教室の反応
※ ※ ※
「本日より転校してきました扇山琴音です♪ みなさま、どうぞよろしくお願いいたします♪」
「お嬢様直属のメイドを務めております中杉凪咲と申します。よろしくお願いいたします」
教室で自己紹介をするふたり。
クラスメイトは突如現れた絶世の美女ふたりに呆気にとられる。
「……お、扇山って、あの扇山……?」
「……な、なんであんな大富豪がうちの学校に来てんのよ……」
「……び、美人すぎるぜ……ご、後光が差しているぜ……」
クラスメイトも琴音さんの圧倒的なお嬢様オーラに圧倒されている。
気持ちはわかる。俺もクラスメイトの立場だったら驚いてるな。メイドさんつきだし。
「……そ、そそそ! それでは、お、扇山さんと中杉さんの席は真ん中の列最後尾です! な、波畑くん、関平さん、あとでおふたりに校内を案内してあげてくださいっ!」
担任のメガネ女教師(二十台中盤の独身でオタクっぽい風貌)も思いっきりキョドっていた。
ちなみに、俺たちの席は元の位置から真ん中の列最後尾手前に移動されている。
このあたりも配慮してくれているというか権力でなんとかしているようだ。
「波畑くん、関平さん、よろしくお願いいたします♪」
「よろしくお願いいたします」
一応教室では『恋人係』は封印のようだ。
琴音さんから苗字で呼ばれたのは久しぶりというか、初めて出会ったとき以来かもしれない。
ともあれ……そのあとは普通に授業が始まった。
教科書は昨日のうちに揃えたのか新品をふたりとも持っていた。
まあ……琴音さんたちと話をするのは休み時間にしよう。
俺も一香もとりあえず授業に集中することにした。