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渡り烏の異世界渡航  作者: JINGoo
大陸動乱編
27/58

21これでいけますかね

あけおめ投稿です

「あっあっあっ」

「ご主人・・・。なんか変?」


やばい。擬似魔力装甲にガタが来てる。あの後ヴァルヴェスに何回も斬られたからか、ラッヘンが無理矢理くっ付けた手足を更に無理矢理繋げたからか。原因はわからないものの近いうちに大幅なメンテナンスをしなければいけなさそうだ。

鑑定スキルなんて名前からして万能そうな技能は無いため、何処がどんな風にどうなってるのかはわからないが、早めに修繕するに越したことはない。


「着きましたエルメイル魔術工房です」

「はえーすっごい森ん中」


と言うわけで現在一つ目の街からちょっと南下した森の中に居ます。ちょっとまともに歩けなくなったからラッヘンに肩貸して貰いながらえっちらおっちら歩いて来たわけですよ。

んでこのエルメイル魔術工房だが、どうやら第四技研の下請けの様な所らしく。第四技研が発注した部品やら術式やらを実用に耐えうるのかどうかを確認したり試験したりしているらしい。ぱっと見の外見は普通のきこり小屋だ。


「・・・で。このお嬢さんが例のアレですか?メグファイン」

「そうじゃな。なかなか観察のしがいがありそうな奴じゃ」


到着するとメグファインと褐色の肌と立派な髭を蓄えた耳の長い人が居た。

え?エルフ?ドワーフ?ちょっと区別つかねぇ。メグファインよりかは高身長だがエルフと言うには低く、ドワーフと言うには高い位の身長だし、耳も普通の人間より少し尖っているくらいだ。


「始めましてアガマ君。私はドワーフとエルフのハーフのフォルベルニールと言います。一応工房長をやっています」

「ど直球に言ってくれるねぇ~」


ハーフだったんだ。しかも工房長と来た。相当面白おかしくメグファインに宣伝されたと見える。

まぁ、この体をメンテナンスする環境が近場でここ位しか無いらしいから致し方ない。ここに来る途中に腕やら足やら首やらがポロポロ取れるんだから早めにしないと中身にまで影響が出てくるかもしれない。


「ご主人。また取れてる」

「・・・とりあえず工房に入れてもらってもいい?」

「わかりました。工房の作業室へ案内しますね」


そういって案内されたのは地下室だった。まぁ、なんとなく想像はできていた。だって十畳あるか無いかぐらいの小屋に魔術工房が納まるというのもおかしい話だ。

地下室自体はそこまで広くなくて八畳ほどだと思うが、この地下室が他にも幾つかあるのだそうで、各々が好きに作業をしているのだそうだ。


「・・・なあ」

「はい、なんでしょう」

「なんじゃ?」

「流石に見られるのは恥ずかしいんだが」


今、同じ部屋にメグファインとフォルベルニールが同室している。隅っこに寄っているとはいえ居る事に変わりは無く。そしてメンテナンスをするにあたってまず服を脱がねばならない。元々男だし、仮初とはいえいくら体が女性に近い形をしていても異性の前で裸になるというのはそれなりの抵抗がある。


「気にするでない。わし等の事は壁の染みだとでも思っておればよい」

「そうですね。私は壁の染みです。どうかお気になさらず」


というか口調や声質でなんとなく察しが付いていたけどフォルベルニールは女性のようだ。

うむ!余計やりずらいな!

・・・というか女性が某魔法魔術学校の校長ばりの髭を蓄えるのもどうかと思うが。


「あ。この髭、気になりますか?」

「え?あ、あぁ」

「これ実はつけ髭なんですよ」


そう言って自らそのつけ髭を取る。かなりの長さがあったつけ髭によって隠されていた口元から下が露になった。トレンチコートのような物を羽織って、下はガーディガンっぽい物を着ている。・・・そしてでかい。なんともまぁたわわに実っている。くっ・・・これが噂の乳袋というやつか!

