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渡り烏の異世界渡航  作者: JINGoo
大陸動乱編
15/58

12神様だなんだってねぇ

「あろれーなんれねーこんわらひがえーこんらころしらきゃらららいんれすかれー」

「いや知らねぇよ」


我輩は烏である。名前はまぁある。

今、自称したっぱ神様と酒飲んでます。

酔えないんじゃ無いかって?わかんない。トネリコ酒が少し特殊だったのかもしれない。


「らっへーかふまふんまれらおはれへーひからろかれっろまれきみにもっれはれてーろーしろっへゆーんれふかー」


最早呂律が回っていない。聞き取れない事はないが、酔いつぶれかけの上司のような厄介さしかない。

っていうか自称とはいえ神様がそんなんで良いんだろうか。ヴァルヴェスの持ってきた酒はトネリコ酒とは違って何故か酔えた。この体がアルコールにどれだけの耐性があるのかわからないからチビチビとしか飲めないが。

本人曰く、この酒は東の帝国でも少数の富豪しか飲む事ができないというすごく高級な葡萄酒らしい。樽に貼ってあったラベルによると帝国暦361年の物らしい。今何年なのかわからないが、まあ、古い酒なんだろう。それを墫ごと持ってきたこいつは神でないにしてもそれなりの権力があるのだろう。盃5杯ぶんで自称神様がこの有り様なのだからそれなりに強い酒なのかもしれない。


「あはまふーん?きいへるー?」

「お、おう」

「らいたいねーはんふんふらいきみのへいなんらよー?」


絡み酒って怖い。前世の上司は流石にここまでなることはなかった。都会には自分の靴に注いだビールを部下に飲ませようとする上司がいるらしいが、こいつは別のベクトルで怖い。

何せしっかりと会話ができる。こいつは本当に酔ってんのかって位に会話ができる。


「きみがーわらひのかんかつのかれっろもっれっひゃうからーわらひがここにこなきゃなららかっはんれふよー」


っていうかこんな外見で酒飲んでて論理感とか大丈夫なのだろうか。その内登場人物は全て十八歳以上ですとか言わなきゃならねぇのかな。いや俺のしったこっちゃないが。


「あふまふーん?きいへるー?」

「へいへい」


酔っぱらいの相手はできればしたくない。だが酒は旨い。うーむ・・・離れづらい。


「・・・ひとのはなしはちゃんときくべきだよ」

「んん!?」

「ねー」


ちょっとこいつ本当に怖い。あの目のことを抜きにしても普通に怖い。なんか見透かされてる様な感じがして怖い。


「あのかれっろはねーわらひのかんかつらったんれふよー?それをきみがもっれっひゃうからーうえからろしじれーきみにあっれしんいをたしかめれほいっれいわれたんれふよー?」


こいつは怖いが言ってることを信じるなら少なくともこいつの上司が居るらしい。そしてガレッドはそいつらの管轄の物という事らしい。


「もうれーえいひがきみにもっれかれてもれーまひえらがえーめんろうくさいっれなんにもしらくれれすねー」


叡知、まひえら。くっついたキーワードをガレッドの情報から探そうとするが、ヒットはしない。ヴァルヴェスに関してもヒットが無かった事からまひえらとやらもこいつの仲間だと思われる。ちょっとこいつが酔ってて聞き取りにくいし呂律も回ってないから本当にまひえらと言うのか怪しいが、他にもありそうなマギエラ、マイエラ、マシエラ、マニエラ、マミエラ、マリエラ。どれもヒットしない。やはりそう言うことなのだろう。


「はうぇるくんもれーせっかくらおひてあげらのりへんらほとりらっひゃうひねーもーめちゃふひゃれしゅーしゅーがつひまひぇん」


ヴァルヴェスからハヴェルの話題が出た。治してあげたと言うのはハヴェルの言っていた事と合っている。だが変なこととは一体なんの事だろう。相変わらずよくわからん男だ。


「きみもれーかれっろあふめらいららわらひいがいのかみいひをふへなふぁいよー?」

「お前以外の神?」

「そーらよーまひえらはやるひがないみらいらけろらいまにろかさにぇらろかーきをつけらはいよー」


また他の神の名前が出た。こいつこんな情報をポンポン俺に渡して大丈夫なのだろうか。しかも前の会話からその二柱もガレッドを管轄しているのだろう。しかし俺は叡知と力以外のガレッドの確保はしなくても良いんじゃないかと思っている。何しろ別に俺は戦いがしたいわけじゃない。こっちでものんびり生きていければ良いな位にしか思ってない。


「まーでも二つ目持った時点で上に目ぇ付けられたと思ってもいいだろねー」

「うお!」

「なに?神様があの程度のアルコールで酔うとでも?私を酔わせたいなら98パーのでも墫一杯もってきなさぁい!」


こいつ酔ったふりしてやがったのか?


