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渡り烏の異世界渡航  作者: JINGoo
大陸動乱編
29/58

23そういう方なら申し訳ないのですが

初期の頃の勢いは何処へやらって更新速度になってしまってすみません

「はぁ~すっごいな」

「それはそうでしょう。何せ大陸一巨大な都市なのですから」


俺達はようやくイジスタリウス首都へと到着した。セレイムが仲間になった事もあり、乾燥地帯である荒野を避けての移動だったために当初の予定よりも大分時間を食ってしまった。何せスライムである。例に漏れず乾燥に強くないので湿度の高い森沿いに荒野を迂回してきたのだ。

乾燥に弱いとかどっかの金色のコウモリかよとか思うがそこは突っ込まない。


「遅かったではないか」


後ろからの声に全員が振り向く。そこには数人の騎士とアルネイルと猫耳娘を引き連れたメグファインが居た。今俺達が居る場所は首都正門をくぐった所だ。こいつ何処にでも現れんなとか思ったが言わない事にしておく。


「待っている間暇じゃったから結界の補修をしておったのじゃよ」

「消耗していたのですか?」

「うんにゃ。ただの点検じゃよ」


そう言ってメグファインは歩いていく。その後ろを追うようにアルネイルと猫耳娘がついていく。数人の騎士は城壁周辺に設置されている結界装置の点検という、比較的危険度の低い任務だからか、ヘルメットは着けておらず、その疲労を蓄えた表情を現にしながらどこかへ去っていく。

ちなみに猫耳娘には尻尾が二本あった。


「メグファイン?クレちゃんと何かあったん?」

「何もありゃせんよ」

「意地張ってないでこのネルネイアお姉さんに話してみなさいよ~」

「たわけが!貴様はわしよりも年下であろう!年長者に対する敬意と言うものをいい加減持て!」


猫又(仮)のネルネイアと名乗った女性は少なくともメグファインよりは年下であると言うことがわかった。これでネルネイアの年齢を聞き出す事が出来ればメグファインの最低年齢がわかるわけだ。

クレアスフェルがメグファイン達についていこうとするので俺達もついていく。正直このままだと第四技研とかいう魔窟に連れていかれるのかと思ったのだが、ここまで来てクレアスフェルという道案内を失うのはまずいので仕方なくついていく事にする。


「そうこれは仕方なくだ。仕方なく。断じて研究所という場所にロマンを感じるとかそういうのじゃないし、そこで何を作ってるのか気になるから行くんじゃない。それにクレアスフェルが多種族からなる部署だって言ってたし。別に人外とか亜人種とかに興味があるからじゃないし。そう、仕方なく、仕方なくついていくんだ」

「本音が漏れてますよアガマ殿」

「はぅあ!?」


まぁ、おっさんのツンデレなんざキモいだけだしな。

歩きながら町並みを見ると中々の文明であった。そこらのボロそうに見える民家でも三メートルの津波を耐えそうな強度をもっている。理由はわからないが、魔法とか魔術式を組み合わせて強度を上げているらしい。流石魔法、超万能。


「アガマ君・・・だっけ?私はネルネイア。ツヴァルネのネルネイア。よろしくにゃ~」

「あ、どうも。ツヴァルネノ・ネルネイアさん?」

「ツヴァルネは種族名ね」


種族名らしい。ガレッド情報を調べて見るとまぁ、まんま猫又というか猫人というか。まぁ、自由主義の快楽主義な種族らしい。なんともまあはた迷惑な種族なんだ。


「ネルネイア殿は技術顧問でもあるのだ。第四技研からの武装が支給された時に使用方法を教えに来てくれるのだ」


要するに説明書代わりというわけなのだろう。確かに第二中隊は頭が良さげな連中ばっかだが第一中隊は脳筋っぽい連中ばっかだったからな。特に中隊長のハイル・アルランダーとかいう男がそれだ。


