エンジェルライフLovely⑦やっと帰ってきたカルロ。足のケガの治療で撮ったレントゲンに黒い影!
やっと帰ってきたと思ったら、縄梯子から落ちて足をねん挫した、 カルロ。治療のために足のレントゲン写真を撮ると、黒い影が・・・
一方、カルロは、日本でもアクセサリーを作ると言ってイタリアから1.3tもある巨大な機械を送ってきた。どこに置く?どうやって運ぶ?
困惑するエライザとのんきなカルロに、またしても次々とミラクルパスが!持ってる男はツキまくる。
⑦
タンカーの縄梯子から落ちて、エライザの運転する車にひかれたカルロ。ケガは、飛び降りた時の捻挫で大したことは無い。エライザの車のバンパーに飛ばされたがあざ程度で大丈夫そうだ。
念のためレントゲンだけ撮っておこうとカルメンの治療と一緒にカルロも診療を受けた。すると、エライザがカルロのレントゲン写真に違和感を感じた。
エライザ:骨折とかは無いから大丈夫だけど・・・この変な黒ずみ・・・なんだろう?
エライザは、カルメンの治療を始めることにした。カルメンには昨日、造影剤と照射補助剤が点滴されている。カルメンを検診台に寝かせると照射室を出て、インターホンでカルメンに話しかけた。
エライザ:それでは、始めます。
運転準備ボタンを押した。クリアーフードが出てきてエアーマットで体が固定され準備が整った。
エライザ:カルメン照射するよ。
運転ボタンを押すとハイブリッド免疫療法が始まった。Liveモニターに骨に発生したガンが黄色く表示され照射により消滅していく。まだ、この治療方法を骨肉腫に使用した実績がない。体への影響が分からないので今日は、左下腿のみの治療とした。
エライザ:お疲れ様でした。今日は、これで治療は終わりです。早紀ちゃん、カルメンを連れて行って、代わりにカルロをモニタールームに連れてきて。
エライザ:お母さんの治療の様子を一緒に見るわね。
再生するよ。この、黄色いのがガン細胞。照射が始まったね。見える?黄色いのが消えていくのが・・
早紀:すごいですね。ガン細胞が削られるように無くなってますね。
カルロ:よくわからないけど・・すごいんだね?
エライザ:ここまでは、分かっていたことなんだけど。ここの、ガンが無くなったところが少しだけ、くぼんでるでしょここに骨が再生されるのか、または、盛り上がっちゃうのか・・・観察していかないと分からないんだ。再生されないと歩けないし、盛り上がっちゃうと関節なんかは痛くなる。内臓のガンの治療と異なるのは、内臓は、少し大きくなっても問題ないけど関節は少しの大きさで痛みや歩きやすさに影響するの。だから、お母さんの治療は、時間が掛かる。
カルロ:しょうがないね。歩けるようになれば嬉しいから時間が掛かっても治療をお願いします。
エライザ:あと、カルロのレントゲンも見て!ここの黒ずみがなんだかわからないんだけど、カルロにもハイブリッド免疫療法を受けて欲しいの。カルロのお爺ちゃん、お婆ちゃんもあるときから足が痛くなって寝たきりになったって聞いて、お母さんの病気と同じだったかもしれないって思ったの。もしかするとカルロにも病気が見つかるかもしれない。どうせ一緒にいるんだから検査だけしよう。
カルロ:痛く無いなら良いよ。
エライザ:カルロにカルメンと同じように造影剤、照射補助剤を点滴して。
早紀:分かりました。カルロ行くよ!。
早紀は、カルロに点滴をした。
カルロ:痛ーいっ 痛く無いなら良いよって・・言ったのに!
この日は、カルロの点滴が終わって終了。翌日の診療。
翌日は、カルメンは経過観察のみ、カルロの足の骨を観察した。カルロがフードに入り照射準備が整った。
エライザ:骨の黒ずみが黄色く色図いているところと黒いままの所がある? なんでだろう?
カルロ! このまま足に照射してみようと思うんだけど・・良いかな?
カルロ:痛いのは、ダメです。見るだけって言ったから・・・・やめ・・・・
エライザ: 痛く無いから スイッチON
エライザ:終わったよカルロ!
