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俺がワガママ王子なわけがない! ~交通事故で転生したら、評判最悪の王族になっていた件~  作者: 角砂糖
第二章 え、誰だよお前ら!? 城外で無名の三人と遭遇!
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ギルドのスタッフってそういうこと?

ギルドの掲示板に、怪鳥討伐の報告が貼り出されたのは翌日のことだった。

まだ新設されたばかりの冒険者ギルドにとって、初めての正式な討伐成功――人々の注目を浴びないはずがない。


広場の片隅では、早くもひそひそ声が飛び交っていた。


「聞いたか? 新しいギルドに登録したばっかの連中が、怪鳥を一羽仕留めたらしいぞ」

「ほぉん? 素人みたいな若者じゃなかったか?」

「いやいや、どうも“暁の牙”って名乗る四人組らしい。剣士と魔法使いと盾役と……なんか変な機械持ってるやつ」


「変な機械?」

「そう! 空飛ぶ小鳥みたいなのを出して、怪鳥の目の前で爆発させたって話だ!」

「なにそれ……魔導兵器の使い手!? やべぇな!」


話はどんどん誇張されていく。


「怪鳥を一撃で真っ二つにしたらしい」

「いやいや、炎の嵐で丸焼きにしたんだって!」

「ちがうちがう、盾役の大男が鳥の首を素手でねじ切ったって聞いたぞ!」


「おいおい……どれが本当なんだよ」

「全部本当らしいぜ!」


もはや怪鳥退治の真実は霧の中だった。



一方、ギルドの休憩所では――。


ユリウスたち本人が、村人から差し入れられたパンをかじりながら顔を赤くしていた。


「お、俺たち……そんな派手なことしてないよな!?」

「当たり前でしょ! 私、火矢をかすらせただけよ!」

「俺も盾で受け止めただけだ……首をねじ切るなんてできるか」


理人だけはにやにや笑いながらゴーグルを上げた。

「はは、いいじゃねぇか。噂なんて勝手に大きくなるもんだ。結果として“暁の牙は強い”って広まるなら、むしろ利用しようぜ」


ユリウスは顔を覆い、セリナは半泣きで机に突っ伏す。

ガルドは黙ったままパンをもぐもぐ噛み続けた。



王都の広場だけでなく、王城の廊下や侍女控室でも、新設ギルドの初依頼成功は話題になっていた。


「ねえ聞いた? 冒険者ギルドとかいう新しい組織、もう怪鳥を退治したんですって」

「ほんとに? だって昨日できたばっかりでしょ?」

「らしいのよ! しかも無名の四人組が一晩で怪鳥を仕留めたって!」


お茶を運んでいた侍女たちの声が弾む。


「私は聞いたわ。魔法で怪鳥を丸ごと爆発させたって!」

「いいえ、盾役の人が空を飛んで鳥の翼をへし折ったんだって」

「ちょっと! 私が聞いたのは“怪鳥を丸焼きにして村人全員にご馳走した”って話よ!」


「ええ!? それ料理人じゃないの!」


きゃあきゃあと笑いが広がる。



一方、兵舎の方でも。


「聞いたか? 新参の冒険者が俺たちより先に怪鳥を仕留めたらしいぞ」

「……なんだよそれ。兵団の立場がないじゃないか」

「いやいや、いいじゃないか。俺たちが行く前に片づいてたんだ。むしろ助かるだろ」

「でもよ……怪鳥を“ドローン”とかいう小鳥で爆発させたって聞いたぜ?」

「なんだそれ……新型の魔導兵器か? 王都にもそんなのねぇぞ」


兵士たちの間では、理人のガジェットが「謎の兵器」として広まっていた。



そして、廊下の隅で。


ギルバートが書類を抱えながら、遠くからその噂を耳にし、静かにこめかみを押さえた。


「……また妙な話が……。一体この国はどこへ向かっているのだ……」


執事の胃痛は、ますます悪化する一方だった。


こうして、彼らの初陣は実績以上の“伝説”として広まり、

まだ無名だった《暁の牙》は、知らぬ間に王都で話題の的になっていた。



ギルド事務室。

理人が帳簿を広げて頭を抱えていた。


「……人手が足りなさすぎるな。受付、記録、依頼の調整……。戦う冒険者以外にも、支えるスタッフが必要だ」


倫太郎はその言葉を聞き、ふと目を見開いた。

「……そうか!」


「なにか?」と首を傾げる渚に、倫太郎は身を乗り出して言った。


「アレクシス王子って、過去にめちゃくちゃ理不尽な理由で人をクビにしてるだろ?

じゃあさ――その人たちを呼び戻すんだ! “王子付き”はもう無理でも、ギルドのスタッフとして再雇用する!」


「……なるほど」

渚は口元に指を当て、すぐに頷いた。

「彼らも生活に困っているでしょうし、王子の悪名を打ち消す好機にもなりますね」


「はいっ! 私と渚様で手配してみます!」

ミラも目を輝かせて名乗りを上げる。


倫太郎は理人の方を振り返った。

「ギルド側の段取りは任せていいか?」


理人は肩をすくめ、ゴーグルを押し上げた。

「おう。書類整理も管理システムも俺に任せろ。元王子の“被害者リスト”をギルドの人材に変えてやるさ」


新しい冒険者制度は、着実に“庶民を巻き込む仕組み”へと形を整えていった。



一方、城内の噂


侍女控室。


「聞いた? 新しいギルドには“元王子の被害者”が次々集まってるらしいわよ」

「えっ、なにそれ! クビになった侍女とか?」

「そうそう。“靴紐を結ぶのが遅いからクビ”“紅茶の角度が気に入らないからクビ”とか!」

「ひどすぎる! でも逆に即戦力揃ってそうね」


きゃあきゃあと盛り上がる侍女たち。



兵舎の片隅では。


「ギルドが雇った新スタッフって……昔アレクシス様に追い出された連中だって噂だ」

「マジかよ。じゃああそこ、“王子のリストラ組の集会所”じゃねぇか」

「でもさ、リストラされた奴らって意外と有能だったんだろ? だったら最強の事務所じゃねぇか?」

「やべぇな……ギルドって実は超エリート集団?」



そして、書類を抱えたギルバートは――。


「……クビにした者を拾い直す……!? 一体何の冗談だ……」

こめかみを押さえながら、静かに天を仰ぐのだった。


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