49なあおい、ありゃあなんだ?
ムータスーイ島の広場は今や完全に制圧された。
虜囚の身となった襲撃者達は三体の鉄の巨人が見守る中、島の住人達の手によって縛り上げられている。
「状況終了。作戦は概ね成功した」
「了解した、これよりスフェアヴルムの入港作業に移る」
無線機越しにレミルが返答する。脅威を排除し、同盟を期待できる勢力の居るこの島は、夜と昼の境界に近いので、近辺を調査する際の拠点にできるのであれば調査もしやすいだろう。
制海権も制空権も取ったのだ、後は残党の警戒をしつつ待機するだけである。
「なあおい、ありゃあなんだ?」
「ん?」
広場に居た住民の一人がスフェアヴルムの居る方角を指している。何事かと思い見てみればそこには黒煙を吹き上げつつ今にも沈んでしまいそうなほどにズタボロなスフェアヴルムの姿があった。
「なん・・・だと・・・?」
突然の事態に唖然としてしまった。その隙を付くかのように広場の中心が爆発した。
「ぐっ!」
機体が大きく揺れ、バランスを崩して膝立ちになる。
「なんだ一体・・・何が起こって」
「たまたま通りすがった身だが、とても見ておられぬ」
爆発の中心から地獄からの呼び声の様に低い声が響く。
「オヌシ等の生き様、その終着だ。ストーリー殺すべし。イヤーッ!」
決断的なシャウトと共に爆発で巻き上げられた土煙から姿を現したのは・・・忍者だった。
「ぐおっ!?」
忍者が放ったなんの変哲もない飛び蹴りがスレイトリオンの頭部に直撃し機体が倒れた。頭部が破壊されたのかメインモニターが消えた。
「えぇい!たかがメインモニターがやられただけだ!」
機体各所に配置されたサブカメラを用いて忍者の姿を探す。
それはすぐに見つかった。
最初に爆発し、土煙の張れ切った広場の中心に堂々たる姿で立っていた。
その忍者は黒い装束を身にまとい、顔は禍々しく語殺と彫られた面頬で隠されており、深淵を宿したように赤黒く光を放つ双眸以外見る事は出来ない。
「ドーモ、始めまして。ストーリースレイヤー=デス」
忍者は・・・いや、ストーリースレイヤーはこの状況にあってもお辞儀をして挨拶をした。
「敵を前に挨拶など!」
スレイトリオンはまだ頭部が破壊されただけだ。少しバランスを崩して倒れただけでまだ動ける。
「・・・!?どうした!なぜ動かん!」
「状況判断だ」
淡々と、そう宣言するストーリースレイヤーの手には数本のケーブルが握られていた。
「あれは伝達系のケーブル!?まさかさっきの飛び蹴りの時に!?」
「オヌシ等には最早付き合ってられぬ。進展も無ければ突然の方向転換、果ては目的の見えない主人公。プロットすら用意せずに行き当たりばったりで進めた結果が私だ!ハイクを詠むが良い、カイシャクしてやる」
「な、何を言って」
「イヤーッ!」
そこで俺の意識は途絶えた。死んだのだろう。




