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エンジェルライフ・Lovely  作者: 森嶋直斗
5/10

エンジェルライフLovely⑤日本に来たカルロ。カルメンを残しイタリアに帰った。連絡もつかなくなり変えてこない!

アクセサリー作りの機械を取りにイタリアに帰ったカルロ。連絡がつかなくなり2週間以上たつ。

”イタリア人だからな・・浮気ぐらいならあきらめるか・・

      ・・ほんとに帰ってこないのか?・・・

             エライザは、深酒の日が多くなった。

イタリアから日本に帰ってきたエライザは、カルロの母、カルメンの治療に悩んでいた。カルメンは、エライザが紹介した。ローマの医師を受信し、放射線治療を数回受けたが、結果が思わしくない。ローマでの放射線治療も一般的に、日本で行われている治療より高度の治療であったので、エライザは、結果に落胆していた。現状の日本で受けられる治療方法でも症状が改善する見込みがないのに、カルメン、カルロを日本に呼んでしまっていた。


あさこ:最近、遅くまで何やってるの?

エライザ:イタリアで、出会った患者さんの治療に悩んでて・・研究対象として呼んだんだけど、治療の目途が立ってなくて。

あさこ:難しい治療だから、研究対象なんだし、患者さんも難しいのは分かってるんでしょ。

エライザ:セントレアに友達迎えに行ってきます!じゃっ、お願いします!

あさこ:なんか・・そのわりに楽しそうだけど・・


中部国際空港、セントレア

到着ロビーでエライザが待っていると、


カルロ:エライザ!久しぶり!

エライザ:カルロ!カルメン! 久しぶり!

ベニスで知り合った花飾り職人の小久保カルロと車いすを押されているのは、母の小久保カルメン。エライザは、二人を渥美病院の最上階に増設した、通称:モトズラウンジに連れてきた。ここは、小林元旦が私費で建設した入院室。入院室と言っても何部屋もあって、メインベッドルームからは太平洋が一望できる絶景。キッチンなどの水回りも最高級のペントハウス並みで、入院室とは、名ばかりの宿泊施設となっている。

カルロ、カルメンは、リフォームした後、このモトズラウンジで生活する予定だ。部屋に入ってきた、カルロ、カルメンをあさかが迎えた。

エライザ:あさかさんこちらはカルロ、お母さんのカルメン

     カルロ!こちらが、話してた看護師長のあさかさん。

そこへ、ういかが上がってきた。

ういか:カルロ!久しぶりやな 元気してた!(ミャーha?)

カルロ:元気してたよ。この猫は・・・

ういか:育像です(mya-ア)ここで飼ってるの。お母さんの調子はどう・・

カルロ:お母さんは、あまりよくないね。

エライザ:貴賓室に準備してる検査機器を研究対象として使わせてもらう予定です。もちろん私の研究テーマとして費用は私が持つ。成果が上がればエンジェルクラウドに負担してもらうつもり。私が現地で診断して、ローマの専門医に紹介したんだけど、悪性の骨肉腫で少しづつ進行している。光免疫療法の照射機材にとっても骨肉腫の治療に使えれば今後の治療に役立つでしょ。

ういか:治療、研究は、もちろん第一目的だろうけど・・もう一匹鳥がおるんちゃう。1石二鳥言うて!

エライザ:また余計な散策して

あさこ:どういうこと?

ういか:エライザも夢見る乙女と言うことです。


モトズラウンジのリフォームが終わるまで、貴賓室を使わせてもらう。夕食を囲んで、

エライザ:カルメンのギターはすごく心に染みるんです。

カルロ:最近は、足だけじゃなくて肩も痛いからほとんど弾けないね。

ういか:ローマの病院で見てもらっても良くならんかったんか?

カルロ:痛み止めをくれるだけです。ローマに行ってガンの専門医に診てもらいました。でも、よくならない。

エライザ:カルメンの骨肉腫は、子供のころかららしいの。進行が極めて遅い、特殊な種類じゃないかと思って。

カルロがエライザにワインを注ぎながら

カルロ:エライザは相変わらずよく飲むね。

エライザ:カルロはぜんぜん飲まないね。

カルロ:コロナで観光客が全く来なかったからワインを飲む余裕は無いです。

ういか:ここは、全部研究とタイアップやから・・飲んで!

