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<ヴァルプルギスの夜>の主催者

 里の門の前まで来るとマカロンが声を上げた。


「扉を開けるのには合い言葉が必要なの。開け、ゴマ!」


「そんな安直な合い言葉でいいのか…」


「もちろん、ダメですわ。里では年に何回か、合い言葉を変えていますのよ。現在の合い言葉は、散れ、坊主ども! ですわ」


「それもどうかと思うが…」

 

 フィナンシェの合い言葉で扉がゆっくりと開いた。


 

 扉の内側にある魔女の隠れ里は一見のどかな山村だった。野の花は咲き乱れ、小鳥がさえずり、ヤギが草を食んでいる。チロルドレスを着た里の女性が大勢、井戸端会議で盛り上がっている。子供が元気に鬼ごっこをして、老人が几帳面に庭木の手入れをしている。



「この里の感想が聞きたいの。気に入ってもらえたならうれしいの」


「うーん、今はなんとも言えない。魔女の隠れ里と言われるだけあって女の人がとても多いね。男女の割合はおよそ9対1といったところかな。それと、砦が星型なのは変わっているね」

 

シュトレンがこの里に来てから見た男達は子供と年寄りだけである。


「まっ、男はもう少しいるんですが、そのうちにわかるでしょう。シュトレン、なんで砦が星型かわかますかしら?」


「一応ね。攻撃面を幅広くとり、また側面を可能な限り小さくすることで死角の少ない密集した火網(銃砲等を縦横に発射して、弾道の網を覆うように張った状態にすること)を作りだし、砦の防衛力を高めるためでしょう。大砲の性能が上がったため、今までの丸型などの砦では容易に突破されてしまうようになったからね」



「つまらないですわね。正解ですわ」


 フィナンシェが少しむくれた。


「ダーリンは物知りなの。少し見直したの」




「無駄話はこのくらいで切り上げて、長老のところに行って事情を説明しませんといけませんわ」


「それはわかるけど、とりあえず飯を食わせてくれ。ここ2日ばかりロクに食べていない」

 

 シュトレンの腹の虫が先程からしきりに鳴いている。


「あたしも蛙にされていたから、虫ばかり食べていたの」


「仕方ありませんわね。どこかで軽く食事を取りますか」


「ならば、妾のところで、会食すればよい話ではないかえ」


「長老!いつのまに、来られたのですか!?」

 

 ここにいる漆黒のローブを着た優しげな老婆こそがホップ山で年に一度ある魔女の大宴<ヴァルプルギスの夜>の主催者、三日月の巫女 赤髪のベルベットであった。

 ベルベットはホップ山で光の怪物を操り、教会を威嚇していると噂されていた。(ブロッケン現象・山の後光との説を唱えるものもいるが…)

 お供の大きな黒猫(?)と金色のカラス(?)も連れている。

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