ったと云う事は…。」
KARMAウィルスは人の心の闇に反応する。内に秘めていた欲望を具現化した姿の怪物へと変異するからだ。
「貴方は何故、その様な姿に…。」
私の視界に居たのは。大きな鬼の様な怪物。耳元まで口が裂けている醜悪な顔。鬼の形相とは、アレを云うに違いないのだろうか。鬼の胸部には小さな髑髏が綺麗に並べられている首飾りがあった。その鬼は私の左腕を掴むと、大きな口を開けて…。
「こんな処に居たのね。ずっと探していたのよ。もう、心配かけないで…。✖✖✖✖。」
と優しい声で云った。