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ポンコツ化する一香

「ケーキのおかわりも各種ございますので、遠慮なく仰ってくださいませ」


 そこへ凪咲さんがさらに追撃をかけてきた。


「うぐぐっ! ここで貧乏人丸出しでおかわりをするだなんてあたしのプライドがー! おかわりー! 今度はモンブランー!」


 一香のプライドは一秒も持たなかった。

 悲しいかな。人は美味いものの前には無力かつ無防備なのだ。


「たくさん食べてくださいね♪」


 そんな浅ましい一香を見ても、琴音さんは慈悲深く微笑んでいた。

 やはり経済的に豊かだと胸だけでなく包容力も大きくなるのだろうか。


「お嬢様と道広様はケーキのおかわりはいかがでございますでしょうか?」

「わたくしはレアチーズケーキでお願いします♪」

「あ、俺は……いいです」


 あまりカロリーを摂りすぎるのもな……。

 すっかり労働とは無縁になってしまっているし、太ってしまう。


「道広くんも遠慮なさらず♪」

「は、はあ……でも、あまりお腹も空いてないので、大丈夫です」

「くうー、なに気取ってるのさー!」

「いや、これまでに何度かスイーツはいただいてるから慣れてきたというか」

「道広がすっかりブルジョワ思考に染まってしまったー!」


 一香も緊張のせいか言動がエキセントリックになりすぎだな。

 ポンコツ化がエスカレートしている。というか思考と言動がプロレタリア化している。


「ふふふ♪ 一香さんって面白い方ですね♪」


 そんな一香を見ても琴音さんは微笑んでくれていた。よかった、ドン引きしないで……。

 琴音さんの母性というかバブミは異常だな。一歳上とは思えない。


「……うぅ、本物のお嬢様を前にして圧倒的敗北感を覚える関平一香なのであったー……美人だし富も地位も権力もあるし性格までいいしー……これじゃ完全に道広を獲られちゃうー……」


 ブツブツつぶやく一香。ちょっと情緒不安定すぎだな。

 これでは一香の株が下がってしまう。俺が少しフォローを入れておかねば。


「すみません、琴音さん、凪咲さん。一香は、いつもはもうちょっと頼れる姉御キャラみたいな感じなんですが、今日の一香はちょっと本調子じゃないっぽくて」

「あたしはいつでもどこでも関平一香だぁー!」


 まさか一香がここまでポンコツ化してしまうとは……。

 琴音さんとの圧倒的すぎる差を感じて壊れてしまったのだろうか……。


「いえいえ、お気になさらないでください♪」

「そうです。感情を素直に表現できるということは才能でございます。内に溜めこむことは心身にとって毒でございます」


 さすが大富豪。

 おっぱいだけでなく器も大きい。


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