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オープニングと外れもの

 この世界は、ケモノのような見た目をした人間、魔物人間ナサラーと、特殊な力を持った人間、特殊人間(スペサラー)が争っている。


 初めは『普通の人間ノーマル』として生まれるが、成長するにつれて特殊な力を得られ、《スペサラー》となる。


 《スペサラー》はこの世界で正統な人間であるとされ、《ナサラー》は争いの種でしかなく、必要のない存在であるというのがこの世界の決まりだ。しかし《ナサラー》たちも元々は《スペサラー》である。


 ある日を境に、《スペサラー》だったのにも関わらず、毛深くなり、耳が縦に生え始め、《ナサラー》になってしまう。


 原因はわかっていないが、俺たち《スペサラー》は『何か過ちを犯しているからだ』という認識で《ナサラー》を排除している。


 とまあ、これも噂の範囲である。全ての謎は『エンゲート』に隠されている。





















「はあ!?」

 俺は耳を疑った。

「今までずっと仲良くやってきたじゃん!なんで俺をパーティから追い出すんだよ!」


 パーティのリーダーであるケンロウは鼻を鳴らしながら言い放った。


「何度も言ってるだろ!お前は役立たずなんだよ!ヘボい強化魔法しか使えねえじゃねーか!」

「そうだ!そうだ!」


 ケンロウの言葉に続き、他のメンバーたちも口々に言い始める。


「ていうか俺は最初から使えねえなと思ってたんだよ。戦闘のときも、「あれ?お前いたの?」ってくらい影薄いしよ!」


「だよな~。いてもいなくても変わんないっつーの」

「ホントに魔法使えてんの?職業選択ミスったんじゃねえ?」


 俺がいるこの世界では、職業選択というものがある。俺が選択した魔導士や、騎士、勇者など職業は様々だ。ちなみにケンロウは勇者である。見た目は勇者というより、ただの脳筋野郎にしか見えないのだが。


「いいか、マト。俺たち『ストロンガ-』は仲良し集団じゃねえんだよ。マジで『エンゲート』目指してやってんだよ」


 ストロンガ―というのは俺が今所属しているこのパーティのことなんだが・・・名前がダサいのはわかっている。『最強』という意味の英語『strongest』から命名したのは言うまでもない。パーティを組んだときに、ケンロウが鼻の穴をふくらませて有無を言わさず決まった名前だ。


 そしてもう一つ。『エンゲート』というのは、この秩序ない混沌とした世界を作り出した元凶でもある、とされている。


『とされている』というのは、まだ誰も、エンゲートを攻略した者がいないからだ。いや、いないというのは少し嘘になる。実は何百年か前に、エンゲートを攻略した者がいたという。しかもたった一人でだ。


 この世界ではパーティを組んで行動するのが当たり前だ。一人で旅をしていようものなら、『外れもの』として変人扱いされてしまう。


 そんな世界でたった一人で、エンゲートを攻略したというのは、もはや伝説である。


  『エンゲート』の最奥部には、そのたった一人の攻略者の名前が刻んであるとかないとか・・・とまあ、噂の範囲内ではあるが、この世界では誰もが知っている話である。


 そして俺は、その『外れもの』の危機に瀕している。


 ここでパーティを追い出されてしまったら、確実に「外れもの」となってしまう。そんなのはゴメンだ。


 一回パーティを抜けたら、別のパーティに入れてもらえるかどうかは、わからない。そもそもメンバーを追い出すなんて聞いたことがない。


「お願いだ!俺を追い出さないでくれ!」


 やれやれといった様子でケンロウが肩をすくめる。


「もうこれは決定事項だ」


「嘘だろ…」


 有無を言わさぬパーティのメンバーの目が俺を貫く。


「…わかったよ……」

 俺の願いは一蹴され、踵を返し、パーティのアジトを去った。


 こうして俺は「外れもの」となった。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

感謝しかございません…


よろしければ評価していただけると嬉しいです。

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