カルロ:えーっ やってたの 痛く無かったよ。
エライザは照射中に不思議なものを見た。照射により消えるものと消えないものがあった。
エライザ:消えないガンと消えちゃう骨か分かんなくなってきた。
エライザは、迷っていた。臨床実験の少ない最新の治療法なので相談する医師もいない。
エライザ:カルロ、あなたにも骨肉腫が見つかった。でも初期のガンで骨には全く影響は出ていなかった。どうせなんで照射でガンはほとんど消滅したけど。今後も経過を見て対処するからこれでひとまず安心です。
エライザが、治療に使っているハイブリッド免疫療法は、
(エンジェルライフ最終回をお楽しみに:奈央が生前研究していたシーメンスの癌治療機械を改造したもの)
ある人と極秘に開発した治療方法でイタリアでカルメンが受けた放射線の治療方法よりは効果が見込めたが、消せないガンもあるようだ。
カルロの骨肉腫もレントゲン写真から予想していた。早期に発見できているので心配ない。前向きなことだけ伝えカルロを安心させた。
カルメンの両足の骨肉腫は分かっただけでも肺と肝臓、右腕の肩に転移していたが、肺と肝臓は、ハイブリッド免疫療法でガンがほとんど消滅した。ハイブリッド免疫療法の照射をして経過を見ていた左足の状況も良好だ。ガン細胞を消滅させた部分の骨の再生も順調に進んでいる。右足と、関節の中に転移している右肩にも照射をすることにした。
エライザ:カルメン、調子はどう?
カルメン:肺と肝臓の治療の後から体が軽くなったのこんな感覚久しぶりだわ。
エライザ:順調そうで良かったです。今日は、まだ、照射していない右足と右肩の照射をします。左足を照射してから様子を見ていたけど、骨の再生も順調なので残っている部分も照射します。
施術が終わり
エライザ:カルメン、お疲れ様!長かったね。どこも痛く無かった?
カルメン:大丈夫でしたよ。クリアフードのフローティングスクリーンに私の好きな”ローマの休日が”映し出されて懐かしく見てたら。いつの間にか寝ちゃいました。
エライザ:これで、全身のガンが現時点では消滅できています。今後は経過観察と骨の再生に合わせてリハビリを行います。
森園奈央と開発したこの治療方法は、研究段階で臨床試験すら行われていない。共同開発の条件として奈央が死ぬまでこの治療方法を公開しないと約束していた。エライザは、自らの責任でカルロ、カルメンにこの治療方法を臨床試験した。
エライザ:カルロ、お母さんや貴方に実験段階の治療方法を試験利用したの今のところ経過は良好だけど、今後、何かあれば、私の責任。少しでも違和感が有ったら言ってね。
カルロ:研究したいって言ってたから、お金もかからないし、感謝してるよ。
エライザ:リハビリも長い時間かかるけど一緒に見守るから。
久しぶりにリハビリの担当に作業療法士の杉本健司が呼ばれた。
エライザ:カルメン、紹介するわ。リハビリをお願いする杉本健司さんケンジ。杉本さん、こちらがギタリストのカルメン、それから・・エンジェルクルーの中村真理さん真理ちゃんはHeboの時に一緒だったね。そして、サポートの早夏ういか。早紀と私も引き続きここには居るので、安心してこのメンバーに頼ってください。
ケンジ:よろしくお願いします。焦らず気長にやっていきましょう。
真理:お話は伺ってました。ギター聞かせてくださいね。
ういか:これからは、正式にメンバーになりましたから育像の世話に毎日着ます。
渥美病院のエントランスロビーで、ギターの音が響いていた。カルメンとエライザがギターを演奏している。曲は、坂本九の”上を向いて歩こう”ういかが歌い出した。♬上を向いて 歩こう♫ 涙がこぼれないよおに♪
カルメンが体の調子が良くなってきたので何か貢献できるようなことがしたいと言ってギター演奏を提案してくれた。お陰で、演奏のある日は病院内の喫茶店は患者以外の人で満員。ロビーには診療が終わった患者が居座ている。演奏の情報を聞きつけた豊橋市民病院の入院患者が何とか理由をつけて転院してくることもあった。コロナ化では、見られなかったにぎやかな景色を嬉しく思うのだが、病院が混むのを喜んでいるのも不思議な感じだ。
エライザ:カルロ!愛知海運から荷物が来たってメール来てるよ。
カルロ:やっと来たのか、遅かったね。どこにありますか?
エライザ:9月9日までに愛知海運の神野埠頭倉庫に取りに来てって書いてある。今日は、8月20日だからずいぶん余裕あるね。今日今から、持ちに行ってもいいよ!
カルロ:それは、無理です。クレーン車がいりますから。
エライザ:はあっ!!クレーン車って言った!!
カルロ:はい・・いくらエライザでも重くて持てませんよ。
エライザ:なにそれ?重いの?
カルロ:1300Kgって刻印してあったかあな・・・
エライザ:1.3t!それが道具か!!
