一難(おっぱい)去ってまた一難(おっぱい)
おっぱい
「あぁ、うらやましいです♪ わたくしも道広くんともっとスキンシップをとらせてくださいっ♪」
「御意でございます。お嬢様」
ヘッドロックされていた腕が緩められて解放される。
そして――琴音さんへバトンタッチ(というかバトンじゃなくてバストタッチ)される。
「露天風呂の中じゃなければ沈む心配はないですよね♪」
琴音さんは満面の笑みで俺を抱きしめてくる。
顔面に巨乳が押しつけられ、窒息しそうなほどの圧迫感と柔らかさが同時に襲ってきた。
やっぱり琴音さんの巨乳は恐ろしい凶器だ……。
窒息しそうなのに心地よすぎて離れる気力が出なくなる。
このままでは……おっぱい死してしまう。
死因:おっぱい
それはそれでいい死に方な気がしないでもない。
……って、いかん、このままでは本当に窒息死してしまう。
俺は酸素を求めてモゴモゴと顔を動かす。
「あぁあ♪ 至福ですぅ♪」
なにを思ったか、逆に琴音さんは俺への抱擁を強めた。
って、至福とか言ってる場合じゃないんです、こっちは!
いかん、このままでは、本当に死――……。
「……お嬢様、お楽しみのところ大変申し訳ございませんが道広様の呼吸が危険な状態です。そろそろ解放すべきかと」
ナイス凪咲さん。
「あぁ、わたくしとしたことが、ついまた夢中になってしまいました……」
正気に戻った琴音さんは俺を拘束していた両手を離した。
ようやくのことで、俺は呼吸を取り戻すことができた。
「はぁはぁはぁはぁ」
しかし、目の前には琴音さんのおっぱい。
こんな危険物を直視しながら心を落ち着けることなどできない。
というか、これではおっぱいを見てハァハァしている変態みたいじゃないか。
俺は目を閉じた。
そして、深呼吸をする。
「……すぅう……はぁ…………ふぅ……」
深呼吸を繰り返すことで賢者としての自分を取り戻すことができた。
しかし、視界を取り戻した途端にまた呼吸と脈拍が乱れてしまいかねない。
でも、いつまでも目を閉じたままというわけにもいかない。
……やはり慣れねばならないのだろうか。
おっぱいを見てもまったく動揺しない不動心を持たねばならないということか。
……それはそれでどうかと思わないでもないが……。
ゆっくりと瞼を開ける。
視界には、満足さと物足りなさが同居したような表情の琴音さん。
あえて視界の中心を顔にする。その下は動揺の元だからだ。
「……道広くんのおかげでだいぶ心が満たされました♪ ありがとうございます♪」
「……い、いえ……」
ほんと、感謝されるようなことはなにもしてないんだがな……。
ただ一方的に俺が得していただけと言っていい(死にかけたが)。
「体も冷えてしまいますし温泉に浸かりましょうか♪」
「そ、そうですね……」
変な汗をかきまくってしまった……。
ともあれ俺たちは再び露天風呂タイムに戻ることになった。
「ふぅ……」
肉体的にも精神的にも疲れたので、温泉がとても心地よい。
命の危険を覚えない心地よさはいいな……。
安心して脱力できる。
「お兄ちゃんのばか」
しかし、隣で湯に浸かる葉菜は不機嫌だった。
……許せ。これがお兄ちゃんの仕事なのだ。
琴音「面白いと思っていただけましたら評価していただけると心が満たされます♪」




