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一香と一緒に琴音さんのところへ!


 翌日の昼休み――。


「……というわけで、琴音さんはいつ来てもいいって言ってたぞ」

「おおー! じゃ、じゃあ、今日なんかもいいのかなー?」

「おそらく」


 俺は弁当を食べ終えたところで、一香に昨日のことを話した。


 なお、今日の弁当内容は冷凍食品ではなく一香お手製のサンドイッチだった。

 タマゴサンドとハムチーズサンドとツナサンド、どれもたいへん美味かった。


「じゃ、じゃあ、さっそく今日行こうかなー! 善は急げっていうし!」

「そうか。じゃ、連絡してみる」


 俺はスマホを獲りだすと凪咲さんにメッセージを送った。

 すぐに返事が返ってきた。


「オッケーだぞ。『とっても楽しみにしております♪ お待ちしてます♪』だってさ」

「おおおおおー!? き、緊張するーーーっ!」


 いつもは向かうところ敵なしといった一香だが、やはり扇山家へ行くとなると勝手が違うようだ。


「ううう、まさかあんな豪邸に行く日が来るなんてー! というか、そんなお嬢様と会う日が来るなんてー!」


 一香は落ち着かない様子で裏庭を行ったり来たりする。

 なお、近隣では知られた屋敷なので、一香も外観は知っているのだ。


 しかし、自分で琴音さんと会うことを望んでおきながら、この狼狽(うろた)えようは……。


「大丈夫だって。琴音さん、すごくいい人だぞ。すぐに仲よくなれるさ。フレンドリーというか包容力が異様にあるからな……」


 あのすさまじい包容力は同年齢とは思えないほどだ。母性まであるし。


 でも、ほんと、あれだけいい人なのにお嬢様学園で上手くいっていないとはな。

 お嬢様学園とは、そんなに魑魅魍魎(ちみもうりょう)跋扈(ばっこ)する伏魔殿(ふくまでん)みたいな場所なのだろうか。

 庶民の俺には想像できない。


「うー、今さらながら庶民のあたしが行っていいのかってビビっちゃうよー」

「庶民どころか貧乏人の俺だって大丈夫だったんだから安心してくれ。屋敷に仕えるメイドさんたちもいい人ばかりだから」


 本当にお金持ちへの印象が変わるほどだ。凪咲さんだって、いい人だし(変人だけど)。

 まあ、扇山家の人々は例外かもしれないな。


「ううう、今から武者震いしてきたー……ちょっと、お花摘みに行ってくるー」

「お、おう……」


 いつもは肝が据わっている無敵の生徒会長だが、今回はそうはいかないようだ。

 というか、俺までちょっと緊張してきた。


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