カルロ:それないと、私の花飾り作れません。
エライザ:良くわかんないから、今から見に行こう。
カルロ:良いですね。ドライブも出来るし。
愛知海運の神野埠頭倉庫に着いた。
作業員:こっちです。ああ、カルロさん宛ての荷物!あれです。
エライザ:なんじゃこれ!!これ道具って言わんぞ!機械を見上げながら・機械のまわりをぐるりと1周。
カルロ:銀や金の圧延機です。細い針金が出てきます。
エライザ:こりゃあむりだわ・・・・
カルロの手を引いて車に帰っていく二人に、浴びせるように作業員が言った。
作業員:できるだけ早く取りに来てくれないと奥の荷物が出せないんで、早めにお願いします!聞こえました!
エライザ:持って行く所なんって無いわ!
車に乗り込んだ二人。あてもなく走り出した。
エライザ・・・・どうする・・つもり・・・
カルロ:クレーン車をレントさんで借りましょう。
エライザ:誰が運転するの?。
カルロ: ・・・・
エライザ:どこに持っていくの?。
カルロ: ・・・・ あっ! 一緒にかんがえます。
エライザ:アホーーーーーっつ!!! 送る前に考えろ!!
カルロ: 怒ってますか?
エライザ: オコッテ・・まあああすうっ。
カルロ:カルロは、相談しました・・ね。
エライザ: どうぐ持ってきたいーー ってねーーーカルちゃん!
カルロ:はい!そうです。
エライザ:道具じゃ無いわ
カルロ:あれは、何ですか?
エライザ:工作機械じゃ!!
カルロ:こうさ ぐ じ か い なんですか 難しい日本語です。
国際結婚のハードルは高い。愛だけではゴールにはたどり着けない。エライザは、こんな時は、元さんに相談出来たらな・・・と思った。愛知海運の帰り道、あてもなく海沿いを走っていると渡辺エンジニアリングの看板があった。
エライザ:あっ浩さんの会社だ・・元さんの時、以来・・会ってないな・・挨拶していくか。
会社に入っていく
エライザ:こんにちは、エンジェルライフのエライザです。
カルロ:カルロだよ!
浩嗣:あーーっ、エライザ!先日は、・・
浩嗣:落ち着きましたか。 旦那さん?
エライザ:いや 違います。友達って言うか?患者さんの息子さんです。
浩嗣:カルロさんでしょ! みんな結婚してるんじゃないかって言ってますよ。
カルロ:はい! カルロです。
浩嗣: ねえ、やっぱり。
エライザ: 名前じゃねー あーめんどくさ
浩嗣:今日は休み?新婚さんで、デートか?
カルロ: はい!デートです。愛知海運まで・・
エライザ: だから・・
エライザ: デートしか聞き取れてないだろーって黙ってろ!
浩嗣:愛知海運で何してきたの?
カルロ:大きな道具、見てきました。
エライザ:おおっつ、会話になった。 聞いてくださいよ。
エライザは、カルロが船便でイタリアから送った金属アクセサリーの圧延機の話をした。
浩嗣:久保さん!ちょっと手が空いたらお願いします。
工場で機械の整備をしていた久保忠相を呼んで・・
浩嗣:愛知海運に圧延機が有って運びたいんだって、海運の高橋さんに電話して聞いてあげて、
クレーンは、レントの真美ちゃんに頼めばいいし下ろすところも見に行ってあげて
忠相:久保忠相です。
エライザ:侍みたいな名前ですね。顔はイタリア人みたいですけど
忠相:よく言われます。
カルロ:イタリア人ですか。
エライザ:タイミングあわせろ! 日本人だわ・・よろしくお願いします。
忠相:持ちに行って下ろして設置も出来ますし、調整もします。場所はどこまで?
エライザ:それが、まだ決まってないんです。急いで検討しますので・・・
忠相:それじゃあ決まったら連絡ください。直接、この携帯でいいです。
久保はエライザに名刺を渡して仕事に戻った。
エライザ:浩さんありがとうございました。よろしくお願いします。
浩嗣:だんなさん! また会いましょう!
カルロ:だれに?
エライザ:良いから黙って笑ってて・・って!ん、でもカルロ!お手柄じゃん!すごいじゃんカルロ!機械運んでくれるって!なんで会話がかみ合った?? なんでもいいや場所か??
