38よし、じゃぁ・・・尋問しようか
ツイッターダグチャレンジの残りを消化するために短編書いた後に本文書くとかまずもって順序が違うと思うんですけど(ブーメラン)
ガキンガキンと剣戟の音が狭い室内に響く。合間を滑る様にジャラジャラと蛇腹剣の音もする。
「これ!狭い所じゃ使いにくいです!」
「じゃあ普通の剣として使いな!」
鉄兜の後頭部をSA80のストックが殴打する。脳震盪を起こしたのだろう。その兵士は地面と熱烈なキスをした。
「まったくこれだから・・・戦争なんて嫌いなんだ!」
横合いから大上段で振り降ろされた剣をSA80で受け止める。ギリギリとプレス鋼板が鳴る。薬室のカバーが吹き飛び銃身が歪む。
「戦争が嫌なら降参してください!我々は平和的な解決を望んでいます!」
「なら剣よりもペンを振るいな!」
受け止めた剣を払いのけSA80を横降りにすると無防備な脇腹にクリティカルヒットを見せた。
「ガハッ」
「はぁ・・・はぁ・・・あーしんど!」
ボロボロになったSA80を杖替わりにする。こいつはもう鈍器としても役不足だろう。ストックが凹み銃身が歪んでプレス鋼板で構成された部分もベコベコにへこんでいる。適当に作ったから五発目でジャムを起こしたのもまだ精度が甘かったからだろう。やはり精密機器の集まりである銃器を知識が無い者が作るのは無理があるか。
「取り合えずこいつ等は縛り上げとこうか」
「了解しました」
攻め込んて来た兵士の両手足を縛りあげる。見た所骨が折れている者は何人か居るが死人は出ていないようだ。
総勢十名の武装した兵士が非戦闘区域に攻め込んできた。この事実は早めに他の前線にも伝えるべきだろう。
と言うか武装した兵士が平然と後方に入り込めるとか前線はどうなってるんだろうか。もしや戦線が崩壊したとかだろうか。
「で?こいつらはなんだっけ?バカレール?だったか言う国の何?レゴラウスは分かるか?」
「ルバーレカです隊長。ルバーレカ神聖国。レカ教とかいう宗教の元に統一された国家です」
「ははぁ宗教国家。そりゃまた面倒くさい」
「恰好からして聖堂騎士の下っ端でしょうかね?あの国は騎士階級には記章があるそうですがこいつ等は身に着けていません」
レゴラウスが兵士の身に着けている布をヒラヒラさせる。
聖堂騎士と言えばバケツヘルメットのごっつい奴等ってのを想像するがこいつらはどうにも新兵よりはマシ程度のなりをしている。
それに攻撃の仕方や避け方が訓練された兵士の物に近いが未熟さがぬぐえない程お粗末な物だ。ただ鈍器を振り回す俺にのされていたのもその考えに拍車をかける。
「お?」
少し地面が揺れた。地震だろうか。震度はそこまで大きくないが長い。
「隊長!あれを!」
レゴラウスが窓の外を指差した。
大地が割れていた。交戦区域のど真ん中で放射状に広がった地割れは敵味方を問わずにその奈落の顎に飲み込んでいった。その中心部からは斜め三十度程に傾いた直径が三十メートルは超えていそうな円柱が生えてくる。
「なんだありゃぁ・・・」
「傾いている方角は・・・南東のようですね・・・連合軍の新兵器でしょうか」
「新兵器と言うには味方を巻き込み過ぎている・・・別の何かと考えるべきだ」
未だに響く地鳴りと伸び続ける謎の円柱。警戒すべき事は山程あるがまずは現状の確認をしなくてはならない。
「レゴラウスはそいつらを見張っておいてくれ」
「隊長は?」
「俺もアイルネ達が戻ってくるまで此処にいる」
「ではどうしますか?」
「兎に角情報把握だ。アイルネ達が戻り次第お前とサーレイフラを第三師団の元へ向かわせる。指揮系統が無事なら現状の確認だけして自身の安全を最優先に戻ってこい」
指示を出しつつ適当な角材や板材をいくつか用意する。
この砦は何故かこういう物資が所々に配置されている。近くに大き目の窓がある事が多い為恐らく敵の侵入を防ぐ為に窓の封鎖などで使う予定の物資なのだろう。
まず細長い角材を三十センチ程に切った物を五本用意し、板材は五×二十程の長方形に切り出した物と五×五の正方形に切り出したものをそれぞれ二つ一組で角材と同じく五組用意する。
それを何と言うかこう・・・いい感じに組み立てて鳥っぽい見た目になったら長方形の板材に魔力推進の術式を組んで角材には映像記録の術式を組み込む。
そして正方形の板材には姿勢制御をさせる為に動翼としての機能を持たせて角材が地面と水平になり続ける様に単純なプログラムで動く演算機をドーフェルの時と同じ感覚でねじ込む。
そして胴体のハードポイントに魔力増槽を搭載する。片道分の増槽なので切り離したらUターンするように設定しておく。
これで即興制作ながらも単純な指示で単純な軌道を飛行する単純な偵察機の完成だ。
五つ作ったのは五方向に飛ばしより広範囲の情報を集める為だ。
「隊長!只今帰還しまし・・・」
即興偵察機を作っている間にアイルネが帰って来たようだ。
早速ばらばらの板切れと捕縛された敵兵とそれを甚振っていたらしいレゴラウスに絶句した。
「こ、これは一体・・・」
「詳しい事はレゴラウスに聞け。俺はこれを作るのに忙しい」
