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妄想の帝国

妄想の帝国 その30 “ユーアーザ・デス ペナルティ!” 旧ニホン国政府関係者審判番組絶賛放映中!

作者: 天城冴

某ニホン国では、新型肺炎ウィルスの対策を怠り、世界から大顰蹙。ついにニホン政府はアメリカをはじめとするカッコクレンに占領され、ニホン政府関係者および忖度したマスコミ、著名人はお台場プリズンに監禁。アメリカのドランプ大統領はヒーロー兼裁判官として彼らをさばき、その様子を世界中に放映していた…

ニホン国某テレビ局内にて

二人の男が超人気番組の打ち合わせをしていた。

「おい、今日のさらし者じゃない、主役級の出演者は誰だよ、もう本番まで30分しかない、もう発表しないと番組サイトがクレームでパンクするぞ!」

「すみません、先輩、今アップします!高視聴率を常にキープするためとはいえ、放映直前まで発表できないなんてキツイですね」

「視聴者を飽きさせないための工夫だよ。誰がつるし上げになるか、先にわかったら、見ない奴もでてくるからな。何しろ出演予定者が何百人、SNSで暴言吐いてた旧ニホン政府の雇ったバイトども、ネトキョクウだっけ、あいつらまで含めると何千、下手したら何万人だからな。まあ、1時間で2-3人、スペシャルだと2-3時間で10人足らずとはいえ、続けようと思えば何年でも続けられるんだよ、この番組は」

「それまで、俺ら安泰ですかね、この番組のスタッフですから」

「そりゃわかんねえよ。一応俺らは旧ニホンのテレビ番組、しかもこういうバラエティ作ってたからってことで、まだ雇われているだけだからな。何しろ旧ニホン政府にはマスコミも協力してたってことで、違う局の奴等も出演予定者として、お台場プリズンに拘束中だからな。他と比べてアベノ政権寄りじゃないってことで、俺らの放送局はお目こぼしされてるだけだから」

「あの三径新聞の奴等の本社を拘束場所にするなんて、アメリカのドランプ大統領もなかなかですよね。しかも、拘束された奴等は、この番組を無理やりにでも見なきゃなんないんですから」

「そうだな、これみて来週は自分の番かもって思っただけで、寿命が縮むだろうよ、拘束中の連中は。黄泉瓜新聞のトップのワタベンなんて視聴途中で心臓発作起こして、あれ生中継しろっていうんだから、アメリカ様も無茶いうぜ」

「しょうがないですよ、先輩。ニホンはアメリカに再占領されちゃったんですから。旧アベノ政権がウィルス封じ込めだの、経済政策だのに大失敗して、世界の敵とかいわれて」

「まあ、ニホン国内でも野党とかリベラルとか市民連合とか騒いでたけど、アベノ政権倒すまでにはならなかったからな。で、次期大統領選を睨んだアメリカ大統領のドランプ様が同盟国のニホン国民を救うため、アメリカ軍を出したと」

「もともと在日アメリカ軍がいましたからねえ、占領なんてあっという間。しかも、自分の番組とかもってたから、演出がうまいのなんのって、ドランプさん。手八丁口八丁で国際機関のカッコクレンも自国民も、ニホン国民でさえ納得させちゃうんですから」

「“アベノ首相は私の友人だが、間違ったことを行い、世界の人々を脅かす存在となったからには、許すことはできない。ニホン国に対し軍を出すのは苦渋の決断だが、アメリカのため、世界のためにはやらねばならぬ”とかなんとかいってさ。正義のヒーローよろしく、ニホンと世界の平和を脅かすアベノ政権を倒したんだよな。ほんと、演出うまいわ。そもそもジエータイなんかアメリカ軍にかなうわけないから無抵抗も同然だよ」

「装備とか全部筒抜けだったんでしょ、それにいきなり、一夜にして占領ですから。寝込みを襲われたようなもんですよ」

「ホントあっという間だったよ。あれよ、あれよという間に旧ニホンの関係者が拘束されて。もっとも地位や権力をいいことに好き勝手やってたからな。国民の税金使うは、政権よりのニュースばかり流して国民だましたりするし。政権批判は許さないって独裁国家かよ、って感じだったし」

「俺らも無理に政権バンザイ番組つくらされそうになって、なんとかかわしてましたよね、上の人が。でも、役人の奴等もバカですよね、あんなのについてくなんて」

「官僚もアベノとお取り巻きに人事権だの握られてたからな。媚びりゃ出世して天下りし放題、逆らえばクビで私生活までさらされ地獄。そうなりゃ逆らう気もなくなるだろ。国民は怒り心頭だったけど」

