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エンジェルライフ・Lovely  作者: 森嶋直斗
8/10

エンジェルライフLovely⑧最新のガン治療の落とし穴!治療したはずのガンが、モンスターになって蘇る!?

臨床試験の済んでいない最新のガン治療器をカルロやカルメンのガン治療に使ったエライザだったが、メーカーからとんでもない検証結果が告げられる。失意に悩むエライザ。

         孤高の狼!ぶっ飛び脳外科医エライザ! 負けるな!

          宇宙に広がる空は、青い!

           火薬に煙っても ガレキにかすんでも!

             

カルロが送った1.3tの圧延機も置かせてもらえるようになり一安心のエライザだった。


モトズラウンジで夕食の準備をしながら

エライザ:カルロってさ、ここぞって言うとき必ず誰かがミラクルパスくれて、カルロは、いつもごっっつあんゴール!

ベニスでういかが間違って100ユーロ札出さなきゃ私ら一緒にここにいないし、貨物船で帰ってきたり

圧延機もあんたが日本語聞き間違えてなきゃ浩さんに圧延機の話し、してないし・おまけにタダで運んでもらって、

ほぼ、ただで作業場までゲットして・・・

ういか:ホンマやな・・いつもぼろもうけ・・・おまえ、なんもせんで、ズルイで、カルロ!

カルロ:えっ、日本語、早すぎて分からない・・でも、みんな嬉しそうだから・・良い感じだね。

早紀:森園さんエンジェルライフ、知らなかったですよ。Fendy鈴のことも・・・

ういか:エンジェルライフ知らん!えーっ!・・エライザは、最近テレビ減ってるけど、Fendy鈴を知らんて、人間ちゃうで・・

早紀:私のことも知らないみたいで・なんか久しぶり・・

   自然体で・・・話せて・・いい人だなって・・

ういか:めんどくさいな、ためてばっかりで、

エライザ:まーテレビもネットも見ない人もいるから

カルロ:機械動かしに行ってもいいですか。ぐるりんバスで行けるよ。

カルロは、VintageNOTEの倉庫を間借りして花飾り、アクセサリーを作り始めた。カルロの作品は、全てごみとなっていた電化製品の配線や基盤をバラシて金銀銅、真鍮などの金属を取り出す。材料は無償だけれど作業時間が長く労力がかかる。お金のないカルロができるのは、これしかなかった。田原市の資源化センターではカルロが材料として集める電化製品の部品がたくさん集積している。カルロが無償で分別作業を手伝う代わりにごみとして捨てられた電化製品がもらえた。


早紀:ねえ、最近、カルロ、帰って来るの遅いね。

ういか:エライザが伊良湖から帰ってくるときに電話するとまだVintageNOTEにいて、作業続けるって言うんで寄って無理やり連れて帰って来るんだって。そうしないと作業をやめないんだって。

ういか:まー本物のアクセサリー職人やからなー・・・なんとか自分も稼ごうと必死なんちゃう。良いの作るよ!

早紀:ういかがベネチアで買ってきた花飾りもメルカリで4,980円なら即日完売だね。

ういか:私が8ユーロで買ったから1200円ぐらいかな。地元の人には、3ユーロ、450円っ、てそれでも儲かる?

早紀:ういかは、100ユーロ出しちゃったから15,000円で買ってるじゃん!


エライザ:ただいま!

カルロ:ただいま!お腹すいたよ。ママぁー帰ったよ!調子よかった?おーっ育像も・ご飯食べる?

カルメン:育像は、何回もちょっとずつ食べるから・・さっきホタテ貰って食べたばっかりだよ。

エライザ:カルメン、リハビリどうだった。

カルメン:まだ、立てません。でも、ボールキックできました。

カルロ:ママ!すごいね!。ちょっとずつで大丈夫!

早紀:ねえ、カルロ、いつもエライザが帰ってくるまで作業してるの?体壊すよ。

エライザ:私も言うんだけど・・私の帰りを待ってるんじゃないから、何なら泊まるつもりだから、、行かないと帰って来ないからしかたなく迎えに寄って来るんだけど。

カルロは、ダイニングテーブルに用意された食事をもう食べている。休みが合うとき以外はそれぞれ勤務時間が不規則なので、早く帰った人が用意して用意してあるものをそれぞれのタイミングで温めて食べる。食べ終わったカルロは、テーブルに出ていた赤ワインで口をぶくぶくやるとごくッと飲み干すと・・・


カルロ:エライザ! ここに来てください。

エライザ:ん どうした?

カルロ:愛してるよ!