傍から見れば小学生の工作にも見えるが、工具が無いので仕方が無い。最初に用意しておけばよかったが、作ってしまった物は仕方が無い。使えるのだから使ってしまおう。
適当な強度を持っている棒に作ったゴムを括り付ける。隊舎の執務室で資源地図と呼ばれる各種資源の分布を示した地図には燃える水や油が湧き出る場所などの記述が無かった為石油化学は絶望的とも言えるだろう。
作ったゴムで即興偵察機をパチンコの様に飛ばす。
田舎の駄菓子屋とかで売ってるゴムで飛ばす飛行機のおもちゃがあるだろう?それを想像すると分かりやすい。
これを凡そ二十度位の間隔で飛ばす。術式も上手く起動しているようで順調に飛んで行った。
「よし、じゃぁ・・・尋問しようか」
全部の即興偵察機が戻ってくるまでは此処で待機する予定なので尋問をしていく。時間は有限なのだ。
適当な一人をレゴラウスに羽交い絞めにしてもらい、徐に装備を外す。それはもう下着だけになるまで剥ぐ。
・・・どうやらこの世界の下着事情はあまり芳しくないようだ。
ヨーロッパの古い下着と言うか肌着と言うか・・・まぁドロワーズみたいな奴の腰紐だけの物であった。
これを剥げば下着かなと思い脱がしてみるとズルンボロンだ。脱がす直前にハイルラが顔を背けていたのに気づいていればこんな誰得なサービスシーンを見せなくて済んだかもしれない。
まぁこの世界にジュネーブ条約など無いのだ。捕虜の扱いについて法的に裁かれる事は無い。
つまり全員ひん剥いてやってもいいわけだ。
「・・・くっ!殺せ!」
「それはどちらかと言うとレゴラウスのセリフだろうに」
「私は此処迄の無様は晒しませんよ?捕まれば尋問の前に自害します」
「君はもっと自分を大事にしなさいレゴラウス君」
即興偵察機を作ったときに出た端材で柱に磔にしている捕虜達のご子息をぺちぺちしてやる。流石に反応するような奴は居なかった。居なくて良かった。
適当に捕虜を一人、別室に連れ出して尋問を行うとしよう。
「さて、レゴラウス君。尋問の経験は?」
「ありません」
「よし!では手本を見せよう!」
勢いよく、それでいてショック死しない程度に息子さんを蹴り上げてやる。
「ガフッ!?」
それだけで捕虜は泡を吹いて気絶した。
「ほら起きろ!」
そこにあばらを折らない程度の力加減で腹部を殴打する。
「オゴッ!?」
すかさずに吹き出していた泡を吐き出し意識を覚醒させる。
「よし!起きたな?じゃぁここを襲った目的を喋ろうか」
顔を鷲掴みこちらに無理やり向かせる。目が泳いでいる。まだ気絶から覚めていないのだろうか。もう一度と思い腕を引き絞ると首の固定を外そうと抵抗し始めた。どうやら起きたようだ。
「ほら喋れよ?な?もう一回逝っとくか?逝きたくねぇだろ?ゲロっちまったら楽になるぜ?」
捕虜が少しづつ涙目になり始めた。驚愕から立ち直ったレゴラウスも流石に止めるべきかと迷っているようだ。
「レゴラウス君!インストラクションワンだ!」
「は?は、はい」
「鞭の後は飴を与えるべし!」
ジャラリと足元にある鎖を引っ張るともう一人の捕虜が転がってくる。
「カ、カトレア!」
「アグリア・・・」
どうやら磔にした方の捕虜はアグリアと言うらしい。そして飴になる捕虜はカトレアと言うらしい。
まぁ飴になるのだから名前なぞどうでもいいのだが。
徐に飴の左足を膝下から切り落とす。
「ガァァァァァァァ!」
「カトレア!」
麻酔も止血も無しだ。これは痛いだろう。痛いで済めば良かったろうに。
「さて、アグリア君。同僚が苦しむ様を見てどう思ったかい?」
「この悪魔共め!貴様らの行いはルカ様が許さないだろう!」
唾を吐きかけてくるが飴の傷口を盾にする。
「おぉ!傷を舐めれば早く治るとか唾つけとけば治るとかいうのはこっちでもあるのか」
「いえ、少なくとも私は知りません」
レゴラウスから手厳しい突っ込みが入った。
それはそうとして切り落とした飴を飴に加工する。風の刃でミンチを作る魔術スクロールを取り出して飴の足を細切れにして血と肉と骨に分ける。
今回は血を使って飴を作る。あらかじめ沸かしておいた水に砂糖を入れて粘り気が出て来た所で血を入れてしっかりと混ぜる。
固まり始めた所で型に流し込み、固まるのを待てば完成だ。
固まるのを待つ間に原料が死んでしまったがまぁ致し方あるまい。
「さぁアグリア君。君が喋ってくれないから彼は死んでしまったんだ」
「あ、あぁ・・・」
「ほら、鞭の後の飴だ。たんと食べると良い」
「嫌だ・・・嫌だ!」
「じゃぁ喋ってくれないかい?俺達は友達じゃぁないか」
捕虜の体を軽くなぞるとそれだけで恐怖で体が震えているのがわかる。ガチガチと歯を打ち鳴らし、目は泳ぎ、涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃになっている。
「しょうがない。宗教に寛容な者としてこの手だけは取りたくなかったんだがなぁ」
作業机の上に置いていたレカ教のロザリオだ。金属製とは言え万力に締められれば壊れるだろう。
というわけで。
「そおい!」
捕虜の目の前で叩き折る。
「あぁ!・・・あぁ・・・」
心の折れる音が聞こえた気がした。だがここは後方であれ戦場なのだ。敵に慈悲をかけていてはこちらが被害を被るのだ。




