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個性的すぎる弟と妹たち

「ほらぁ! 祐二(ゆうじ)三咲(みさき)四季香(しきか)翔五(しょうご)~! 買い物行ってきたから荷物運べー!」


 一香が声を張りあげるやドタドタと家の中から足音が聞こえドアが勢いよく開いた。


 まずは坊主頭の弟、ショートカットヘアの妹ふたり、最後にキノコみたいな髪型の小さな弟が出てきた。


「姉ちゃん、おかえりー! 腹減ったー!」

「あれ? お姉ちゃん、来客~?」

「あれれー?」

「……姉上、この方は?」


 上から中学二年、小学六年、小学三年、小学一年だったかな、確か。

 前に一香と話していた記憶では、そんな感じだった気がする。

 というか、姉上って。一番下の弟が一番落ち着いているんだな。


 そんな弟妹たちに向かって、一香はニッコリと笑って告げる。


「じゃーん! 姉ちゃんの彼氏!」


 違うぅううーーーーー!


「ちょ、待」

「ついに姉ちゃんに彼氏ができたのだー!」


 訂正を求めようとするも、一香に大声で掻き消されてしまった!


「姉ちゃん、マジかよ!」

「お姉ちゃんについに彼氏かぁ~!」

「わあ、すごいよー」

「姉上、おめでとうございます」


 よく訓練された弟と妹らしく一香の言うことを信じこんでいる。

 なんという統率力。これでは否定しにくい空気になる。

 でも、このままでは『係』ではなく本当に彼氏だと認識されてしまう。


「ちょ、いや、待」

「荷物は玄関入ってすぐのところに置いてくれていいから!」

「お、おう……」


 これは俺が否定するのは許されない雰囲気だ。

 まぁ……この子たちに彼氏係だって説明するのも面倒か。

 仕方ない。ここは『彼氏』ということにしておこう。


「兄ちゃん! 姉ちゃんのことよろしくな!」

「お姉ちゃんのことよろしくお願いしますね~」

「お願いしますー」

「姉上のこと何卒よろしくお願い申し上げます」


 ああ、こんなふうにお願いされると罪悪感が……。


「兄ちゃん、姉ちゃんを泣かせたら承知しねえかんな!」

「お姉ちゃんのこと泣かせたら刺すよ~」

「はんごろしー、ううん、ぜんごろしだよー」

「打ち首は免れないと思います」


 なにこの弟妹たち怖い。

 統率力が尋常じゃない。

 今度は恐怖感が……。


「あはは、変な弟と妹たちでゴメンね!」

「い、いや、まぁ……はは……個性的でいいんじゃないか」


 この四人を統率している一香はすごいな。

 もう初対面で世話をする難易度が超ウルトラベリーハードモードだというのがわかる。

 そう考えると優秀な我が妹葉菜はベリーイージーモードだろう。さすが我が妹。


「そ、それじゃ、俺はこれで……」


 このパワフルな弟や妹たちと一緒にいて質問攻めにでもあったらボロが出かねない。

 三十六計逃げるに如かず。ここは退こう。


「やっぱりせっかくだから、お茶でも飲んでってよー!」

「いや、まぁ、今度な。俺も葉菜の世話があるし」


 そもそも葉菜には帰りが遅くなるとは言ってない。

 心配しているかもしれない。


「わかった。きょうだいは大事にしなきゃだしねー」

「お、おう」


 わかってもらえたようだ。

 さすが同じく下に弟と妹がいるだけある。


「それじゃ、またの機会に」

「うん! 今日はありがとー!」


 予想外の放課後になったものだが、無事にこなせてよかった。


 荷物持ちをしていただけだから彼氏って感じでもなかったが……報酬のキスをしてもらえたからな。


 今さらながらドキドキしてくる。

 一香があんなに積極的だったとは!


 でも、これ……本当に『係』だけでは済まなくなるのではないだろうか?

 特にあの弟と妹たちの前であれだけ言い切ってしまっては。


「……ま、まぁ、なんとかなるか……」


 琴音さんと接するのは屋敷の中だしな。

 あらぬ誤解を受けるということは、おそらくないだろう。


 しかし、ここに来てさらなる『係』が増えるとは。

 ほんと、人生ってわからないものだよなぁ……。


「わけわからんな」


 思わず呟きながら、俺は自宅へと歩いていった。


祐二「応援よろしく頼むぜ!」

三咲「応援よろしく~!」

四季香「おーえん、よろしく~」

翔五「読者の皆様には是非とも応援をしていただきたく思います」


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