ファタイトの街3
ブックマークしていただいている方もいるようで。
大変嬉しいです。
前回の続きとなります。
急に何を言っているんだ、この少女は。この俺が世界に変革をもたらす?冗談もいいところだ。俺はパーティを追い出された役立たずだったのに。何をどうしたら変革をもたらすなんて言えるんだ。
俺の疑問を察してか、ジーナは言葉を続ける。
「私は占い師です。勝手ながらマト様の未来を占いました」
ジーナは少し大きめのカードを取り出し、シャッフルする。見えている面は、この部屋の扉にもあった花の絵だ。これは、タロットカードだろうか?
ある程度シャッフルを終えると、上から3枚のカードを表に出した。何やら絵が描かれているが、どうやら俺の知っているタロットカードとは少し違うようだった。
俺から見て一番右のカードは、中心に少し偉そうな人がいて、その下には崇めるような人たちが。真ん中のカードは、何やら地割れを起こしている隙間から光がさすような感じ。そして一番左のカードは、いろんなものを操っている凄そうな人がいた。
「これはマト様の未来です」
ジーナは左のカードを指差して、説明を始めた。
「時系列としては、マト様から見て、左からになります」
そこまで言うと、ジーナは先程より少し小さめのカードを取り出した。同じようにシャッフルをし、並べていく。
「さらに詳しくわかるカードになります」
よくわからない配置でカードが置かれた。なにやらごちゃごちゃしていて、俺には理解ができない。
ジーナは説明を始める。
「一番左は[あらゆる能力を操る覇者]という意味です。初めは、ご自身の能力に気づいていないようですが、近いうちに能力解放に繋がる何かが起きます」
「何かが…?」
「これは私の口からは言えません。マト様が気づくことに意味がございます」
随分と意味深そうにジーナは言う。…俺があらゆる能力をか…まあ、占いだしな。
「お次は、こちらです」
ジーナは中央のカードを見るように促す。
「中央のカードは、[革命]という意味です。この世の根幹を破壊し、新たな光をもたらすでしょう」
「破壊してしまっていいものなのか?」
「はい。この世の根幹は、悪です。マト様はその悪をなくし」
ジーナは右のカードを手に取り、俺の前で示す。
「光をもたらす創造主、王となるでしょう」
「王…」
なんとも現実離れした話だ。能力者、破壊して創造主?「役立たず」と罵られ、パーティから追い出された俺が?
「アハハ。ありがとうジーナ」
占いは占いだ。本気にしてはいけない。軽くお礼を言い、席を立とうとした。
「マト様。マト様は、私に会うのは二度目ですよね」
やはり今朝のは夢ではなかったのか!
「あの時の少女はジーナだったんだね」
「はい。私の占いの結果は、この会話が何よりの証拠となります」
「どういう意味だ?」
「マト様は、無意識的ではございますが、能力の一つが開花しつつあります。その一つが今朝のことだったのです。実は、私はその場にはおりませんでした。マト様を占うために、とある力を飛ばしていたのです。ノーマルはもちろん、スペサラーの方でさえ、私の姿は見えないのが普通ですが、マト様には見えた。それが証拠です」
「なぜ力を飛ばすと姿が見えるようになるんだ?どんな能力なんだ」
すると、ジーナの顔が途端に曇る。
「それは…私の力に関しましては、ご説明できないのです。つきましては、マト様の開花しつつある能力のご説明もできません」
少し怪しがりながらも、小さな少女相手に意地を張る必要もないため、話は終わった。
立ち上がろうとしたとき、ちょうど良いタイミングで、サナが椅子を引く。
「また近くを通ったら、ファタイトに寄るよ」
ジーナは深くお辞儀をし、俺は占い部屋を出た。
サナに玄関まで送ってもらった。
「お待ちしております」
と深々とお辞儀をしていた。
ジーナの家を出た俺は、伸びをする。
「いや〜暇つぶしにしては、話が壮大だったなあ〜」
俺は、今後起こる壮大な出来事を知らずに、呑気に呟いた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
感謝しかございません…
4話も読んでいただけるなんて…
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