まぁでも確かにいろんな話で美形に書かれてるエルフの血が入ってるんだからそんなもんなのかね。

でもとりあえず追い出そう。あんまり見られて面白い物でもない。この二人には面白いかも知らんが、俺に羞恥プレイの趣味は無い。


「あのさぁ・・・とりあえず出」

「フォルベルニール様、お茶が入りました」

「お、マニエラちゃん。ありがとね」


マニエラ?どーっかで聞いたな。なんか結構重要な事だった気がしたんだが・・・。ま、忘れたんならその程度の事だったって事かもな。

しっかし丸眼鏡の瓶底にはんてんかちゃんちゃんこ見たいなの着ててもうなんかめっちゃ炬燵で蜜柑つついてるのが似合いそうな恰好してんだよなぁ。しかも持ってきたのが洋風のティーカップとかじゃなくて湯呑みだもんなぁ。これで白髪じゃなくて黒髪ならもう完全に日本人って感じがしてたんだがなぁ。


「おぉ、クスサビの茶器じゃな?」

「流石、メグファインは御目が高い。このユノミはかの有名なラクヤキ師の称号を持つフェリド殿の作品なのですよ」

「ほほう、それはまた」


メグファインとフォルベルニールが湯呑みに夢中になっている内に擬似魔力装甲脱いでおく。魔力流路の半融合を解除して脱皮の如くぬるりと這い出る。久しぶりの猛禽類ボディだ。

擬似魔力装甲から這い出たとたんに糸の切れた人形の様にガクリと文字通り崩れ落ちる。メンテナンスしに来ておいて正解だった。

内側から繋ぎ止めてなんとか保持していたのだからそれが無くなればこうなるのは目に見えていたが、実際目の当たりにするとバラバラ殺人事件の現場のようだ。傷口や切り口から緑色の光を放つ魔力が漏れ出しているのがなんとも言い難い様相を作り上げている。


「・・・これは酷い」

「そうじゃな。見るに耐えん」

「よくこんな状態でここまで来れましたね」


メグファインとフォルベルニールが湯呑みを置いて後ろから見ていた。それぞれ取れた手足を手に取って観察し始める。切り口を眺めたり手触りを確かめたり。たまに魔方陣に通したりしている。


「・・・アガマよ。お主、術式を組んでおらんな?」

「術式?魔術式の事か?」


なんでもメグファインが言うには俺が組み上げた擬似魔力装甲は術式を介して組み上げた物ではなく、ただ、魔力を組み上げた物なのだそうだ。ただの魔力の塊だから元々の防御力はそこまで高くない上に不安定で何処かに綻びが出来ると全体が不安定になるのだそうだ。だからせめて間接毎に術式を組み込んで隔離しておくと綻びが生じてもその部分との接続を切れば他の部位が不安定になることはないのだそうだ。

なんとも小難しい話だが、防御力の向上となればやらない手はない。


「つまり術式とはあらゆる魔方陣や魔術導具を安定化させ、正常に動作させるのに必要不可欠な物なのじゃ」

「ほー」


斯くして擬似魔力装甲改めて真魔力装甲が完成した。まだガワだけだが。テクスチャの張り付けには時間が掛かるのだが、前回の擬似魔力装甲と同じものを張るのならそこまで時間はかからない。

何より面倒が無い。テクスチャを張るには割りと頭を使うので美術の成績が著しく悪かった俺にとってはコピー&ペースト出来る対象が有るのならそれに越したことはない。さもなければ不気味の谷現象を起こしてSANチェック物になってしまう。


「しかし本当に姉妹などではなかったのじゃな。つまらん」

「人の血縁関係につっこんでつまらんとか何様だよお前」

「メグファイン様じゃ」

「あ、そう」


擬似魔力装甲のテクスチャを元に貼り付けていく。ラッヘンの髪は茶色だが、個人的に黒の方が好きなので黒に染める。日本人だからね。無理に染めて変な感じになってる奴をたくさん見てきたせいで茶髪に良いイメージが無い。まぁ、完全なる偏見だしそれを他人に押し付ける事はしないが。

染めたのは良いが髪形をどうするか迷う。いっそシンプルにストレートロングでも良いのだが、戦闘スタイル的に髪が前まで靡いてくるのは少々問題なので後ろで纏めてポニーテールにする。もともと長めのポニーテールが好きだったので髪型は完全に好みの形になってしまった。


「ほほう。髪の色は変えるのかえ?」

「一代目は簡易版だったからな。質感に拘ったってもあくまでガワだけだし。外見はほとんどラッヘンのコピーだったからな」


実際術式という物の使い方をメグファインから学んだ後だと一代目の魔力装甲の稚拙さが露見してくる。

というか最初に作った魔力装甲はカグマと戦闘する前に作った物だし、実質今作っている魔力装甲は三代目でクスサビで作った魔力装甲が二代目になるのだろうか。


「・・・しかし、術式無しでこれほどの完成度とはの。よく安定させることができたものじゃ」


崩れ落ちた二代目の擬似魔力装甲を簡易的に繋ぎ止めたのか、メグファインとフォルベルニールが直立させた二代目を興味深そうに観察している。はたから見ればマネキンを眺めるコスプレイヤーの様だ。


「・・・これでいけますかね」

「問題無かろう。彼奴が使わぬのであればわしらの玩具になるだけよ」


ちょっと不穏な会話が聞こえる。ちょっと怖いので二代目と簡易リンクを繋いでみる。どうやらメグファインは術式を使って完全に繋ぎとめてくれたらしく、傷口や切り口の痕は何一つ残っていなかった。

ほんの少ししてリンクを繋ぐ事ができた。素が俺の魔力を編み上げた物なので抵抗もほとんど無くするりと繋がった。特に理由も無く目を光らせてみる。なんでかって?起動時にモノアイとかカメラアイは光るもんだろ?


