凪咲さんからマッサージ指導
「では、道広さま。お嬢様にマッサージをお願いいたします」
「……って、そんなんでいいんですかっ!?」
思わず突っこんでしまう。
これじゃスキンシップ係や恋人係のときと変わらないじゃないか!
仕事は!? 労働は!?
「メイドや執事たるもの一流のマッサージ技術というものを身につけていなければなりません。当主様の疲れを癒すのも大事な仕事でございます。必須の技術でございます。マッサージは労働でございます」
でも、普通はメイドとか執事って掃除とか家事とかの雑用をするんじゃないかと思うのだが……。
「素晴らしいですね♪ これで道広くんとイチャイチャできますし一石二鳥ですっ♪」
琴音さんは大歓迎だった。いいのか、これで……?
まぁ……いいか。琴音さん、めちゃくちゃ喜んでるしな……。
「まずはわたしがお手本をお見せいたします。道広様、こちらのベッドへ」
「えっ、俺ですか?」
「はい。まずはご自身でマッサージを味わっていただくのが一番かと。上着を脱いでうつぶせになってください」
「は、はぁ……」
執事服に着替えたと思ったら、いきなり脱いで寝るのか……。
ともかく俺は言われたとおりにした。
「では、失礼いたします」
凪咲さんもベッドへ上がり、俺の腰のあたりに跨ってきた。
凪咲さんのお尻の柔らかい感触がしたが、心頭滅却してそのことは瞬時に忘れた。
「それではマッサージを開始いたします」
そのまま両手を伸ばしてくる気配がして、親指(?)で背中のツボをグリグリと押される。
「……うっ……おぉおぉおお~~~……」
こ、これは、効く!
い、痛いけど気持ちいい。痛気持ちいいっ!
「さすがよく鍛えられておりますね。素晴らしい筋肉でございます」
「は、はぁ……あ、ありがとうございますっ……おぐっ、うぐぅ……!」
さすが凪咲さん! なんという上手いマッサージなんだ!
これがメイドの技か!
「わ、わたくしにも挑戦させてくださいっ!」
そこで傍らで見ていた琴音さんが声をあげる。
「かしこまりました。手取り足取りお嬢様を指導させていただきます」
「凪咲さん、よろしくお願いいたします♪ それでは、よいしょっ♪」
凪咲さんが後ろにずれると、その位置に琴音さんが腰を下ろしてくる。
柔らかい感触がふたつになったので、心頭滅却するのが不可能になってきた。
しかし、これは執事としての大事な仕事の一環なのだ。
喝っ!
俺は心の中で自分自身に喝を入れて、雑念を振り払った。
琴音「面白かったらブックマークや評価をしていただけると嬉しいです♪」