カルロ:そうですか!じゃ頂きます。

カルロが、グラスのワインを飲み干すと、ういかがじゃぶじゃぶと注いだ。

あさこ:カルロ!気を付けて・・・ういかやエライザとおんなじ調子で飲んだら明日の晩まで寝たきりだよ。

カルロ:分かってます。ベニスで二人は凄かったからね。

あさこと母、カルメンは食事を取ると部屋に戻った。


Fendy鈴が取り寄せたスリーバーレルが何本か有った。ういかがそれを持ってきてロックグラスを3つ持ってきて、

ういか:朋ちゃんが死んでもう一年や。このブランデー、朋ちゃんが好きだったやつや。

カルロと別れて私は、トルコに行ったんやけど・・・事故で死んだ仲間がいてるんや・・・

カルロ:エライザに聞きました。

ういか:そうなんや・・たまには連絡してたんやね。

カルロ:そう、いつも電話くれるよ。

ういか:いつも?

エライザ:カルロ!余計な事言うな!

ういか:なるほどね。一石二鳥どころか、もう焼き鳥にして食ってるんか・・・

エライザ:ただの友達として、お母さんのことも心配だし、、医者として、医者

ういか:医者・・ね。はい!飲もう!朋美に献杯!

カルロ:これは、?

エライザ:献杯って言って死んだ人の分。でも、献杯した後は、誰が飲んでもいいよ。

カルロ:じゃ、僕飲んでみます。

カルロは、飲んだこともないブランデーのロックをワインのように口に含んだ。目を白黒させやっとの思いで飲みこむと・・

カルロ:ワーオっ熱いねノド、フォーッ!

エライザ:大丈夫?酔っぱらうよ。

カルロ:でも、元気出る!


ういかもエライザにあおられてすっかり酔っぱらった。

ういか:もう今日は、こんくらいでえ・・勘弁したるか。。もう、ねるわっと、貴賓室のゲストルームに勝手に潜り込んだ。

カルロはつぶれてソファーで寝ている。

エライザは、片付けをして、自分に新しいスリーバーレルのロックを作るとバルコニーで飲んでいる。

星を見つめながら・・朋美を思い出していた。

気が付くとカルロが起きてきてエライザを後ろから抱きしめた。

カルロ:亡くなった朋美さんは、ベニスで暮らすのが夢だったんだよね。

エライザは、カルロの腕に巻かれ静かに泣いた。カルロはエライザの前に回るとしゃがんでエライザのまぶたにキスをした。

エライザがカルロを見上げると二つの唇が重なり合った。唇を絡めたままエライザが、

エライザ:いきなり!ズルイっ

と、カルロの下唇をくわえた。カルロは、下唇をエライザにくわえられたまま・・

カルロ:おばあちゃんの教えです。”腕の中で好きな人が、泣いてたら、キスをしなければいけない。”

エライザ:なにそ・・・・んーnぁっ

星空に見守られながらいつまでもお互いの唇くわえ合いながらじゃれている。


あさこ:おはようございます。また、そうとう飲んだ、と、言うか、飲ませた・・?

エライザ:そうでもないですよ。

あさこ:ういかは、今日は使い物にならないよ。

エライザ:勝手に張り合って飲むからですよ。私一人で大丈夫です。


カルロが、下のビュッフェからカルメンを連れて上がってきた。

カルロ:おはようございます。朝ごはんおいしかったです。

カルメン:ありがとございます。おいしかった。


きょうからカルメンの治療を始める。治療はガーデンホテルの貴賓室にある診療施設。奈央(森園奈央)の残した診療機器が、設置されている。結果は、分からないが最新の照射補助剤を使ってみる。

エライザ:カルメン!先に点滴入れとくね。

カルメンに点滴を入れるために診療室に連れて行く。点滴を入れると点滴台を一緒に押しながら、車いすのカルメンを日当たりのいいバルコニーへ連れて行った。カルロが中で見ている。遠くから聞こえる波の音に

ときおり聞こえるトンビの鳴きピーヒョロロ(ミャーロ)

カルメン:えっ 育像?

カルロもでてきた。

カルロ:育像も来てたのか。

育像がカルメンの足にまとわりついている

カルロが抱き上げてカルメンのひざの上に置いた。おとなしく座って毛ずくろいをはじめた。


照射室で

エライザは、カルロと母、カルメンの治療方法について話し合っていた。

エライザ:カルロ、お母さんの治療費は心配なくていい。その代わりお母さんの治療のデータや結果を全て公開させて欲しい。世界中で同じような病気に苦しむ人の治療の参考になるから。

カルロ:分かった。お金が無くて治療は出来なかったけど僕たちにとってはありがたい話です。でもお母さんの病気はそんなに特殊な病気なんですか?