「おお!こいつ独りでに光おったぞ!」

「なんでしょうねこれ」


メグファインとフォルベルニールが興奮している。やはり人は、特に研究者とかは何時までも心に中二病を宿している物なのだろう。それは異世界でも変わらずなのだろう。

メグファインが興奮し過ぎて小さい自分の分身を作ろうとしている。かなりデフォルメされているが可愛らしい分身体が出来上がった。

ちなみにフォルベルニールも似たような事をしようと奮闘していたが、悲しい事に不定形な何かが出来上がっていた。スライムとかショゴスとかそんな感じの物でも作ろうとしていたのだろうか。


「ふむ。わしにはこれが限界じゃの」

「メグファインは良いじゃないですか。私なんてよく分からない物ができちゃうんですから」

「戯けが。それはお主に美術的センスが無いからじゃ」

「ふぇ~ん」


そこの二人はとりあえず置いておいて完成した魔力装甲に入る。大体の感覚は二代目と一緒なので変わらないが、今回は魔力流路を半融合させずともリンクさせる事ができる。そう、魔術式があればね!

実際半融合させずにリンクさせる事で即座にベイルアウトからのFOX4が可能になった。まぁやらないけど。

そんでもって二代目の魔力装甲をビットの如く操る事ができた。これもちょっとした魔術式の応用なのだが、なかなかに面白い物で最初から体が二つあったかのような感覚で操作する事ができた。しかも体が二つになっても人格は一つなのでどっちが本物の自分なのか分からなくなって人格崩壊を引き起こす事も無い。


「うむ。なかなかに良いのではないかの?」

「ありがとうメグファイン。これでいろいろと捗るわ」


どうやらメグファインが手伝ってフォルベルニールの分身を作成したようだ。メグファインの分身同様かなりデフォルメされているのだが、何故か髭が付いている。まぁ可愛らしいからいいけど。


「うん・・・よし。じゃ、場所貸してくれてありがとな」

「いえいえ。私も面白い物を見れた上に作って貰えたので良かったです」

「なんじゃもう行くのかえ?せっかちな奴じゃのう」


部屋から出てラッヘンとクレアスフェルを迎えに行く。確か地下室入り口付近の休憩室に居るとか言ってたので、それらしき部屋を探す。結構すぐに見つける事は出来たものの、何と言うか凄く入りたくなくなる・・・こう・・・なんというか・・・気配というか・・・臭い・・・的な?そういうのがする。

入ってみると幾つかの机と椅子が並べられ、端っこの方にキッチンらしき場所のある大部屋だった。だが問題はそこではない。その机に十数人の人が倒れる様に突っ伏しているのだ。

なるほど。これが噂のブラック企業という奴か。大半が死んだ魚のような目をしているし、まだ生気の篭った目をしてたとしても絶望と疲労を前面に出した例えようの無い表情をしていた。


「あなた・・・誰ですか?」


気が付くとほんのり警戒したクレアスフェルがこっちに近づいて来ていた。そういや髪の色と形変えたんだっけな。説明すんのも面倒だしそのうちわかんだろ。ラッヘンが見当たらないし探さないといかんしな。


「おいクレアスフェル。ラッヘンどこ行ったんだ」

「何故私が見ず知らずの人間に彼女の事を話さねばならないのですか」


やべぇ。よけい警戒モードに入っちまったな。面倒臭いし種明かししとこう。このまま変に誤解されると話が拗れるし、なにより非常に面倒臭そうだ。


「あー・・・その、なんだ。アガマだよ。ほら。な?」

「はぁ?」


やっぱりこいつ基本的に人の話を聞かないタイプの奴だ。薄々感づいてはいたもののこれではっきりした。

こいつは面倒臭い奴だって。


「クレア。どしたの?」

「ラッヘン。下がっていてくださいここは私が」

「あれ?ご主人。どうしたの?イメチェン?」

「は?」


オッケー!ナイスタイミングですよラッヘンさ~ん!クレアスフェルのとぼけ顔っていう面白い取れ高ゲットですよー!

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