エライザ:なに?みんなの前で・・・

カルロは、エライザの左手をもつと、薬指に自分が作った銀の指輪をはめて、軽くキスをした。

カルロ:おやすみなさい。明日もVintageNOTEに行くよ!。と、言って寝てしまった。

エライザ:おーっ試作品くれたわ、さあ私も食べよ!(ミャy-ア)育像は、食べたでしょ!ちょっとだけやるか・・

早紀:エライザその指輪、もしかして!

ういか:ちょっと、エライザ!指輪見せてみー!

早紀:ほら!いつもと違う指にはめてるよ!

エライザ:んん ほんとだ、ん・ちょっと凝ったデザインで素敵だね・・

早紀:エライザ!それ!婚約指輪!!じゃない!もしかしての・・

エライザ:ん ・ ん えっ!

ういか:そーだって、照れくさくて、わざとみんなの前で・・・

早紀:プロポーズだった!ってこと!公開プロポーズ!!

ういか:きっと、そうやわ!!

エライザ:えーっつ!あっさりしすぎ~

エライザはカルロの寝室に問いただしに行った。・・

・・”カルロ!カルロってば・・・・・・・・・

・・・・・・ん・・・・・・・・帰ってこない・・

・・・・・・・・・ああ・う・・ん・・・・・・・・・・


みんな、しずかに食事も終わり、片付けも終わり・・・・

・・・・・それぞれの寝室で息をひそめた。・・・

            ・・・猫の育像以外は・・・

   ウーギャー ゴロゴロ   ビーーエーーッヅ  

 ギャーアーw-  ガリッツガリッツガリッツガリッツ

         ギャーアーグーヲ

              ・・眠れるわけがない・・  

                   

エライザの朝は早かった。エプロンなんぞ付けている。

♬うちゅうにーー広がるー空は青いーー♪鼻歌はいいが、

その歌は、このシチュエーションには、合わないのでは・・

・いったい何人分の朝食を作っているんだろう。テーブが埋まっている。

カルロも起きてきた。

カルロ:頂きます。すごいいっぱいだね。・・ん、おいしいです。

エライザ:そお!うれしいなー はい!これも!オムレツ!

カルロ:エライザは、料理もじょうずだね。ごちそうさま! 

ぐるりんバスで行くから大丈夫! チュッツ


朝食をガツガツとあっという間に食べ終わるとカルロは、VintageNOTEにアクセサリー作りに出かけて行った。

エライザ:みんな遅いなー休みかな?おーい私も出勤するよ!

エライザも出て行った!

              みんな起きれるわけがない・・育像も・・



カルメンの診療結果を検診機のメーカーが検討して報告会が開かれていた。

メーカー:まことに申し訳ないのですが、宇宙線とX線を併用するハイブリッド免疫療法にのみ確認できていることなんですが、ガンを消滅させると同時に新たながん細胞を作っているようです。

エライザ:どういうことですか?

メーカー:造影剤に反応して宇宙線でガンを破壊して、その際に残った微量のガン細胞が増殖しています。顕微鏡画像じゃないと見えないので、照射中は、ガンがきれいになくなって見える。

エライザ:それって、ガンを消しながら新しくガンを作ってるってことですか?

メーカー:言いにくいですが、そうなります。

エライザは、カルロの足に発生した初期の骨肉腫の治療のことを思い出した。

エライザ:実は、骨肉腫の照射で同じような事例が有ったのですが、根拠が分からず、報告できていませんでした。解決策は?

メーカー:解決策を模索しています。・・・現段階では、効果的な対策は・・・


エライザはメーカーが退席した後もミーティングルームに座ったまま動けないでいた。

   ”今のガンを消して、消せないモンスターを作ってしまった。”

この説明をカルメンやカルロにはできない。

診療室に一人残るエライザを伊良湖岬の夕日がオレンジ色に染めた。

初秋の日暮れは早い。

時刻は、5時を回り帰宅時間を過ぎているが、腰が上がらない。

カルロを迎えに行き、カルメンの待つモトズラウンジへ帰らなければいけない。

気が付くと星空に変わり伊良湖水道を行き交う漁船の漁火が泳いでいる。

大きな汽笛が鳴り鳥羽初のフェリーが伊良湖港に入港してきた。

エライザ:もう行かなくちゃ・・

259号線を海沿いに帰る。ルームミラーに後続車のライトが反射してまぶしい。知らぬうちにアクセルがゆるみ速度が、

落ちている。慌ててアクセルを踏んでスピードを上げた。VintageNOTEの駐車場に車を止め、バックミラーで笑顔を作った。

エライザ:カルロ! 遅くなっちゃった!帰ろっ。

カルロ:ちょうど、作業にきりが付いたよ。グッドタイミング。

カルロが、エライザを抱きしめキスをしようとした。

エライザ: えーっつ 顔中真っ黒! 

エライザは、服の袖でカルロの唇を拭いて汚れを拭きとると、

      カルロの下唇を噛んだ。そのまま動かないでいたかった。


エライザ:今日、外食する!回転ずし!