「だから、この番組は人気が出たんですよね。旧アベノ政権とかの嫌な奴等が懲らしめられるだから」

「そうなんだよな。それもヒーローのドランプ大統領自ら、裁定を下すっていう構成がさ。やっぱり上手いよな。正義の味方が民衆の声を聴いて、悪を裁くっていうのがさ、全世界的にウケるわけよ」

「ですよね。この間のザガワとかの日はスゲエ視聴率でしたよね。あの自殺した地方役人の奥さんが出演して、遺書を涙ながらに読み上げたんですよね。ドランプ大統領も、もらい泣きして、自らザガワに対してデス ペナルティ!のセリフを投げつけたときは拍手喝采。つうかデータ投票すごかっですよね。あっという間に1万票以上集まって」

「10万以上投票で、刑が執行だからな。いくつか処刑方法はあるから、縛り首とか石うちの刑とか。でも、全部が全部十分以内で10万票以上だぞ。どんだけの国民が見てたんだよ」

「処刑予定者じゃない出演者発表時にすでにアクセス数がすごい数でしたし。SNSであっという間に拡散されて、みんなテレビの前に釘付けだったらしいです。放映中もザガワに対し罵詈雑言、奥さんに対しては同情のコメント、ドランプ大統領には“早く裁いてください”とかの催促の言葉がネットにあふれてたって」

「それとあのザガワの顔。しれっとした顔で国会答弁して出世した、あの野郎の顔が恐怖で歪む様が画面に映し出され時には、瞬間視聴率が50%を超えたって、上が小躍りしちゃって」

「でも、先輩。いくらザガワだって、一応ニホン国民ですよ。こんな見世物みたいにされて処刑されていいのかなあ」

「俺も疑問に思うことはあるよ。だけどな、あいつらはニホンを駄目にして、さらに世界の人々を危険にさらしたアベノ政権のお仲間なんだ。いわばニホンを滅ぼしかけた戦犯みたいなもんだろ。先の敗戦で戦犯をきっちり裁かなかったせいで、こんなことになったという意見がでてきて」

「で、ドランプ大統領が裁判官みたいなことやるんですか。あの人結構気分屋でしょ、公平中立な裁きなんてできるのかなあ」

「いいんだろうよ。裁かれる奴等はどう扱われたっていいような奴等って、みんな思ってるんだろ、死んで当然って」

「それをドランプ大統領が人気取りのために番組にしたってことですか、超人気長寿番組間違いなしってことで」

「まあ、そうだろうよ。自分の大統領選の、自分の任期を長くするために、この番組を作ってニホンはおろか世界中に流す。ニホンを滅茶滅茶にしたアベノ首相のお仲間の悪の所業をいちいちとりあげ、視聴者がそれに対してコメント、意見を出し、ドランプ大統領が裁く。とはいえ、ほとんどデス ペナルティ!だけどな。違うのは処刑の仕方ぐらいで」

「ホント中世の見世物ですよね。いくら再占領中でロクに娯楽がなくて、ニホン全体が息苦しいことになっているとはいえ、ねえ」

「そうはいっても、これが終わったら、俺らだってどうなるか、わからないんだぜ。配給待って、楽しみは近所の公園とか、細々とやってる温泉行くぐらいっていう生活がいいのかよ。これのおかげで給与もらえて少しはいい生活できるんだからさ」

「…、そうですね。あ、そうだ、今日の主演はモモタンです」

「あいつ新型肺炎じゃ…、そういやなんとか生き延びたけど、ロクにしゃべれなくなったから表にはあんまり出てこなくなったんだな。それでも前からアベノ寄り文化人モドキってことで有名だったから、ちょうどいいかもな。先週はパっとしない奴等ばっかりだったし」

「肺炎で生き延びたのにこれじゃ、やりきれないでしょうけど、まあ仕方がないですよね。今までが今までだから」

「そうそう、自己責任ってやつだよ。今まで、さんざんいい思いしてきたしな、あいつ等は。国民を踏み台にしてさ。だからしょーがないってこと、ドランプ様に裁かれて、ニホン国民の慰み者になるわけよ、じゃ、本番準備な」

「はい、全出演者の発表もすみました。今からアクセスすごいですよ、今日の視聴率はどれだけになるんだか、予想もつきません」

「ドランプ大統領との中継もつながったな。まあ大臣クラスだと自らお出ましってこともあるけど、モモタンごときだとネット中継か。それでも皆楽しみにしてるだろうよ。次の出演予定者たちは震えてるだろうけどな」

男たちは番組の準備のために別の場所に移動した。


どこぞの国では対策が後手後手にまわり、世界各国から気味悪がられているようですが、今後どうなるのか非常に心配です。

命にかかわるというのに利権ばかり気にするお粗末な対応に不安を覚えた滞在中の外国人たちが母国にSOS送ったらどうなるんでしょうね。

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