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愛のかたち  作者: kazu
3/6

出会い

生活面はと言うと、古くからのここでの生活だった佐藤家は、父親の家系が良かった事もあり、広い敷地を持っていた。そこで、父親と母親、そして、姉の四人で生活をしていた。しかし、佐藤が小学五年生の時に、父親が他界した。その後、母親一人で二人を育てていた。経済的にも厳しい状況が続いていた。

佐藤が高校生に入学したと同時に、姉は高校を卒業して、遠方の企業に就職する為に家を出たのである。それからは、母一人子一人の生活となった。この頃から、漸く経済的に落ち着いていった。

そんな佐藤が高校二年の時に、妻になる恵子と出会うのである。

佐藤が通っていた高校と恵子の通っていた高校が近いと言う事もあって、二人は友人の紹介と言う形で知り合った。その後、交際は続いたものの、高校卒業を間近となった時に、二人は別れる事になってしまった。理由は進路の事だった。

佐藤の方は、高校を卒業後に就職をする事になっていた。しかし、恵子の方は進学を希望していたのだ。そこで、将来の行先が違う事で別れてしまったのである。そして、二人は卒業を迎えた。

就職直後に車の免許を取得した佐藤は、高校生の時にアルバイトをしたお金で、中古車だったが欲しい車を手に入れたのである。そして初めての休日。佐藤は恵子の家に向かった。佐藤自身、諦めきれなかったのである。仕事をしていても、大学に通う恵子とは付き合っていける。そう考えていたのだ。

佐藤は、恵子には連絡を入れずに家に向かった。そして、恵子の家のチャイムを鳴らした。

家の中から佐藤を出迎えたのは、少し大人びた恵子だった。

「ど、どうしたの?」

 玄関口で佐藤を出迎えた恵子は、突然の佐藤の出現に、驚きと戸惑いで言葉が揺れていた。

「え…… ど…… どうしてるかと…… 思って……」

 恵子の前では、自分が赤面している事が解らないままの佐藤が、照れ臭そうに下を向いてそう言った。すると、

「上がって」

 そう言って振り返った恵子は、家の中に入って行った。

その言葉に、

「う、うん」

 と返事をした後、ゆっくりと家に上がり込む佐藤だった。そして、恵子の姿を追っていくと、恵子は何故か居間に向かっていた。そしてそこには、一枚の写真が掲げられていたのである。

「……」

 佐藤は、言葉を失っていた。そして、呟いた恵子だった。

「お父さん…… 卒業式の三日後に亡くなっちゃった」

 そう言った恵子の眼には、涙が溢れていたのだ。そして、

「私ね、近くのスーパーで働く事になったの。それでね……」

 恵子がそう言っていた時、佐藤は思わず恵子を抱きしめていた。

「俺。恵子が忘れられなくて…… もう一度、付き合ってほしいんだ。結婚を前提として」

 佐藤がそう言った。そして、それを聞いていた恵子は、佐藤の背中に両手を重ねていた。

 こうして、二人は再び交際をする様になった。そして、その一年後に結婚したのである。

 二人は、佐藤の実家で生活を始めた。佐藤の母親がそれを望んだからである。そして、恵子の母親もそうだったのである。

 それからの佐藤は、前にも言ったが、とにかく働いた。二十歳前の男性の給料は多寡が知れている。それを補う為に、佐藤は毎日残業をやった。それも真夜中まで働いていたのである。休日の出勤もやって、家計を守っていたのである。

 そんな佐藤を見ていた会社の同僚達。中には、佐藤の仕事ぶりで自分達にまで余計な残業を言われる事に、非難する者もいた。しかし、その様な事など気にも留めずに、毎日働いた佐藤だった。

 それから一年後に、二人の間に男の子が誕生したのである。

 そんな幸せそうな家庭の佐藤家が、どうして、その後に悲惨な結末を迎えてしまうのか。

 

 それは、恵子に問題があったのだ。


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