「フフーフぅ・・・君ねぇ。あんまり人を信用しすぎるもんじゃないよ?」

「神様なんだろ?」

「私はちょっと違うの。他の神や上司からも人間臭ぇって言われてるんだから。・・・ちょっと自分で言ってて悲しくなってくるじゃない」

「しらねぇよ」


なんだこいつ。目ぇ閉じてるのはともかくかわいいな。ほんとなんなんだこいつ。


「そもそもねぇ!君がマニエラの管轄していた叡知のガレッドを持ち去った事が発端なんだよ?」

「叡知のガレッド?」

「そう!叡知のガレッド!この世のありとあらゆる叡知を集結させたガレッド!君が持ってるでしょ!」

「た、多分」

「それが急に消えたってマニエラ以外は大騒ぎだったんだから!」


結構鬼気迫る表情で顔を近づけてくる。こう、なんというか独特のいい匂いがする。目を開けて涙目だったら堕ちていたかもしれない。まぁ、この至近距離だと堕ちる前にこっちの意識が落ちそうだが。いかんせん。目を閉じてれば可愛く見えるのは目を開いた時とのギャップがすごいからだろう。最初の威圧感はどこ吹く風と言わんばかりに酒を飲んでケラケラ笑いながら結構重要な事を言ってくる。


「それでもあのままガレッドがあったらあの村は主産業が無くなって廃れていくところだったぞ」

「しょうがないじゃない。それは私が何か言える事じゃないし。マニエラが面倒くさがってダーツで決めて落とした場所だもの。少なくともマニエラはそんな事考えずに落としたんでしょうね」


自称神共の自分勝手さに少し苛ついた。少なくともマニエラとか言うやつとは仲良くしたくないと思う。仲良くできるとも思えないが。


「とにかく気を付けなさいよ?もう君は平穏じゃいられないかもしれないからね」


捨て台詞を吐くようにヴァルヴェスは帰っていった。勿論気を付けるが、俺はただ平穏に暮らしたいだけの小市民だ。自ら神様とやらとかかわり合いになりたいとは思わない。


「っしー・・・五月蝿いのも帰ったし。いい加減調査開始と行こうか」


まずはガレッドのあった横穴だ。おそらくカグマも出入りしていたのだろう。ところどころに黒い羽根が落ちている。


「まぁーヴァルヴェスから聞いた情報をガレッドの情報に統合したから調べる必要も無いっちゃー無いんだがねぇ」


そもそもガレッドに関する情報も神に関する情報もよくわからない。ガレッドはそもそも情報が無いし、神に関しては東の帝国にある統一教会なる物があって日本の八百万の神と西洋の神話をごちゃ混ぜにしたような教典があるだけでマニエラやラニマギ、サヴェラは名前だけ出てきたもののヴァルヴェスなんて名前は無かった。そして端っこの所にとても小さくハヴェルと言う名前があった。

マニエラは恋愛や豊穣の女神の眷族で自身も女神でラニマギは悪戯と発想の神の眷族で自身は男神、サヴェラは戦争と武勇の神で自身は女神。

各々の属する大神は名前が無く、ただ何らかを司る神であるとしか記述が無い。


「神様だなんだってねぇ・・・俺は昔っから無神論者だったからなぁ。いきなり神様は居ますとか言われても実感ねぇよなぁ」


ぶつくさ言いながら調査を続行する。どうやらハヴェルの言っていた通りこの辺りには太いレイラインが通っているらしい。そしてガレッドがあったこの横穴はレイラインから魔力を吸い上げて生きていた岩龍の居た場所らしい。

そう、居たのだ。ここに。すっぽりと。

この横穴は岩龍が自らの弱点でもある腹部を隠すために掘った巣穴のようなものらしい。

カグマが殺して喰らったと言う岩龍。その岩龍にも弱点は有り、なおかつそれを補う本能なり知恵なりを備えていたと言うことだ。


「ふーんふーんふーんふんふふーんふんふふーん」


鼻歌混じりに調査を続行する。ガレッドは今のところ叡知も力もレイラインのすぐ上に建っていた。そして叡知はレイラインの魔力を塞いでいたのに対し、力はレイラインを塞がず、かつ半分程の力しか残っていなかった。その違いが何なのかも要検証なんだが、生憎検証する対象が無い。


「ガレッドがなきゃ周囲への影響を調査しようにもできないんだよなぁ」


相変わらず成り行きと勢いで行動を決める事が多い気がするな。何せ前世でもどうでもいい事に首突っ込んで上司や家族に起こられたりしたっけなぁ。例えば子猫や子犬を拾ったり・・・。


「ピャー」

「・・・」

「ピャー」


なにこのちっちゃい石ころ。動いてんだけど。

とか思ってたら岩龍の幼体だよこいつ。全長十センチ程度の大きさの奴がこの横穴を開ける程にでかくなるのか。


「ピャー」


うむ。可愛い。ちょっとちっちゃい犬が背中に石背負ってる様な外見をしておきながら愛らしい顔つきとつぶらな瞳をしている。ヴァルヴェスが猫の様な気まぐれな可愛いさならこいつは犬の様な純粋な可愛いさだ。


「・・・ピャー」


弱っているのか少しずつ声が小さくなる。親だと思われる岩龍が殺されたのは半年前だったという。半年間、カグマの影に怯えつつここに居たのかもしれない。そう思うと同情心が芽生えてくる。親兄弟を殺された上にその仇は自分を歯牙にもかけずに放って置かれたのだ。さぞ色々な感情を抱いた事だろう。


「・・・一緒に来るか?」

「ピャー!」


ついつい手を差し伸べてしまった。昔からの悪い癖だ。こいつを拾ってハヴェルに文句を言われなきゃ良いんだが。


「ピャー?」


・・・可愛いし何とかなんだろ。

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