急展開の転校!?
琴音「第四章開始です♪」
「道広ぉおおーーーーーーーー!」
「うわあぁああああああああっ!?」
昼休みの裏庭。
俺はいきなり一香に押し倒されてしまった。
「な、なにするんだよっ!?」
「このままではあたしの敗北は必至! ならば! 実力行使あるのみだぁああーー!」
白昼堂々校内でなにを考えているんだ!
「富も! 地位も! 美貌も! 性格も! なにもかもが負けている! そうなったら肉弾戦あるのみ! 女は度胸! 愛嬌よりも度胸! 突撃だぁああーーー!」
一香は血走った瞳で叫ぶ。
いかん。これは危険な状況だ。
頭に血が昇って冷静さを欠いている。
完全に自分を見失っている。
「お、落ち着け。ここは学園内だからな? こんなところ誰かに目撃されたら問題になるだろ? 下手すれば停学だ」
生徒会長自ら風紀を乱してどうする。
「もうこの学園内での地位よりもあたしは道広さえいればなにもいらないーーーっ!」
まいったな。パーフェクト暴走モードになってしまっている。
「あらあら♪ 道広くん、困りましたね♪」
「ええ、困りましたよ、琴音さん…………って、うえぇえええ!?」
かけられた声に相槌を打った俺は、声の主を確認して驚愕した。
「な、な、な、なんで琴音さんが!?」
そこにいたのは制服姿の琴音さんだった。
なお、その横にはメイド姿の凪咲さんもいる。
「げえぇーーー!? な、なんでふたりがぁあーーー!?」
俺に馬乗りになっていた一香も遅れて驚愕していた。
「うふふ♪ ちょっと遊びにきてしまいました♪」
驚く俺たちに対して琴音さんは悪戯っぽく微笑みながら告げる。
自由だな、琴音さん。
というか、校内は関係者以外立ち入り禁止じゃないのか……?
そんな俺の疑問に応えるように凪咲さんが口を開く。
「許可をとっているので問題ございません。お嬢様の転校先を見学するのは大事な職務でございますから。なお、僭越ながらわたしも転校予定でございます」
「「転校ぉ!?」」
俺と一香は同時に驚愕の声を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください、俺たちの学校に転校!? 本気ですか!?」
「うちの学校めっちゃ偏差値低いですよ!? やめたほうがいいですって!」
超お嬢様女子校から底辺高校に転校だなんて無茶苦茶だ。
扇山家の家名にキズがつくっていうレベルじゃない。
「おふたりの通う学校なのですから、きっと素晴らしいところに決まっています♪」
ニコニコしながら穢れのない瞳で言い切る琴音さん。
お嬢様強い。
「……で、でも、さすがにやめたほうがいいんじゃ……」
「そうですよー! 生徒会長のあたしが言うのもなんですけどうちの学校に転校なんて絶対にやめたほうがいいですって!」
しかし、琴音さんの意思は固いようだ。
「いいえ♪ わたくしはもう決めました♪ おふたりと一緒に青春を送ることこそが今のわたくしにとって最も大事なことであると確信しています♪」
ニコニコ笑顔で断言。
「なお、扇山家の地元ということもあり特例で転校はすぐに認めていただけるようでございます」
凪咲さんが補足する。
……えええ。マジなのか。
しかし、いきなりすぎだろう。
一香「応援よろしくぅー!」