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政治力の高い生徒会長

 そこで一香は笑顔のまま周囲に呼びかけた。


「というかさー! あたしの彼氏に対して悪口言わないでほしいんだけどー!」


 正確には彼氏じゃなくて彼氏係なんだが!


 しかし、効果は絶大。

 周囲の連中は絶句し、呆然とする。


 ここまでハッキリ言われてしまえば黙るほかないだろう。

 そして、俺もここで「いや、彼氏係だから」とも訂正できない。


 さすが統率力と人心掌握術に長けた一香。

 これを笑顔で言っていることも含めて一流の役者である。


「というわけで今日はあたしはラーメン食べようかなー! 道広は?」

「あ、ああ……俺もラーメンにしておくか」


 特に決めていないので便乗してしまった。

 って、昨夜もラーメンだったんだけど……まぁ、いっか。


 そういうわけで俺たちは券売機に並ぶ。

 初学食なので、当然、券売機を使うのも当然初めてだ。

 だが、先に一香が買ったおかげで俺も滞りなくボタンを押して食券をゲットできた。


「おばちゃん、いつもおいしいご飯作ってくれてありがとー! 今日は彼氏ができた記念だからサービスしてねー!」

「ありゃ! 一香ちゃんに彼氏できたんだ! そりゃあめでたい! 思いっきりサービスしとくよー!」


 コミュニケーション強者である一香は、学食のおばちゃんとも円滑なコミュニケーションをとっていた。


 というか、学食のおばちゃんにまでアピールしないでくれ! このままじゃ『係』だなんて言えなくなってしまう! まさかそれが狙いか!?


「にひひ」


 俺を見て意味ありげに笑う一香。

 いかん。これはそういうつもりだという笑顔だ。

 なんという強引さだ。


「あたしは目的のためには手段を選ばない生徒会長なのだ!」


 さすが生徒会長汚い。

 というか、このままでは既成事実化してしまう!


「あいよ! ラーメン一丁上がり! ちょっと、兄ちゃん! わたしらのアイドルでもある一香ちゃんを泣かせたら承知しないかんね!」

「は、はい……」


 食堂のおばちゃんからプレッシャーをかけられてしまう。

 こんなところにも一香の影響力が。


 なお、すでに麺がある程度茹でていたらしく、すぐにラーメンは完成した。

 俺は一香に続いてお盆で受け取り、空いていた席に移動する。


 というか、なんで一香は食堂のおばちゃんたちの人心まで掌握しているんだ。

 学食派じゃなくて弁当派じゃなかったのか?


「ふふん、生徒会の打ち合わせで食堂をよく使ってるし生徒会の力を使って学食のおばちゃんたちの待遇も改善したりしてるからねー! 食堂のおばちゃんたちはあたしの味方なのだ!」


 一香は俺の思っている以上に有能なようだ。


 生徒たちから姉御として慕われるだけでなく食堂のおばちゃんたちまで懐柔しているとは。

 というか、普通、生徒会がおばちゃんたちの待遇を改善できるのか?


「ちなみに校長も教頭も市の偉い人もあたしの味方だし!」


 なんという政治力。


「あたし将来は政治家になって困ってる人たちを助けたいって思ってるし! そのためには後ろ盾や協力者も必要だし!」


 見た目は明朗快活そのものでだが意外と(したた)かだった。

 まぁ、それくらいじゃないと生徒会長は務まらないのかもしれないが……。


「志が高いな」

「志は大事! それがないと安易なほうに流されてっちゃうからね! そして、根回しも大事! それがないと物事を実現できないからね!」


 立派だ。俺の周りの女子たちはなんでこんなに優秀なのだろうか。

 ちょっと自分が恥ずかしくなる。


一香「応援よろしくぅ!」

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