少し光が見えてきた。運んでもらう話はとんとん拍子で進んで、後は場所探しか。使ってる様子も分からないし考えようにもけんとうが付かない。
とりあえず、モトズラウンジに返ってきたエライザは、真理と、ういかと、話している。
エライザ:こんなでっかい機械を持って行ってくれってどうする?って思ってたら、たまたま寄った渡辺エンジニアリングの浩さんに話したら、運んでくれる話になって、、
ういか:カルロさ、結構詰めが甘いよね。
真理:♪あいしてるの♬サインって歌ってる場合じゃないよね。だけど場所って言っても・・アクセサリー工場作るって感じで、考えもつかない。
ういか: どっか工場かりる、ってこと!
エライザ:そんなお金かけたって、花飾り売って採算合わないでしょ。
作業場所の話は、そう簡単には決まらない。話が進まないまま、1週間がたった。
エライザの携帯が鳴った。
忠相:もしもし渡辺エンジニアリングの久保忠相です。
エライザ:はい、先日はどうも。
忠相:カルロさんの機械ですけど、結論から言うとうちの工場に持ってきちゃいました。
愛知海運の高橋さんから早く持って行ってくれって催促が多くて、こっちも話に入っちゃったんでバツが悪くてとりあえずここにありますんで、運ぶ場所が決まったら連絡ください。
エライザ:申し訳ありません。場所、早く決めます。
エライザ:あちゃっ、早く場所決めないと・・迷惑かけちゃったな・・・
翌日、エライザとカルロは謝りに渡辺エンジニアリングに行った。
浩嗣:問題ないですよ。ゆっくり場所探してもらって。
忠相:謝らなくても、実は、僕はフォークリフトで下ろしただけで、愛知海運の高橋さんが自分でここまで持ってきてくれたんです。向こうも早く出してほしくて倉庫の作業員に苦情言われてたみたいなんですけど、ほかの現場の機械を引き上げに行く予定が有ったらしくて、カルロさんの機械を積んできてくれたんです。
エライザ:ホントですか、ありがとうございます。運搬賃は?
浩嗣:だからお金かかってません(笑い)
カルロ:(大笑い)ははあぁ それは、良かったですね。
エライザ:(・・怒・) ちょっと機械、見て行って良いですか。
浩嗣: 久保さん案内してあげて
忠相: こっちです。
エライザ、カルロは久保忠相について行った。鉄の扉を開けるとカルロの機械がちょうどよく収まっていた。
忠相:ここは、楽器修理のVintageNOTEが作った場所なんですけど、この奥がギターの修理工房です。ここは、この壁が全部開けれるようになっていてカルロさんの機械もフォークリフトで下ろしてそのままここに置きました。しばらく置いといても大丈夫だと思います。実は、VintageNOTEさんはヘルニアで渥美病院に入院していて2か月は、戻ってこれないみたいなんで、後で聞いときます。あっ皆さん渥美病院か!エンジェルライフですよね。電話しときますんで、挨拶してみれば。それじゃあ!
エライザは、モトズラウンジに戻りカルロを置いて、入院病棟へ行った。VintageNOTEの森園は、いま、4階の東病棟にいるらしい。4東のナースステーションに行って病室を聞いてみた。
エライザ:すいません。脳外のエライザですが、森園さんの病室ってどこですか。
看護師の松田がカウンターで対応した。
松田:ご苦労様です。森園さんは427の④です。
エライザ:ちょっとお話が合って、行ってきます。
岡田:松田さん!今の人!エンジェルライフのエライザ!?ですよね。サインとか無理かなーー?
松田:騒ぐな!そっちもー!見てる場合じゃない!仕事中ーーし!ご!と!。
鈴木が患者さんの所に行くふりをしてエライザを追い越して走って行って、振り返って帰ってきた。
山本:見えた!?
鈴木:ホンモノ!エライザ!キーっやばい!
小谷:若菜!点滴!28!・・小谷の怒号で4西まで揺れた・・・
若い看護師はエライザをテレビで見ても、直接会う機会はほとんど無い。大騒ぎするなと言われても・・・二十歳そこそこの看護師がテレビの、いや、映画界の(ちょっと言い過ぎか)トップスターが目の前に突然現れたら・インスタやツイッターにすぐに投稿することになる。みんなが、あなただけにツイートするから内緒にしてよって口止めしてツイートするから、2分もすると病院中に広まって、普段は来ない事務関係や薬剤師がどうでも良い広報を4東に持ってくる。エレベーターは超満員。
エライザ:森園さん失礼します。脳外のエライザです。
森園:はい、脳外ですか珍しいですね。
エライザ:ちょっと、ご報告とご相談がありまして・・
外が騒がしい、廊下に出て見渡すとナースステーションのまわりに人混みが出来ていた。
エライザ:ぁ・・まずいな 森園さん!リハビリ良いですか。
エライザは、車いすを取りに行き森園を乗せて4東の脱出を試みる。
エライザ:森園直也さんリハビリ行ってきます。
”エライザがリハビリ”看護師も首をかしげている。松田が看護師を制して道を開けさせる。若手看護師は先輩松田に叱られておとなしく道を開けているが、患者はこの際とばかり距離を詰めて来る。手が折れただけのおばちゃんはたちが悪い。エレベーターにエライザと森園が乗ると、車いすの向きを変えている間に、すかさず自分も乗り込みエレベーターのボタンの前に陣取り”何階ですか”と、聞いておきながら1・2・3と全部押した。1階づつ止まって扉が開いて、”ちょっと乗れません”と、おばちゃんは係員の役を演じている。おばちゃんをかいくぐり、松葉づえのおっちゃんも無理やり乗り込んだ。おっちゃんは、あれ?エライザさんじゃん。本物は、綺麗だね。と、しらじらしく偶然を演出。
1階に着いた。
おばちゃん:エライザさん!これ押しといたるで、さきにーでりん!