「ところでアガマよ。お主また増やしおったな?」

「な、なんの事かな~?」

「とぼけるでない。スライムか否かの区別位見ればわかるわい」


やはり研究職の人間は洞察力が鋭いのだろうか。完璧に人に偽装しているであろうセレイムを詳しく調べたわけでもないのにスライムであると看破された。


「まったく・・・。人型の魔物など転生者と魔人を除いて前代未聞じゃと言うのに・・・」

「なっちまったんだからしょうがねぇだろ」


実際しょうがないのである。そもそもラッヘンもセレイムも事故でこうなったようなもんだし。俺が意図的に起こした現象じゃないし。ラッヘンに至っては俺の知らない所で変化したってんだから半分前後ならともかく全ての責任が俺にあるとは思えないし思いたくない。


「・・・ん?魔人?」

「なんじゃ知らんのか?」


そこからメグファインによる歩きながらの講義が始まった。

そもそも魔人の起源は不安定な魔力集積体から生じた半魔物が何者かの介入を経て魔人となったというものらしい。ガレッドで調べてみても、その何者かについては情報が無かった。

まぁ、過去の事だしそこまで気にする事じゃないし、もしかしたら付け足された虚偽かもしれない。

んでもってだ。その魔人と言うのは高い戦闘能力と知性を持って人の形を取る魔物の一種らしい。

どうにも現在でも何らかの理由でちょいちょい増えているそうだ。


「じゃあ俺とラッヘンとセレイムはその魔人とやらになるわけか?」

「そうじゃな。そこいらは非常に難しい所なのじゃが。まぁ、広義で言えば魔人と言っても差し支え無いじゃろう」


そんなメグファインの魔人講義を受けている内に城壁の端っこに申し訳程度に引っ付いている小屋の様な少し小さい家の様な建物があった。

看板には「危険につき関係者以外立ち入り禁止」とこっちの世界の言葉で書かれていた。なんで読めるのか聞かれたら俺にも解らんのだが、よくよく考えたらハヴェルに名前を付けてもらった時も書かれていた言語は見たことの無いものだった。あの時は混乱していて気にならなかったが、考えてみれば不思議な事だ。


「これ関係者以外が入ろうとしたらどうなんの?」

「そりゃあ・・・のう」


メグファインは目を反らす様に扉に視線を向けてそのまま扉を開けた。

特に何か変わった事があるわけでもない普通の木の扉だ。異様なのは扉ではなく開けた後だ。

石レンガの壁になっていたのだ。メグファインはその石レンガのいくつかを押していく。まるでミステリー物のギミックみたいだ。


「あまりそこらじゅう触らぬようにな。スラムのガキ共を追い返す為に放電トラップがいたる所にあるでな」


メグファインが全ての石レンガを押し込み終えた。・・・これ一体何通りあるんだ?考えたくないな。これをスラムの子供達は突破していくのか。凄いなスラムの子供達。そりゃクレアスフェルみたいなのが居るわけだ。


「勘違いするでないぞ。ガキ共はダクトから入ってくるのじゃ。一度危険極まりないので金網を付けたら焼き切られておった」


奥へ続く階段を下りながらメグファインが説明してくれる。まぁ、あれだけの数の石レンガを全て押すパスワードの答えを見つけるのに何パターンあるのか分からないし考えたくも無いが、割り出そうとすればもう別の方法で進入した方が早いと言うわけか。


「じゃからダクトの前に鼠返しをつけておいたら今度はロープを使って登っておったのじゃ」


いったい何がスラムの子供達をそう駆り立てているのだろうか。ちょっと冒険というにはあまりにも危険な上に執念深く用意周到そうだ。


「じゃあ焼き切れないような金網とか鉄格子をつけりゃいいんじゃねぇか」

「わしはもうとっくに諦めておるよ。あやつらには何をしても無駄じゃろうて」


メグファインとそんな話をしている内に階段を降りきってすぐのドアの前に到着した。扉には除染室と書かれている。これはあれか。こう、空気でブワーッってするやつか。もしくはなんかよく分からん液体で洗い流すとかいうやつか?


