いまさらマジメに包囲殲滅陣を考察してみる
ほんっと今更ながら、なろう界隈を騒がした伝説の300VS5000の戦いを考察してみる。まず第一にこの作品では不可能と切って捨てるのではなく、どのような条件ならこの戦闘は可能になるのかを考察してみる事にする。まあ、ファンタジーでは1対6万もありなので現実的な考察は難しい。”ありうるかも”と納得できる道筋をつけてゆく事にする。
戦力
元の設定では敵は右翼に弓騎兵1000、中央にオーク2000、左翼にペガサスナイト1000の編制である。オークの武装は棍棒など近接武器のみで、ペガサスナイトは弓での射撃戦を中心に戦う。それに対して、こちらは左右両翼に魔法戦部隊を100ずつ展開し右翼には人型決戦兵器が一機ある。中央は歩兵100の装備は不統一、さらに胸壁製造兼砲台が一機配備されているという戦力だ。地形・天候の詳細な情報はないので、特に見所もない平原で晴天で対峙した野戦とする。
左翼 敵中央 敵右翼
(ペガサスナイト)(オーク及びトロル)(騎馬弓兵)
1000 2000 1000
↓ ↓ ↓
↑ ↑ ↑
左翼 中央 右翼
(防壁兼砲台)(人型決戦兵器)
(魔術職) (鎧歩兵) (魔術職)
100 100 100
戦闘の推移
魔族軍団はそれぞれの軍団に襲撃をかけている。そして左右両翼が敗走することで中央がに殴り込みをかけて三方向からの包囲を成功したという流れになる。
ここで疑問が生じる。主人公は包囲一択で行動していたのだ。単純に300を一か所に並べたのだろうか?
そもそも上の図は戦場を正確に表していない。単純に並べれば下のようになってしまう。こんな初期配置では包囲もへちまもないので、勝ち筋はガウガメラよろしく中央の指揮官狙いで戦いを挑むしかないだろう。
敵左翼 敵中央 敵右翼
(ペガサスナイト)(オーク及びトロル) (騎馬弓兵)
1000 2000 1000
↘ ↓ ↙
↑
300
包囲しようと考えるなら配置はこうするが適当だろう。
敵軍団
4000
↗ ↑ ↖
100 100 100
おっ何だか包囲できそうじゃないか? いけるいける。えっ敵はほぼ孤立しているみっつの軍団を4000の軍勢で3回押しつぶせばいいって? しかし実際はそうならなかったのだ。敵は軍団を3つに分けてそれぞれの方向に向かっていった。ご丁寧に騎兵・歩兵を分けての攻撃である。これは一体どうしたことだろう? ここに疑問が再び生じる。この魔族の集まりにそもそも”指揮官”は存在したのだろうか。というかこいつ等は軍隊と言えるような存在だったのか? 単にそれぞれの種族がそれぞれ勝手に自分の獲物を襲っているだけのようにしか見えない。こいつは自然発生的にチーム組んだだけの似非軍隊なのではないか。
となれば次に重要なのは敵両翼の機動戦力がさっさと撤退した理由だ。これは単純にやる気がなかったのではないだろうか? 魔族軍の士気や戦闘目的がはっきりしていないが略奪目的なら損害に対して耐性がないのも頷ける。恐らく両翼の部隊はオークから小遣い稼ぎに行こうぜ、的なノリでこの戦いに参加したのだろう。ところが片や対空機関砲の如く魔法を連発してくる魔導士にひとりで何でもできる人型決戦兵器と対峙したのだ。こんなの詐欺だぜ! とそそくさと撤退したのも納得だ。
えっ小遣い稼ぎに1000は多すぎるって? 気にするな! 奴らとて必死だ、そのぐらいするだろう。
そして両翼が逃げ出したので下の図のように中央軍勢を挟みこんで攻撃することで包囲完了です! 後ろが開いているが気にするな! 孫氏も敵は逃げられると信じている限りまじめに戦わないと言っている。窮鼠猫を噛む。完璧な囲みは敵に死力を尽くさせますからな。逃げる背中をブスリと刺して行こう。
100→ オーク軍団 ←100
2000
↑
100
最後に考察すべきはこのオークとかいう生物の社会性だ。両翼の部隊もさっさと逃げるなど闘志に欠ける連中だがコヤツ等に戦いにおいて戦術だとか戦略をもって行動している臭いが全くしない。単純に目の前の集団に突撃をかましているだけである。いや、その突撃すら精悍さにかけるフラフラしたものだ。スペック通りの性能の三割でも発揮すれば20倍の人海戦術で中央は潰せるはずである。しかし、潰せないどころか味方の損害からまともに攻撃を行っていないことが分かる。
ここから想定できる敵の内実とは、この豚ども、戦闘中にもかかわらず内部抗争で主導権を争うべく有力者同士が言い争いでもしていたのではないか? そうであるならこの有象無象の集まりがまとまりなく負けたことにも納得がいくのではないだろうか?
結論、想定される魔族軍の敗因とは!
①各軍団の意思疎通が絶望的に貧弱
②戦闘に欠ける戦意が低すぎる
③内部の統率がクソ以下
④ロイさん強すぎィ!
英国擲弾兵もどんな英雄よりも統率された軍団の方が強いと歌っておる。
その意味で力自慢の暴徒の群れに過ぎない魔族軍が勝てる可能性は一割しかなかったのである。
えっ? ウチの軍団も冒険者とかいう無頼漢の集まりだって? ⋯⋯⋯知らんなそんな事は。