プロローグ 事件全貌(仮)
なんで私が被害者として届けられてるの?というか彼女何なのよ、警察に対していやに馴れ馴れしい…スパイ的ななにか?ええ、冗談よ。彼女みたいな立ち回りが目立つような人、無理があるわ。…ああ、これは海外ドラマの見過ぎね。…まあ少し好きなのよ。…そんな意外だって、いや、暇だったのよ。
そんなことどうでもいいわ。事件の話よね。
オリジナルに沿ってコトを進めていたら、あたしは今頃死んでたのに。顔を潰されて体育館のステージに置き去りにされる筈だったのよ?そしてここにいるのはアレの筈だったわ。…なによ。あたしは死んだ人間を名前では呼ばないの。だって人間なんて死んだら只の肉の塊じゃない?ええ、分かってる。理解してもらおうなんて、そんなこと思ってないわ。あたしがそう思ってる、それだけでいいの。アイツ等はそれが出来なかったから今回の事件を計画したのよ。…なに?何か言いたそうな顔ね。は?単数ではアレ呼ばわりのくせに複数ではアイツって人間扱いするのか、って…細かい男ね…あんたモテないでしょう?だってアレ等って呼ぶ訳にいかないじゃない。…はあ、まあいいわ、話を戻しましょう。
何だったけ?…ああ、そう、あたしはまあ、目的が違ったから。彼女はバツの中に左手で書いたサンカクがいるみたいって笑ってたわね。…ええ、知ってる。彼女左利きなんでしょ?全く、人を馬鹿にしているわね。…あんた、思ってることが顔に出るタイプね。また文句があるって顔してるわ。え?彼女は両利き…ああ、もう、あたし、彼女苦手だわ。無理。相手してらんない…。あんたなんかお金ぶん盗られてたけど…いいの?ふーん…。何か、複雑なのね。ま、明日彼女に訊くわ。
もう帰っていい?…事件の話なら彼女に訊いて。ええ、面倒くさいだけよ。
それじゃ、さよなら。――刑事さん。