「さっさと入るぞ。なぁに、慣れれば良いのじゃ。慣れればの」


除染室とやらの扉を開けると一本道の短い通路だった。パッと見は先程までの階段と同じ趣だが、よくよく見ると壁や天井、床や空間そのものに至るまで。かなりの数の魔法陣が張り巡らされている。

まさか除染と称した侵入者排除用のトラップではないのだろうか。


「安心しろ。ここまで来てトラップを密集させる位なら道中の階段にいくらでも仕込んでおるわ」


・・・だ、そうだ。まあ、クレアスフェルがなんの躊躇いも無く進んで行って片端から魔法陣が起動しているのを見たらなんと無く分かった。あれただの洗浄魔法だわ。数こそ異様な程に多いけど、クレアスフェルが通った後に起動した魔方陣は少なくとも人体にただちに影響が出るような物ではなさそうだ。


「ほれ行け」


メグファインがそういうので進む。踏み出した一歩目から魔方陣が起動し、魔力装甲の表面をぞわぞわと撫でる様に通過していく。はっきり言って耐えられた物ではない。全身を一瞬の間に高速で撫で回されるような感触はなんというか気持ち悪い。痴漢されるってこう言う感じなのかね。


「おお、忘れておったわ。それらの魔方陣は異質な魔力に過剰に反応するのじゃ。故に残念ながらお主ら三人はここから先には行けんのじゃ」

「え」

「そんなー」


ラッヘンとセレイムと二代目がメグファインに静止させられている。いい加減二代目って言ってるのもあれだし名前考えてやらないとな。

ま、今は考えてる余裕も無いわけだが。

五つ目の魔方陣が通過する。魔力装甲との感触接続を切っている筈なのに撫で回される感触が消える事は無かった。


「な、なぁメグファイン?これどうにかなんねぇのか?」

「ならんな。そう言う仕様じゃ」


私は悲しい・・・。まぁ、何ともならんならさっさと終わらせるに限る。

一歩一歩確実に進んでいく。なんでたった五メートル位の距離をまるでラスボスに挑む様な覚悟で進まなきゃならんのだ。

魔力装甲の表面が常にぞわぞわしている。これだと思考回路がそのまんま繋がっている二代目は流路が焼き切れていたかもしれない。


「おっ・・・おっ・・・おっ・・・」


何とか向かいの扉まで着く事ができた。

普通のドアノブを回して普通の扉を押し開ける。どうやらもう魔方陣は無いようだ。

扉の先には広い空間があった。どうやらメインホール的なそう言うのらしく、壁に幾つかの扉があった。


「あ。いらっしゃ~い」


ホールを掃除していたのか。モップを持っているメイド服の女性がこちらに微笑んでくる。隣にはクレアスフェルが居るが。まさかこちらにもメイドカフェなるものがあるのか?そもそも行った事は無いが。・・・と言うかそのウサミミはなんだよ。


「お主は歩くのが遅いのぉ」

「アガマ殿は足でも怪我しているのか?」

「ばっかお前!あんなん初見でまともに歩けるわけ無いだろ!」


ウサミミメイドさんがうんうんと頷いている。どうやら賛同してくれているようだ。それに比べてクレアスフェルとメグファインは最早慣れたと言って憚らない。あんなん慣れる方がおかしいと思うのだが。


「私もあれには慣れる気がしないです。・・・と言うかあれのせいでセーニャイが外に出られなくなったんじゃないですか?」

「え・・・あ・・・それは」

「外に出るならそれこそスラムの子達が使っている所を使えばいいけど帰って来るときには必ずあそこを通らないといけないいけないんですよ?」

「うぐっ!」


メグファインがウサミミメイドさんに気圧されている。中々に面白いものが見れた。しかしあの魔方陣地帯は帰って来るときに必ず通らなければならないらしい。もしかしたらただの洗浄魔方陣ではなかったのかもしれない。


