チンアナゴの黙示録
久しぶりに短編です。
冬に海の話って季節はずれかなぁとも思いましたが、漁に出かけることならあるはずなので。
知ってると思うけどね。
あの細長くて砂に埋もれた魚をさ。
決してあの魚を引き抜いちゃあいけないよ。
ついさっきのことだね。
僕は海にいるんだよ。
もぐって貝を捕ってたんだよ。
そしたらさ。
砂底からさ。
細長い魚が飛び出てたんだよ。
出てくるかと思ったんだけどね。
巣に出たり入ったりするばっかりでさ。
ちょっと苛々しちゃうんだよ。
だから僕はさ。
そいつをつかんでさ。
引きずり出しちゃったんだよね。
そしたらさ。
ちょっとさ。
何て言ったらいいのかわからないんだけどさ。
芋づるみたいにさ。
ヒトとかもっと色々なやつがさ。
魚の先にいっぱいいたんだよね。
僕はさ。
見ちゃいけないものをさ。
見ちゃったんだよ。
そんなことしたせいでさ。
僕はもうこの世界とお別れみたいなんだよね。
君は見えないかもしれないけどさ。
さっきの魚やヒトがさ。
足にしっかりしがみついてね。
少しずつ砂に沈んでいくんだよ。
だからさ。
最後に僕が言うことをね。
聞いてほしいのさ。
あのね。
決して引き抜いちゃあだめって言ったばかりなのにね。
君の手にあるその魚は何なのさ。
君も一緒だよ。
魚の先にあるモノを見ちゃったからさ。
僕と君はこの世界とお別れなんだね。
またね。
ありがとうございました。
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