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嘘吐き少年Xと狂言少女Yの事件簿  作者: 憂ブロ
ファイル1:4月1日、癒しのバッグは桜の花びらのように消え行く
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page2 嘘吐き少年Xは少女Iの事件を聴く

「え……?」

「は……?」

 物を盗まれた? 何言ってんだこいつ?

 矢弥も僕もただ唖然としていた。広場の端で光る電光時計盤からは音楽らしきものがただ聞こえていた。

「ウチ、物を盗まれたのっ!」

「え……?」

「は……?」

 ありえなさ過ぎてついつい大事なことじゃないのに2回言ってしまった。え、癒雨子さっきまでやたらニコニコしてたよね? ほんとにほんとなのん?


「気がついたらバッグが消えてたんだーっ! ほら、この通り何も持ってないでしょーっ? もぬけの殻だよーっ!!」

 うわーんと癒雨子が泣くような素振りを見せる。いろんなところでわざとらしいな……。まぁ、わざとらしかろうが、本当にそうだというなら信じないわけにもいかない。

「泥棒にあったってことか?」

 確認のため、改めて聞く。

「そうそうっ! それで、犯人を探してほしいんだよーっ!」

 その言葉で癒雨子がカバンを盗まれたということは理解した。しかし、これが一番わからない……。何で僕達に言うんだ。僕達に言うより、警察に言うのが手っ取り早いのに。……なんか理由でもあるのだろうか。


 とはいえ、僕も聞かれたくないことがあったから、聞いていいことなのか若干悩み、直接ではなく、間接的に、少し避けて聞いてみることにした。

「警察、呼んだほうがいいんじゃないか? 僕達に言う前にまずそれだと思うんだけど……。」

 すると癒雨子は何やら見た目的には自然なのだが、それでも何か闇を抱えていそうな笑顔をした。

「あんまり多くの人に知られたくないんだーっ♪」

 やっぱり何かあるのか。こいつは正直言って顔立ちもいいし、明るい。人気な分、深い事情があっても何もおかしくない。本人の為にもあまり深くは聞かないのがベストだな。

「そうか。」


 とりあえず何か手がかりになるものを探そうとパッと周りを見渡す。すると一瞬、癒雨子はほんの少しだけ暗い表情をした気がした。一瞬しか見えなかったが、つい気になって振り返ると、癒雨子は普通に笑顔だった。

 それを見ると、何だか申し訳ないことをしたような感じがして、少し心が痛くなった。

「深く聞いてこないんだねーっ?」

 え……聞いてほしかったのん……? そういう思いを込めながら口を開ける。

「いや、悪いだろ。地雷ぽかったし。」

 人の闇は深い。と言おうとした。

 ここで違和感に気づく。おかしい。基本的な常識しか覚えていない僕がそんな感情的なことがわかるわけがない。……漫画か何かで見たのだろうか……? そんな覚えはないけど……。もしかして記憶を失くす前の僕が……?


 これ以上考えると頭が痛くなりそうで、考えるのをやめて何か言おうとしている矢弥の方に耳を傾ける。

「解斗、地雷ならそういうこと言うべきじゃないと思うよ……。」

「ん? あ、ご、ごめん!」

 今気づいたが、矢弥の言う通りだ……。もし癒雨子じゃなかったら怒らせていたかもしれない。いや、癒雨子も笑ってはいても実は怒ってるかもしれない。矢弥に感謝だ。

 焦っている僕を矢弥が笑いながら見ている。本当に僕のことになったらからかい始めるな……。

「いーのいーのーっ♪ 聞いてほしかったようなものだよーっ♪」

 それを聞くと少し安心して頬が緩む。本当に明るいな。癒雨子は……。良い奴だけど、少し頭がズキズキする……。


「キミ達はウチと普通に接してくれるじゃーんっ♪」

 痛みを我慢しながら、癒雨子が笑顔で言う言葉を聞く。

「な、何だよ。それは。普通に接してくれない人でもいるのかよ。」

 今度は遠慮せずに言ってみる。聞いてほしいのなら、そう言わせないのが一番だ。

「ふふふ。ひ・み・つーっ!」

 どっちだよ! 聞いてほしいんじゃないのかよ!!

 まぁ、秘密だと言うならそれまでだし、仕方ないが。

 すると矢弥がくくくっと笑って周りを見渡す。

「だってさー。まぁ、何はともあれ、盗まれたのなら探さなきゃね。手伝おうじゃない? その犯人探し!!」


「そうだな。……じゃあ、まずは状況というか、ここに来たときのことを説明してくれ。癒雨子。」

「オーライッ! これはねーっ! 紛れもなく今日の昼のことなんだーっ♪」

 すると癒雨子は立ち上がり、向かって僕達に話し出す。


      *     *     *


 ウチは今日、4月1日に最近噂の桜を見に来ていたんだぁーっ。

 満開じゃないのに綺麗だなんてまるでわけがわからなさすぎて、ヤツになって魔法少女を生み出すまであるよっ!

 まぁどんな風に綺麗なのかはこの広場に入ってすぐわかったよーっ!! これは12時30分。みんな桜の木の下で昼食をとり始めて、もうそんな時間かーってね、あの電光時計盤を見たから間違いないよっ!!

 ウチも昼食を取ろうと、その中で一番綺麗に見えた桜が左斜め前にある、あそこのマンションの手前のベンチに座ってバッグからお弁当を取り出したんだーっ!

 そういえば食べてる途中、電光時計盤から音楽が流れてたかなぁーっ……。


 まぁ、食べ終わったら、この今日買ったCDを聴いてたんだーっ♪ 1番から聴いて5番目の曲を聴いている途中に、ふと時間が気になって桜と反対側の電光時計盤に目を向けたんだけど、そのとき視界にバッグがなくて!!

 それでウチ、なぞなぞとか苦手だから誰かいないかなーっと思って探してたらキミ達が見つかったわけ!!!


      *     *     *


「これがウチの知ってる状況の全てかなーっ!」

 言うと、癒雨子はゆっくり座りながら笑う。

「曖昧なところばっかでごめんねっ……。」

「いや、いい。十分だ。あ、あと、そのCDの曲の時間を教えてくれるか?」

「えーっとねーっ……。1曲目が4分55秒。2曲目が6分5秒、3曲目が……。」

 僕ははっとしてメモできるものを探すが見つからない。矢弥に目線を送ると、さすが女子。メモ帳を持っていたようだ。

 僕はイメージしながら聞いていたため忘れていたが、矢弥はさっき癒雨子が話していたこともメモ済みのようだ。

「5曲目が5分45秒だよーっ!」


「矢弥、合計出せるか?」

「了解ー。ちょっと待って。」

 言うと矢弥は計算を始める。案外こういうところはしっかりしてるんだな。というか僕をからかってくるところ以外は普通だよな、うん。

 さてと、僕も何か手がかりを捜すか。そうして周りを見渡すが、何もいいものは見つからず。見回してる間に、矢弥が計算を終えたらしく、僕と癒雨子を呼びつける。

「計算出たよ。26分41秒。」

「これで犯人がその26分41秒以内に盗んだってことはわかったな。詳しいことはまだだがな。」

 すると、癒雨子が広場の人がたくさんいるところを指差して笑う。

「それは、あそこからとかさっ♪」

「そうだな。……あとは、この広場の状況と人から何かを聞き出すしかない。」

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