「あ、ごめんなさい。私パルシデって言います。ヴォーパニーです」

「ヴォーパニー?」

「あぁすまない。アガマ殿は色々と市政には疎くてな」

「あ、そうでしたか」


パルシデと名乗ったウサミミメイドさんはどうやらそう言う種族らしい。字面と外見から考えてるヴォーパルバニー的な種族なんだろうなとか考える。つまり天然バニースーツができるというわけか。

正直どうでもいいな。って言うか自分で考えときながら天然バニースーツってなんだよって突っ込みたくなるな。


「あらパルシデ。どうしたの?」

「あ、マステヌさん。お疲れ様です」

「おーマステヌ。相変わらず綺麗な甲殻じゃの」

「褒めても何も出ませんよ。・・・で、そちらの方は?」


また一人増えた。しかもまたメイド服だ。やはりここはメイドカフェだったのか?

ま、それは置いといて。マステヌと呼ばれた女性はパルシデと同様に足首ほどまでの長さのスカートのメイド服だ。違う所と言えばウサミミが無い事と肌の所々に昆虫類の甲殻の様な物がある事。そんでもって極めつけは何故かガントレットを装備している所だ。


「どうも。マステヌと申します。トゥルベイです」

「あ、ご丁寧にどうも。アガマです」

「こちら、粗茶ですが。どうぞ」


マステヌと名乗ったメイドさんから手渡されたのは紛れもない湯呑みであった。流石に中身は緑茶とか抹茶ってわけじゃないだろうが、容器は湯呑みその物であった。

中身には黄色がかった飲み物が入っていた。クレアスフェルとメグファインといつの間にか入っていたネルネイアが飲んでいるのを見ると飲める物なのだろう。それとなく口をつける。


「酸っぱ!にっが!なにこれ!?」

「葉竜から採集された鱗の粉塵を煎じて抽出したものです」

「一応世間的に言えば最早手に入らぬ貴重品じゃの」

「出来れば金輪際飲みたくない味でしたが、栄養価が高く疲労回復に打ってつけ・・・だそうです」


クレアスフェルが眉間に皺を寄せている。どうやら飲み慣れていたのではなく二度と飲みたくない物を突きつけられて覚悟を決めていただけらしい。

メグファインが貴重品と言ったので葉竜についてガレッドで調べて見ると八百年近く前に死んでいるらしい。死んでいると言ったのは、葉竜と言う種が、その一体しか存在していなかったのだ。故に個体の死は種の死に直結しているのだ。


「っていうかそんな貴重な物を粗茶って・・・」

「マステヌ曰くそれはそれ、これはこれとな。まあ本人の士道に他人が口出しをするものでは無いしの」


う~む、日本人臭い。中の上くらいの茶を出して粗茶ですがとか言って相手の器を試すとか京都人かよ。いや京都人の事はよく知らんからあまり言えた事でも無いが。曲がり角にイケズ石とか言うの置いたり茶を出すとか言って出さなかったり。まぁ俺ん中では嫌味ったらしいイメージがほんのりあるだけでいい人が多いとこなのかもしれない。

うん。知らない事について深く言及するのはやめておこう。いつか絶対ボロが出てくる。


「・・・そういえば」

「どうしたのじゃ。パルシデ」

「いえ、そういう方なら申し訳ないのですが」


パルシデさんがそういい終えた後にこちらをチラリと見る。もしや変人と思われてたり?どっかの毒気にやられたってのを言い訳にしてた主人公みたいに弁明すべきか・・・。


「アガマさんってなんで男声なんですか?」

「・・・あ」


・・・うむ。クスサビの国境を越えた後から戻すの忘れてただけだね。ごめんね。もしかしたら女装癖のある変態とか思われてた?


「ん゛ん゛!あーあー・・・あー!」

「わわっ!?きゅ、急にどうしたんですかアガマさん!さっきので喉でも痛めたんですか!?」


パルシデさんだけが心配してくれる中、俺の調声は多分三十分くらい続いた。

その内新しい閑話を上げる予定です。もしかしたら24話が先に上がるかもしれませんが、とにかくがんばります。

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