エライザが車いすを押して出ると、おばちゃんは、松葉づえのおっちゃんが出ようとするのをおっきなお尻で突き飛ばしエライザを追いかけた。モーレツにダッシュして、レントゲン室の奥にあるモトズラウンジ直通のエレベーターに乗って、モトズラウンジ直通ボタンを押した。
エライザ:すいません大騒ぎになっちゃって
森園:なんか合ったんですか・すごい人でしたね。
エライザ:んまー(この人・・私が誰か知らない??)
あの、相談というのは・・・・・・・
と、カルロの機械の話をした。
森園:あーっ、その話なら久保ちゃんから電話がありました。いつまでも置いといて良いですよ。私が必要なのは、奥の会議室と録音スタジオだけですから。
圧延機の圧延作業ぐらいなら十分な広さだと思いますよ。
エライザ:えーーっ!良いんですかあのまま置いといて!?
森園:問題ないですよ。いい場所が見つかったら持っていけば良いじゃないですか。
エライザ:助かります。
森園:家賃は無料です。若手支援ですから儲かるようになった貰いますよ。(笑)
エライザ:ホントに置かせてもらって良いんですか?
森園:良いですよ。その代わり雨漏りは自分たちで修理してください。
エライザ:分かりました。よろしくお願いします。
あの、帰りなんですけど、また、入院病棟に迷惑かけるんで他の者が送ります。・・早紀ちゃん!4東まで良い?
早紀:了解です!
早紀は森園を送って行った。(私なら大丈夫なんだ・・)
早紀:森園さんありがとうございます。エライザ、あの機械の置き場所が無くて困ってたんです。
森園:脳外科の先生が、圧延機をどうするんですかね。
早紀:まあ、いろいろあって・・あの・・・さっき、ちょっと聞こえたんですけど・・森園さんってVintageNOTEなんですか?
森園:はい、一応、売れてないけど、ミュージシャンです。今は、若手のプロデュースが、中心です。
早紀:エンジェルクルーのFendy鈴!知ってるでしょ!鈴ちゃんが、VintageNOTEのファンで、私に勧めてくれたんですけど、アルバムの”マラウィーの夜”よく聞いてます。
森園:エンジェルクルー・・・Fendy鈴ですか?(森園は、自分が育てたとは言わず)
早紀:知りませんか、Fendy鈴!すごい人気ですよ。クッキング・コンパニオン!この間は、徹子の部屋に出てました。
森園:徹子さんまだやってるんですか凄いな。
早紀:アルバムの、最後の曲の”宇宙に広がる青い空”が一番好で、意味をあんまり考えずに、お母さんありがとうって、いう歌だと思って聞いてたんですけど、Fendy鈴に話したら”いい曲だけど凄く残酷だよね”って言われて、良く聞き直したら・・自爆テロで死んだ母親が埋もれたままのガレキをステージにして故郷で凱旋ライブで歌ってる歌だって知って・・・
・・・つらいことがあると、どうしても聞きたくなって・・・いつも号泣して聞いてます。
森園:ありがとうございます。あの歌の正しい聞き方ですね。どんなつらいことが有っても前向きに生きるための歌です。
早紀:アルバム全体としても好きなんですけど、実話ですか?
森園:Hiliは、実在したイスラエルの女性兵士です。後は、ご想像にお任せします。
早紀:マラウィーの夜の最初の曲、、意味深ですよね。あんな出会いが本当だったら一生忘れられないですよ。
森園:ありがとうございました。もう、自分で行けます。これ、新曲のデモも配信してますんで良ければ・・
森園は、携帯ケースからYoutubeの検索ワードの書いてある名刺を早紀に渡した。