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ハイパーケーキタイム

「ありがとうございます♪ 凪咲さん、よろしくお願いいたします♪」

「かしこまりました」


 カートを押した凪咲さんが入ってきて、洗練された手際でティーカップを並べていった。

 なお、ケーキはショートケーキ、チョコレートケーキ、レアチーズケーキ、モンブランの四つだ。


「うわー、すごいおいしそー!」

「ふふふ♪ おふたりとも、お好きなケーキを選んでくださいね♪」

「じゃ、じゃあ……え、えっとぉ……あたしはチョコレートケーキでお願いしますー!」

「俺はモンブランで」

「それでは、わたくしはショートケーキをいただきますね♪ 凪咲さんはレアチーズケーキを召し上がってください♪」

「かしこまりました。ご相伴(しょうばん)に預からせていただきます」


 それぞれ食べるケーキが決まり、凪咲さんの手によって並べられる。

 続いて、ティーポットからカップに紅茶が注がれていった。


「ふわー、いい香りー……! すごい! 紅茶の匂いで高級感がわかるレベルだー!」


 ほんと、一香の奴、恥ずかしいキャラになってるな……。

 いくらなんでも、はしゃぎすぎである。


「うふふ♪ 喜んでもらえてなによりです♪」


 しかし、そんな一香を見て琴音さんは微笑んでいた。

 相変わらず女神である。


「お客様に喜んでいただけることはメイドであるわたしにとっても無上の喜びでございます」


 そして、凪咲さんも相変わらずできたメイドさんだった。

 一香のポンコツぶりが際立ってしまう。


「さあ、どうぞ召し上がってください♪」


 ともあれ。

 準備が整いティータイムが始まった。


「わーい、いっただきまーす!」


 さっそく一香はチョコレートケーキにフォークを刺して口に運ぶ。


「もぐもぐ……う、うまいっ! なんじゃこりゃ! うますぎるぅううーーー!?」


 そして、驚愕しながら絶賛していた。


「ふふっ♪ そう言っていただけてよかったです♪」

「メイド冥利に尽きます」


 感情を率直に表わす……というか叫ぶ一香を見て、琴音さんと凪咲さんも満足そうだ。


 ……って、三人の表情を観察していないで、俺もケーキを食べるか。

 一香よりは控え目にフォークを使ってモンブランを口に運ぶ。


「う、うまい……なんだこりゃ……うまい、うますぎるっ……!」


 って、俺まで一香のようなリアクションをしてしまった。

 栗ってこんなに柔らかくて甘いものだったっけ? 信じられん。


「道広くんにも喜んでいただけてよかったです♪」

「メイド冥利に尽きますね。常に美味しいケーキの情報を集めるのも大事な仕事でございますから」


 さすがとしか言いようがない。

 やはり俺たちとは文化レベルが違いすぎる。


 ケーキなんてほとんど買わないし、買うとしてもスーパーで半額どころか8割引になってたら買うレベルだったからな……。庶民の食べるものと味が違いすぎる。


「……うぅ、しゅごい、しゅごすぎるー……これが財力の差かー……資本主義の力かー……負けた、豊かさに負けたー……」


 一香が資本主義に敗北していた。

 しかし、それでも口にケーキを運ぶことはやめない。


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