琴音さん復活
琴音さん登場です! お待たせしました!
※ ※ ※
そして、放課後――。
俺は琴音さんの見舞いに訪れた。
「わあ♪ 道広くん♪ ようこそいらっしゃってくださいました♪」
「ど、どうも」
凪咲さんに案内されて客間へ通されたのだが、琴音さんは元気そうだ。
なお、パジャマとかではなく普段着だ。
「体調は大丈夫なんですか?」
「ええ、ご心配をおかけして大変申し訳ありませんでした……少し、はしゃぎすぎてしまったようです……」
笑顔から一転シュンと落ちこむ琴音さん。
「ああ、いえ、琴音さんが元気になってよかったですよ!」
せっかく見舞いに来たんだから明るい気持ちになってもらわねば。
とにかく話題を変えよう。
「ああ、そうだ。スマホありがとうございます!」
「いえいえ、むしろもっと早く支給すべきでした。あ、あのっ……もしよろしかったら、わたくしともメッセージをやりとりしていただけますか?」
「え、ええ。もちろんです」
琴音さんとメッセージをやりとりするのも、ある意味、お勤めの一環だろう。
女子とメールなんて緊張するが。
「ありがとうございます♪ ふふふっ♪ これで道広くんといつでもどこでも繋がれますね♪」
「は、はは……。まぁ、そうですね」
琴音さんも奇特な人だよな。
俺なんかと繋がったところで仕方ない気もするのだが。
そもそも俺がスキンシップ係というのも……。別にイケメンでもないわけだし……。
「道広くんとお話していると憂鬱な気分が晴れていくようです♪」
「そ、そうですか?」
「ええ、学園生活では決して得られない安息を覚えることができます♪」
そう言ってもらえるのなら、それに越したことはない。
「お嬢様学園っていうのは苦労が多いんですか?」
「……ええ。色々と気をつかう場面が多くて……窮屈ですね」
やはり俺たち庶民とは住む世界が違うわけだよな。
「でも、今のわたくしには道広くんと葉菜ちゃんがいてくれますから♪」
なんだかんだで役に立てているのなら、それでいいか……。
「俺たちにできることはなんでもしますから、遠慮なく言ってください」
「はい♪ ありがとうございます♪ 道広くんは優しくて大好きです♪」
ニコニコしながら「大好き」だなんて言われるとドギマギしてしまう。
ほんと、俺の周りの女子は無防備というかアグレッシブというか……。
将来、変な男に引っかからないか心配である。
……って、ある意味、俺も変な男か……。
人の心配してないで、俺自身が立派な男にならねば……。
「どうしましたか?」
琴音さんはキョトンとした表情で首を傾げる。
「あ、いえ、これからの俺自身の人生について考えていたところです。というか、俺、このまま琴音さんの世話になるだけでは申し訳ないというか……だから、その……執事見習い的なものになることはできないでしょうか?」
葉菜と話して考えたことを、さっそく琴音さんに伝えてみることにした。
琴音さん「お久しぶりです♪ 応援していただけたら嬉しいです♪」




