表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/89

俺たちの青春はまだまだ始まったばかりだ!~お嬢様と生徒会長とメイドさんと妹に囲まれて~


 というわけで、財力のある琴音さんと政治力のある一香とメイド力(?)のある凪咲さんと労働力(筋肉)のある俺とかわいい力(?)のある葉菜が揃うのは最強の布陣なのだ。

 まぁ、葉菜はマスコットキャラという意味で。


「わぁ~、かわい~! お手伝い?」

「は、はいっ!」

「誰の妹さん?」

「な、波畑道広の妹ですっ!」

「えぇえ!? 似てなさすぎぃ!?」


 ……悪かったな。

 でも、ほんと、葉菜はかわいいからな。

 俺(というか父)に似なくてよかった。


 ともあれ。

 俺たちは次々と豚汁を作っては、生徒たちに配っていったのであった――。


 ………………。

 …………。

 ……。


 そして、一時間後――。


「……よし。全員に行き渡ったな。あとは、俺たちのぶんだ」


 行列の最後のひとりに配り終わった。

 大鍋には、まだ残りがある。

 ちょうど俺たちが食べたら空っぽになりそうだ。


「ぴったりでしたね♪」

「少しおかわりぶんがございますが、残ったら道広さまにがんばっていただきましょう」

「お腹ペコペコ~」


 みんな、がんばってくれたよな。

 俺もずっと豚汁の具材をかき回し続けていたので疲れた。


 そこへ、一香がやってくる。


「みんな、お疲れ様ー! 生徒たちから大評判だったよー! あと校長先生たちも豚汁絶賛してたよー! これで次回以降のイベントもすんなり開催できそうー!」


 それはよかった。政治的な面は一香に任せておけばいい。

 俺にジジイを転がすのは無理だからな……。


「新生徒会の支持率は高スタート発進ってところだねー! 一番最初にこの炊き出しをやったのは大正解ー!」


 炊き出しをやる生徒会ってのも、なんなんだって話でもあるが……。

 でもま、多くの人に喜んでもらえたのなら万事オッケーである。


 なんにしろ多くの人の胃袋を満たすのはいいことだ。


 豚汁だけだと物足りなかったかもしれないが、これからまた炊き出しをやる機会もあるだろう。

 そのときは別のメニューも試そう。


「それじゃ、片づけしようー! あたしもバリバリ労働する!」

「俺の筋肉の出番だな。任せろ」

「みんなでお片づけしましょう」

「後片づけまで含めて料理でございます」

「うー、疲れたけど葉菜もがんばるよ~」


 俺たちは心地よい疲労の中で後片づけを開始した。

 やっぱり、いいものだな、みんなと作業するのは。


 これからも琴音さんや一香のために働けるのはいいことだ。

 以前の生きるためだけの労働と違って、楽しさがある。


「道広くん♪ 今週末はお屋敷でたっぷり恋人係よろしくお願いいたしますね♪」

「道広ー! あたしの彼氏係も忘れないでよー!」


 うん。労働だけでなく、そっちもがんばらないとな。


「むー、お兄ちゃんのバカぁ! 女ったらし!」

「青春でございますね」


 葉菜が怒り、凪咲さんが一言で締めくくる。


 そうだな。これが青春ってやつか。

 考えてみれば、労働で塗り潰されていた青春を取り戻しているんだな、俺は。


 ずっとひとりで頑張り続けてきて、ようやく俺は自分の居場所を見つけた気がする。

 この先どうなっていくかわからないが、ともかく今はみんなと一緒の学園生活を楽しんでいこう。


 俺の……いや、俺たちの青春はまだまだ始まったばかりなのだから――。



 (第一部)完



ご愛読ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