第一話:旅立ち
そこは雲の上の更に上の世界、その名も『天界』
そこに住む一人の男の子。その名は『ソラ』
彼は天界に住む10才の天使である。特徴としては羽根が生えており、頭上には黄色いワッカがある。
そしてその天使は、強さの基準としてこのようなレベルがある。
・天神
・天光
・天双
・天人
・幼生
これは上からレベルの高い順番に並んでいる。
天神は王様のこと、幼生は10才未満の子どもを指す。
残りの天人、天双、天光が主な位であり、この3つはさらにαβγと別れ、合計9種類に分けられる。
そして今年10才のソラは天人γとなった。
ソラは友人のジンと会話をしながら自慢の羽で飛びながら散歩した。
ソラ
「やっと俺等も幼生からランクアップしたぜ。」
ジン
「そうだな、なんか大人になったかんじだな。」
ソラ
「でも早くエンジェルトライアル(AT)受けて天光とかまで昇進したいよなぁ」
エンジェルトライアル、略してATとは、試験を受けて、その成績に応じてレベルが変わるというものだ。
ジン
「でもそんな簡単にレベルが上がるもんじゃないよなぁ、今俺等が使える技といったら、天使のワッカをブーメランのように投げる『ピッチリング』しかないんだから‥‥レベルをあげるには新しい技を覚えなきゃ!」
ソラ
「そうだな、なんか技でも覚えないとな!よし、今から特訓だ!」
ジン
「特訓っつったって何すんだよ。」
ソラ
「確かに‥‥まぁ取りあえず家で考えてくるよ!ジンも考えてこいよ!」
ジン
「ラジャー」
ソラは家に着くとテレビを見ながらグータラしている父親を見つけた。
ソラ
「ただいま父さん」
父
「おぅ、帰ってたのか。ちょうどいい、今お前の為になるニュースがやってるんだ」
ソラ
「ん?なになに。」
ニュース
「今日、一人の天使が天界と人間界を結ぶ『ミラーホール』を通ったとして行方不明になりました。この天使は、人間界にあるなんでも願いが叶うという『神秘の雫』を求めてこのホールに入ったとされています。」
父
「お前もミラーホールには気を付けろよ。一度入ると出れなくなるみたいだからな」
ソラ
「分かってるよ!」
しかしソラはこの時思った。この神秘の雫を手に入れれば天光どころか天神にもなれるんじゃないかと。
翌日、早速ソラはジンにこの事を話した。ソラ
「‥‥んでジンはどう思う?」
ジン
「面白そうだね」
二人は不敵な笑みを浮かべた。
ソラ
「決定だな、じゃぁいつ決行する?」
ジン
「そうだなぁ、早い方がいいな。じゃぁ明日の夜なんてどうだ?」
ソラ
「いいねぇ、あとさっき図書館で調べたんだけど、ミラーホールの場所は禁断の森の下ににある雲の中にあるみたいだから、そこはピッチリングで雲を切り裂いて入ろう。」
ジン
「オッケー!じゃぁ明日禁断の森の前に午後七時に集合な!」
ソラ
「あぁ!じゃぁ!」
ソラは家で準備をしてワクワクしながら明日に備えた。
━━翌日の夜
ソラ
「おまたせ!」
先に集合場所に着いていたジンに手を振った。
ジン
「よし、来たな!早速始めよう!」
二人は禁断の森の下にある雲に近づいて
ソラ・ジン
「ピッチリング」
と唱えながらワッカを投げて雲を切り裂いた。
すると雲の切れ端から眩いほどの光がこぼれだした。
ソラ
「よぉし、この中に飛び込むぞ!」
ジン
「うん!」
二人はミラーホールに飛び込んだ。
ミラーホールに入ると体を取り巻く気流が起こり、始めは変な違和感が生じたがじょじょになれてきた。
やがて体を取り巻く気流が収まり、ヒンヤリとした空気が二人の肌に触れた。
目を開くとそこは高いビルが立ち並ぶ東京の中心街だった。