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愛のかたち  作者: kazu
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 恵子は、佐藤と二度目の交際をする時、別に交際していた男性の存在があった。しかし、それを隠しての佐藤との交際だったのだ。 

つまり、二股だったのである。

しかし、佐藤と結婚する時には、その男性とも別れていた。

…… 筈だったのだ。

結婚して数カ月の間は、近くのスーパーでパートとして働いていた恵子だった。夫婦二人で稼がないと、厳しい経済状況の生活だったのだ。しかし、そこを辞めて違う場所で働く事となるのだ。

何故、そのスーパーを辞めることになったのか?

それは、恵子の不倫が原因だったのである。

恵子は、勤めていたスーパーの店員と、不倫をしていたのである

そして、その事が佐藤に気付かれそうになっていた。

結婚してからの毎日は、二人とも常に顔を合わす事になる。そして、何故かぎこちない恵子に疑問を持ち始めていた佐藤だったのだ。

いきなり帰りが遅くなったり、後でわかる事だが、休日だと言うのに出勤と偽って仕事に出掛けたりしていた恵子だったのである。

それを隠す恵子の行動は、佐藤の勘に障る事となった。そして佐藤が疑問を持ち始めたのを知って、不倫の関係を自ら絶ったのである。

しかし、恵子の不倫癖は治ってはいなかった。次の職場でも、そして、その次の職場でも、恵子の不倫は繰り返されていった。

そして佐藤が勘付くと、その関係を絶って職場を変えるのだった。

そんな日が続いた時、佐藤が自営業を始めたのである。

 初めて間もなくは、設立資金の返済などで経営の方も厳しい状態だった会社だが、持ち前の佐藤の踏ん張りで、瞬く間に高売り上げを残す様になってきた。

 経済的にも良くなった佐藤家は、何時の間にか贅沢な生活になっていた。そして、恵子の生活も……。

 恵子は車を購入した。そして、その車に乗って一人で出掛ける事が多くなっていた。その行先は、不倫男性の家だったのである。だが、従業員だった時とは違って、忙しい日々が続く佐藤には、その様な出来事など解る筈が無かった。

 そんな生活が続いた三年後、佐藤と恵子の人生の節目となる出来事が起きてしまったのだ。

 それは、佐藤の母親の死だった。

 家の家事を全て熟していた母親だった。佐藤の息子の面倒も見ながら、二人が共働きをしていた時も、家を守って来た母親だったのである。そんな母親が急に亡くなったのだ。

 それは、不慮の事故だった。買い物に出た時に、交差点で信号が変わるのを待っていた佐藤の母親の所に、脇見運転をしていた軽トラックが突っ込んできたのである。即死だった。

 告別式の時には、佐藤の取引先の者や佐藤が前に勤めていた会社の同僚達が弔問に来ていた。

 だが、その喪が明ける前から、恵子の行動は激しくなっていたのである。

 自宅に誰も居なくなった事を良い事に、恵子は男を連れて来る様になっていたのだ。隣に工場があるにも拘らず……。

 そんな恵子の問題は、不倫だけではなかった。

 その頃から、佐藤の工場に従業員が来るようになった。仕事の幅が広がった事もあるが、世の中の不況を乗り越えようと、難しい仕事も受ける様になってきたのである。その為に、新しい精密機械を購入し、二年後にはもう二人の従業員を雇う様になった。

 だが、佐藤の働きぶりとは裏腹に、恵子の行動は不信を誘うほどまでになっていた。全くと言っていい程、佐藤の仕事に無関心だったのである。普通であれば、個人経営の工場では、妻が経理を任されるところが殆どだ。だが、恵子はそれを拒んだ。自分の自由が奪われてしまうからである。それどころか、佐藤に対して仕事の不満や経済的な不満をぶちまけていたのである。

 もう一つの問題点。それは、家事を一切やらない事だ。

 食事の支度や掃除など、殆どやらなかった恵子だったのである。

正月や盆、五月の連休などと言った長い休みが続いた時は、毎日の様に外食で済ませていたのである。他にも、光熱費などを払い込む事なく溜め込んでは、高額になって佐藤が詫びて払う始末だったのだ。とにかく、経済観念が全く無かった恵子だった。その為に経済的にも無駄が多かったのだ。

それでも、佐藤は我慢していた。自分が頑張ればいい。そして、従業員も支えて行かなければと言う気持ちで一杯だったのである。


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