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おっぱいで轟沈~露天風呂沖海戦~

おっぱい!

「それでは失礼いたしますね♪」


 琴音さんは温泉の中を移動してくる。

 白く濁った温泉を巨乳が掻き分けていくさまは圧巻。

 まるで最強の水軍が迫ってくるかのようだ。


「ちょ、ちょちょちょ!」


 さすがの俺も動揺してしまい、あとずさろうとする。

 しかし、背中には岩。露天風呂から出る以外に逃げ道はない。

 そして、この場から逃げたら琴音さんを傷つけてしまうだろう。


 万事休す。もうこうなったら煮るなり焼くなり押しつけるなりすればいい。

 俺は(はら)を決めた。


「ふふっ♪ 捕まえました♪」


 琴音さんはいたずらっぽい表情を浮かべながら俺に向かって両手を伸ばし――なんと、そのまま抱きしめてきた!


 つまりいつもの抱擁なのだが――。

 俺たちは「裸のつきあい」の真っ最中。

 全裸で抱擁、すなわち、もろに肌が密着!

 

 こちらの胸部全体にえも言われぬ柔らかな感触が押しつけられ、押しつぶされ、幸せな感触が拡がっていく。


「うぁあぁっ……」


 あまりの心地よさに俺は色々な意味で撃沈された。

 轟沈である。

 意識が遠くなり、そのまま水没していく。


「あっ、だ、大丈夫ですか、道広くん!?」

「ブクブクブクブク……」


 なんというハッピーエンド。

 こんな多幸感に包まれながら死ぬのなら本望ではなかろうか。


 人生の終着点がこれならオールオッケー。

 寿命の前に死ぬことすべてがバッドエンドではない。

 俺はおっぱいで死ぬ……。


「わわわ! お兄ちゃん、死んじゃだめぇ!」

「し、しっかりしてください、道広くんっ」

「引きあげましょう」


 こんなときでも冷静な凪咲さんによって俺は引き上げられた。

 そして、うつぶせの状態にされて背中を叩かれて、飲んでしまった温泉を風呂の外に吐き出した。


「……うぐぇっ、げほっ、ごほっ……!」

「……これくらいなら病院に行かなくても大丈夫です」


 凪咲さんに背中をさすってもらっているうちに落ち着いてきた。

 ……情けない。こんなことで周りに迷惑をかけてしまうとは。


「申し訳ありません、道広くん! わたくしったら、なんということを……!」

「……い、いえっ…… だ、大丈夫です……ちょ、ちょっと……心の準備が足りていなかっただけで……!」


 労働に明け暮れていた俺は女性に対する免疫が0に近い。

 ……まぁ、一香という例外はいるが……あれはただ助けてもらっていただけだし……。


「お兄ちゃん、だらしないよぉ。裸なんて葉菜で見慣れているでしょぉ!?」


 誤解を招くような発言をしないでほしい。


「いや、葉菜は家族だし、というか濡れタオルで体を拭くとかそういうのはノーカウントというか、そもそも葉菜の貧相な胸と琴音さんでは破壊力が違うというか……」


 もうほんと大量破壊兵器と言っていい。

 竹槍と大砲ぐらいの差がある。俺のような紙装甲では太刀打ちできない。


「むうぅ……どうせ葉菜は貧相だよぅ……!」


 しかし、それは年齢的に仕方ない。

 でも、俺の一族はみんな貧相なので将来は暗いかもしれない。


「ともかく、もう大丈夫です……お騒がせしました……」


 ああ、もう。せっかくの楽しい温泉タイムが俺のせいで台無しになってしまう。

 なんとか挽回せねば。


琴音「楽しんでいただけましたら評価していただけると嬉しいです♪」


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