スケルトン強すぎない?
なろうに限らずファンタジーに出てくる名雑魚『スケルトン』。このモンスターが雑魚である所以は力が弱い、速く走れないetc。まあ殴り合いではたいして役に立たないから弱いという感じだ。骨剥き出しなので鈍器で殴られるとよっぽどカルシウム足りてない限りポッキリと逝ってしまうだろう。
じゃあこのモンスターの強みって何、と聞かれるととにかく量産できるという点だ。おまけにアンデッドなので食料もいらない。それだけ~と思うかもしれない。確かにダンジョンものだとだから何だってんだ? ってレベルだろう。
だが戦記物になると一気に凶悪度が増す。具体的には信長が目を剥いて『ナンジャそりゃふざけんな!』とキレるレベルである。喰わぬという事は無から飯を創り出すのと大差無い。大兵力を展開しながら道に縛られない運用が可能だという事である。よく要塞などの話題で『迂回すればいい』と主張する迂回厨なる者がいる。兵隊は道から外れてもある程度進軍できるが、兵糧を運ぶ兵站部隊は道から外れては行動できない。個人が運搬できる限度は3日程度だといわれる。つまりこの時点で行き返りの事を考えると兵隊の射程は1日と少しまで落ちるのだ。その道以外の手段で兵糧を運ぶ見込みがない限り進路を脅かす要塞は排除するしかないのである。
さらにアンデッドの特性として士気が無いというのも脅威である。士気が無いという事は兵の逃亡四散が無いという事。国家主義というものが誕生するまで、兵士をコントロールするというのは将軍たちの至上命題であった。中世期の軍隊はお家大事で面子と功績第一主義の騎士階級とそこら辺から徴兵された傭兵たちで構成されており、将軍の命令無しに前にも後ろにも突っ込んでゆく暴れ馬だ。
軍団を後退させようとしたときに『これ負けるんじゃね?』と兵士が感じたら戦線が一発で崩壊する。これは非常に大事で、伊達政宗が下がってくる別の味方に射撃をした時に後の審議で『戦線の崩壊に巻き込まれそうになったから喝を入れてやりました』と主張したらお咎めなしになったりするレベルである。
スケルトンにははじめからその心配がない! どんな不利な状況でも前にも後ろにも動かせる。それは現実の人間の軍では精鋭だけが持ち得る特性である。
更に更に~スケルトンの有用性は戦闘中だけに留まらない。略奪や強姦といった戦争犯罪⋯⋯⋯占領地で兵隊がやらかす問題は現代に至るまで重大な問題である。放置すると現地民に恨まれ抵抗活動に発展してしまう。人間ならアドレナリンがドバドバの状態だと粗暴になるのは仕方ない事である。
だが、スケルトンにはそれが無い! 使用者の命令無しに略奪も強姦もしないのだ!
このコスパ最強のプラットフォームに銃火器という個性無い武器を持たせれば更に凶悪度倍増である。
老若男女誰が使っても威力の変わらない銃はスケルトンに装備させても同じ威力で弾を吐き出す。
後は世界征服の為にどうすれば良いかもうお分かりであろう。力の限り銃を量産して、後は老若男女全てぶっ殺してスケルトンにするのだ。後はひたすらに平押しである。100体のスケルトン戦列歩兵で敵を破れんのなら1万体の戦列を戦場に送りこむんじゃ。反乱起こされてもぶっ殺して徴兵じゃ、墓場からも徴兵できるのはアンデッドの特権!
⋯⋯⋯これが主人公のやることかよ~