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法定雇用率ってなんですか?

主人公倫心の担当が決まるお話です。法定雇用率の概要も書かれてます。読んで頂けたら嬉しいです。

空気が重い…。

社長・舟木翔がわざわざ人事課の部屋まで来て、

想定外の宣言をしたことに人事課の社員達は

驚きと緊張を隠せなかった。


そして、いつもと違う職場の雰囲気に居心地の悪さを感じていた。


舟木社長は、田中を指名し、静かな声で尋ねた。

「田中さん、『法定雇用率』について、知っていることを教えてください。」


指名された田中は、30代の男性社員で、突然の指名に狼狽しながらも答えた。

「み、民間企業における、障がい者の雇用割合のことだと思います。


舟木社長は頷きながら続けた。

「その通りです。現在、民間企業の法定雇用率は2.5%で、

従業員数が40人以上の企業には、障がい者を雇用する義務があります。

我が社の従業員数が120名であることを考慮すると、

3名以上の障がい者の方を雇用しなくはいけない。法律で決まっている義務ですから。

これまで、父の代からずっと、法律違反をし続けて納付金を納めてきました。

これからは、法律を守る方向で、『法定雇用率』達成を目指します。

そのために、人事課の皆さまの力をお借りしたいです。よろしくお願いします。」

舟木社長は深々と頭を下げた。


部長はすぐに社交辞令の返答をした。

「素晴らしい方針だと思います。ご期待に添えるよう、鋭意努力いたします。」

「ありがとうございます。私も積極的に動いていきたいと思っておりますので

何でもご相談下さい。今日はお忙しいところ、時間を作って頂き

ありがとうございました」

舟木社長は最後にもう一度頭を下げると部屋を出て行った。


社員達は社長が退出したのを確かめると部長の席に集まってきた。

「なんの話かとおもったら…」

「リストラかと思いました…」

「今時、社内メールじゃなくて、わざわざ口頭で言うなんて…社長本気なんですね」

社員達は口々に感想を漏らす。

「うちは中小企業だし、なんだかんだ言っても社長の鶴の一声で

方向性が決まるから…。やるしかないんだけど…まず担当を決めないとね…」

部長が社員を見渡す。社員達は逃げるように自席に向う。


その中で、倫心だけが残り、手を挙げて言った。

「私、やります。」

部長は驚きながらも、ほっとした表情で答える。

「香山さん、やってくれるんだね。よろしく。はじめてのことだから、

まずは調べてプラン作って下さい」

「はい。承知しました」

倫心はやる気に満ちた返事をする。

「香山さん、一人じゃ大変だから、田中さんもお願い出来るかな。

納付金の処理も担当してたし、大丈夫だよね?」

「え、俺ですか…」

田中は、あからさまに嫌そうな態度を示す。

「さっき、社長に名前覚えられてたし」

「あれはたまたま目があっただけです。…別に俺じゃくても。他に誰か…」

社員達は田中と視線を合わせないように一斉に下を向く。

「よろしく」

部長は拒否を認めず言い放つ。

「なんで俺が社長の道徳に付き合わないといけないんだよ。

そんなに暇じゃないっつの」

田中は小声でぼやく。倫心は田中のぼやきを聞かなかったことにして

「田中さん、よろしくお願いします」

と元気にあいさつをした。

「香山さん、頑張って」と田中は嫌味口調だ。


倫心は担当を進んで引き受けたのには理由があった。



読んで頂きありがとうございます。

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