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ほっぺにキスで彼氏係契約!?

「でも、俺が彼氏係になってもメリットなんてないと思うぞ」

「そんなことない。あたしこう見えて告白の嵐にあってるんだよね。道広が彼氏係になってくれれば告白お断りタイムから解放される!」


 一香、そんなに告白されていたのか……。

 まぁ、これだけ美少女なのに誰にでも気さくで優しいからな……。


 琴音さんは天然清楚系美少女だが、一香は明朗快活な頼りになるギャル系女子。

 琴音さんの髪はサラサラの黒髪ロングヘア―だが、一香は癖っ毛の茶髪。

 対照的だが、どちらも魅力的である。

 ちなみに葉菜は琴音さんとタイプは似ているが、苦労が顔や髪に出ている感じだ。


「あたし、道広のこと尊敬してるよ。愚痴ひとつこぼさないで妹ちゃんのためにがんばってたからさ。なかなかできることじゃないよ」

「いやいや。結局、俺、琴音さんに助けてもらったわけだしさ……それにもっと色々なところに相談して生活を立て直す方法を考えるべきだったのかもしれない……」


 とにかく俺が労働さえすればいいとばかり考えていたが……。

 それは間違いだった可能性もある。


 俺がひとりで背負いこんだことによって、逆に葉菜を心理的に追いこんでしまった。

 あと少しで葉菜が死ぬところだった。ほんと、俺は大馬鹿野郎だ。兄失格だ。


「もっと自分を大事にしなよ。あとさ、もっとあたしに頼ってよ。……ま、扇山家みたいな経済力ないけどさ。でも、あたしだって、道広のこと支えたい」


 そう言うと一香は俺に体を寄せてくる。

 そして、そのまま――俺の頬にキスをしてきた……!?


「ちょっ!?」

「これで契約完了ね! それじゃ、明日から彼氏係よろしくー!」


 な、なにぃいぃいーーーー!?

 驚愕する俺から顔を離すと、一香はニッと歯を見せて笑う。

 あとは振り向くことなく駆け足で去っていった。


「な……なんということだ」


 残された俺は声に出して動揺してしまう。

 スキンシップ係に続いて彼氏係だと……?


「なんなんだ、この展開は……」


 両親が蒸発して多額の借金を背負うことになったと思ったら、お嬢様大富豪に助けられてスキンシップ係になり、続いて学園一の美少女生徒会長からキスされて彼氏係になるとは……。


 俺の人生はいつだって超展開すぎる。


「……よほど俺は前世の行いがメチャクチャだったんだろうなぁ……」


 すごい善行と悪行を同時にしたのだろうか。

 波乱すぎる。


 しかし、なんにしろ運が向いてきたことは確かだ。

 ついこの間までは、希望なんてまったくなかったんだから。

 ……というか、すさまじいプラスへの変化の仕方だけど……。


「……でも、これに浮かれることなく堅実に誠実に生きていかねば……」


 今の俺は本当に運がいいだけだ。

 自分の力でなんとかしたわけではない。

 ほんと、人に恵まれた。


「しかし、恵まれすぎだな……」


 美少女お嬢様からハグされ、美少女生徒会長からキスをされる。

 運を使い果たしているんじゃないか?


「帰りにトラックに轢かれないように気をつけなきゃな……」


 こんな状況で異世界転生しても、まったく嬉しくない。

 同年代に比べてアニメや漫画をあまり視聴できてない俺だが、そういうネタは知っている。

 もう古いのかもしれないが……。


 そんなことを思いつつも俺は弁当箱を開き、一香からもらったお弁当(唐揚げと春巻きと卵焼きとおにぎり)で胃を満たすのであった。


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