エライザ:骨肉腫という病気は多くは無いけど事例はある程度ある病気でそんなに特殊ではないわ。ただ、骨が変形していたりしていて治療が難しい。

カルロ:お母さんの足は治る?また歩ける?

エライザ:分からない。一生懸命やってみる。お母さんの骨のガンは、いろんな場所に転移していて治療には時間が掛かると思う。歩けたとしても1年とか掛かるんじゃないかな・・

カルロ:治療はエライザに任せるよ。でも頼みが有るんだ。

エライザ:なに?

カルロ:僕は、お母さんを残してベニスには帰れない。僕も日本に残ることになる。だから、日本で何か仕事がしたい。でも、僕は花飾りやアクセサリーしか作ったことが無いからベニスに花飾りを作る道具を取りに帰りたいんだ。

エライザ:カルロが帰ってる間はお母さんの面倒は私が見る。帰っていいよ。

カルロ:ありがとう。

カルロは、4日後の便でベニスに返った。


エライザはあさこと相談して貴賓室を開けてエンジェルライフの活動を再開できるように、カルメンの治療を

モトズラウンジで出来るようにリノベーションすることにした。

モトズラウンジならエライザやカルロも含めて4,5人が生活するには十分すぎる広さがある。ガン治療の最新機材は、現段階ではクライアントには試行できない。臨床試験が終わるまでは、試験治療を希望する一般の患者さんに対応するためにも田原本院の渥美病院の方が稼働率が高くなる。

すっかりなついた三毛猫の育像と一緒にリホームが終わったモトズラウンジにやってきた。カルメンは、窓際の朝日の見える部屋に。エライザは奥の寝室に入った。ここは、エライザが最初に渥美病院に赴任して、モトズラウンジの担当になったときに勝手に居座った思い出の部屋だ。鏡台の物入れにエライザが忘れていった美顔器がまだ入っていた。


エライザ:あのスケベ爺め!美顔器をバイブとか言ってたな。変なことに使ってないだろうな?

そう思うと、診療用のアルコールで消毒して、

エライザ:これで良し! おーっつ電源入るじゃん

と、お肌の手入れを始めた。カルロのことを思い出していた。花飾りの道具を取りに行ったままで、まだ帰ってこない。

来週には帰ると電話が来たが、1週間以上会っていないと寂しくなった。

エライザ:”あいつ、いきなりキスしてきやがって”・・・

     ”腕の中で、好きな人が泣いてたらキスしないといけない”って、

      お婆ちゃんの言いつけって、ホントか?イタリア人だからな・・・

薄笑みを浮かべて美顔器をコロコロするエライザには、ぶっ飛び天才脳外科医の獣のような気配は感じられなかった。

カルロ!早く帰ってきて!と抱き枕を抱きしめてチューとしながら・・・

エライザ:家にかけても電話に出ないし、携帯は、電源切ってやがる・・・

・・・もしや・・イケメン・・イタリア人

     浮気ぐらい、あきらめんと無理か・・・

自分も自由奔放のエライザは、あまり嫉妬深くない放任主義だが・・・ここ数日連絡がつかずさすがに心配になってきた。

エライザ:まさか、他にも彼女がいて・・お母さん預けといて・・もう、帰ってこないとか・・

  まさかネ!カルロ~!チュ~


カルメンは、太陽が部屋の奥まで届く明るい部屋を気に入っていた。足が悪くなって一人で暮らせなくなり花飾りを売るカルロの所に引き取られた。

都会の部屋は壁に囲まれ日差しは入らない。子供の頃は今も所有する郊外の自宅でヤギや羊を放牧して生活していた。


カルメン:育像!この部屋気に入った?

育像も大きくなり自分でカルメンの膝にポンと、飛び乗って来る。カルメンが車いすのまま昼寝をしていると必ずどこからかやってきて、育像は自分もカルメンの膝で昼寝をしている。

カルメンがいるから、エライザや早紀もいることが多くなり、モトズラウンジには、元の時とは違った雰囲気が流れている。おまけに、イケメンのイタリア人がもうすぐ帰ってくるとなると女性人たちは、そっちの方が気になっている。


それにしてもカルロの帰りが遅い。電話もつながらないのは心配になって当然だ。エライザも深酒する日が増えてきた。エライザのふわふわした笑顔は、消えてゆく・・・・

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