カルロ:良いよ。工場 閉めます。

はま寿司に行くと待ち時間もなくすぐに座れた。

タッチパネルの注文は慣れないとなかなか難しい。恋人同士がじゃれながら

選んでいるのは微笑ましい。流れてくる寿司を見てるときは、治療のことを忘れられた。


モトズルームに帰った。カルメンはもう寝ていて育像も出てこない。

早紀が残っていてくれてエライザの帰りを待って帰宅した。

カルロ:シャワー行って寝ます!

エライザ:了解! 私は、ちょっと飲んじゃおうかナ!

カルロがシャワーに行くと、ジャックダニエルをロックで作るとグッと喉に流し込んだ。大きなため息とともに背筋が丸くなる。早紀が用意してくれていた料理がいくつか並べてあった。ふきんをどけてシュウマイを一つ手でつまむと口に放り込んだ。プレイヤーの電源を入れて再生ボタンを押す。今日の朝、聞いていた曲が流れた。

    ♬うちゅうにーー広がるー空は青いーー♪

                ♫火薬に煙っても 瓦礫に霞んでも♬

エプロン姿のエライザの鼻歌には、この曲は場違いだったが、いまのエライザには、この歌が似合い過ぎる。

エライザが、3杯目のロックを飲み干したころ、カルロが風呂から上がってきた。

カルロ:エライザ、おやすみ チュー

エライザ:        ・・・ダメー ちょっと聞いて!

            明日、作業中止!ママと一緒に診療します。

カルロ:えー何で? カルロは病気無いよ!。

エライザ:ダメー! 契約です。協力してください。

カルロ:分かりました。

寝室に向かうカルロをエライザが、追いかけ

エライザ:アリガト チューーーッツとかぶりついた。

ジャックダニエル恐るべし、スリーバーレルでは、この展開はむつかしい。


翌朝のエライザは、ぶっ飛び脳外科医の顔になっていた。吐く息から漂うジャックダニエルを除いては・・・

早紀:ママとカルロの点滴 終わってます。

エライザ:ありがとう カルロから検査台に縛りつけて!

早紀がカルロを検査台に寝かせベルトで固定した。本院の宇宙線照射機は1号機だから少し旧式でで、患者はベルトで固定される。ドクターや検査技師のやる気に比例してベルトの締りも強くなる。エライザの気迫が早紀に伝わりカルロは、チャーシューのように縛りあげられた。

エライザ:カルロ!検査していきます。ガンが有ったら照射して消滅させます。行きますね。

照射機の運転ボタンを押した。足の骨にいいくつかオレンジ色のガン細胞が確認されたので、その都度照射ボタンを押してガンを死滅させた。そのまま肩まで検査したが転移もない。今使っている造影剤は新しいものでガンが黄色ではなくオレンジ色に染まって見える。全身をもう一度、診るがガン細胞は確認できない。

エライザ:早紀ちゃん、ママの番です!

早紀:了解です。

早紀:カルロ、お疲れ様終わりよ。

カルロのベルトが緩められ検査台から下りた。カルロが腕をさすりながら

カルロ:ベルトが食い込んで痛いです。ハムみたいになっちゃいました。

イタリア人が例えると、チャーシューじゃなくてハムらしい。

ママのカルメンが検査台に乗った。早紀も落ちついてきたのか固定ベルトが食い込むことは無い。

早紀:お願いします。

エライザが検査ボタンを押した。淡々と検査を進める。ちらほらとオレンジ入りのガン細胞が確認でき、その都度、照射でガンを消滅させ全身を細かく検査した。

エライザ:はいお疲れ様でした。二人とも午前中はここで安静にしてください。

エライザは、二人のデータを確認しにモニタールームへ入る。昨日の検討会で消せないガンがあり更に新しいガンを作ってしまうと報告されているので、迷いは無い。この機械で出来ることをして、現実を理解することが大切だと腹をくくっている。エライザは、ガンが消えたところは、機械を信じて無視して照射前にガンが無かったところの顕微鏡写真をよく観察している。

エライザ:確かに新しいガン細胞が増殖していた。

すべてガンを消して完治させることは、むつかしい。考え方を変えることにした。

エライザは、

”今のガンを消して、消せないモンスターを作ってしまった。”と考えていたが

”悪いガンを消して、新しく生まれたガンは、よく監視する。”ことにした。

                 悪さしたら退治してやる!


完璧を求めるよりできることを前向きに進むしかない。


  人生は長い旅 終わりが有れば 始まりがある

   歩けなくなるまで進み 次の時代にバトンを渡す 

VintageNOTE ニューアルバム 5月20日リリース

               作詞:花鈴花鈴 ”旅”より




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