生徒会!
※ ※ ※
そして、昼休み――。
一香からの「さっそく校内を案内しまーす!」という一言によって、俺たちは教室から移動した。
まぁ、賢明な判断かもしれない。あのまま教室にいたら質問攻めにあっていただろう。
「琴音さん、凪咲さん! ここがうちの学園の生徒会室です!」
一香に連れられて俺たちは生徒会室へやってきた。
場所は校舎の四階。広さは教室と同じぐらいだ。
壁際の本棚には大量の資料が詰められてあり、さらにはその横に段ボール箱が積んであるような状態なので狭く感じる。なお、俺たちのほかに生徒会役員は来ていないようだ。
「わあ♪ ここが生徒会室なのですね♪」
琴音さんは興味深そうに室内を歩き回って、棚に並ぶファイルなどを見ていた。
「実はうちの生徒会って人手不足なんですよね! あたし以外はみんな部活と兼任しているような状態で! なので! よかったら、琴音さんと凪咲さん、生徒会に入りませんか? あと道広も!」
なんという展開。
でも、これから四人で集まるとしたら生徒会室を使えるのはありがたい。
ここなら周りを気にせずに済むしな。
「まあ♪ わたくしからもお願いしたいところでした♪ この学園で一香さんのもとで色々と学んでいきたいと思っていたのです♪」
「わたしも異存はございません」
琴音さんと凪咲さんは、すぐにその話に乗っていた。
あとは俺か。
「……うん、まあ、俺もオッケーだ。あまり役に立つかどうかわからないけどな……」
でも、なによりも四人で一緒にいられるのが一番だろう。
ここならゆったりと過ごすことができる。
「おっけーい! これで我が生徒会は盤石だーーー! じゃ、道広が副会長、琴音さんが書記、凪咲さんが会計で!」
「なんで俺が副会長!?」
「わたくしが書記ですか?」
「会計でございますか」
それぞれの反応を見せる俺たちに、一香はニヤッと笑いながら答える。
「うん! 勝手なイメージで決めた! 琴音さんは字が綺麗そうだし凪咲さんは数学とかできそうな気がするし! 道広は細かい作業苦手っぽい気がするから副会長!」
なかなか乱暴な決め方だな。
まぁ、俺は字が汚いし計算も苦手だけど。
「適任かもしれませんね♪ わたくし書道を習っていましたので字を書くのは好きです♪」
「わたしも数学が得意でございます。一香さまの眼力は確かでございますね」
しかし、俺が副会長ってのは、どうなんだ……。
とはいっても、実質、雑用みたいなものか。消去法で副会長というのも、どうなんだと思うが。
「というか、ほかの生徒会役員の許可は取らなくていいのか?」
いきなり新参が役職持ちになるってのは、いい顔しないと思うというかメチャクチャすぎる。
選挙とかやらないのだろうか。
「大丈夫! みんな部活のほうを優先したがってたからねー! 十年以上選挙もやってないくらいうちの学園の生徒会って不人気なんだよねー! だから、あたしも元々は先生に生徒会長押しつけられたというか……で、ほかの役員も兼任ならって感じでやってたんだ!」
まぁ、底辺校だから内申とかそんなものは関係ないだろうしなぁ……。
そのぶん(?)、部活はどこもそこそこ強いけれど。
「ともかくよろしくー! 普段は仕事ないからグダグダしてればいいし! 顧問の先生にはあたしが許可とっておくからー!」
そんなわけで――。
急転直下、俺たちは生徒会役員になった。
なんだか、めまぐるしいな……。
まあ、俺もただ学校と屋敷の往復をしているだけよりはいいだろう。
ただイチャラブしているだけではダメ人間になってしまう。
やることがあるというのは、いいことだ。
「ふふふ♪ 楽しみです♪ 楽しい学園生活になりそうな気がいたします♪」
「わたしもです。お嬢様たちのサポートをこれからも全力でさせていただきます」
ともかく四人で一緒で過ごせる時間が増えたことは喜ばしい。
これまで昼間は琴音さんと凪咲さんに会うことができなかったしな。
……まぁ、葉菜がヤキモチを妬いてしまいそうだが。
「なにか学園を楽しくできるアイディアがあったらいつでも提案してねー! もっともっと学園を楽しい場所に変えていこー! あとは困ってる人をもっと助けるー!」
一香の行動力と琴音さんの財力があわされば、ほんと、いろいろなことができそうだ。
俺も自分のできることをやっていこう。
俺だってふたりに助けられた身だ。
少しでも人の役に立てていければと思う。
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