エンジェルライフ④ベニスでの講演を迎え、緊張のリハーサル。本番!。恋愛どころでは無いのかも・・
エンジェルライフにとって、重要な講演の日。エライザとういかは、緊張してリハーサルに向かった。恋愛どころでは無いのかもしれない。未来の王子さまは、通り過ぎてしまうのか?
④
ベニスで、花飾り職人をしているカルロと出会ったエライザとWiっか(ういか)は、公演の日を迎えリハーサルに行く。
エライザ:ういか!起きて!リハーサルも有るからもうすぐ出るよ!
ういか:まだ早いんじゃない。抜けてないな・・・ワイン安物か・・・
エライザ:ここの朝食美味しいって有名だよ。先に行くよ!
ういか:すぐ行きまーす。
朝食を済ませてエライザが帰ってきた。
エライザ:まだ寝てんの!出発するよ
ういか:えーっ朝食は?
エライザ:もう朝食の時間終わりだよ。
ういか:カルロん家で料理、美味しいのに酒ばっか飲んであんまり食べてなかったから・・今、お腹減ってきた。
エライザ:なんか向こうで食べれるよ。出るよ。
ういか:分かった。
エライザ:エンジェルライフの小久保エライザと早夏ういかです。
守衛:えーっと・・写真と・・
ういかのすっぴんに守衛が困惑していた。
ういか:早夏ういかですけど!なにか!
守衛:失礼しました!どうぞ!
公演会場の守衛が関係者出入り口に案内してくれた。て関係者の控室に入る。
エライザは、用意してきた音楽と映像の入ったUSBをあいさつに来たADに渡すと、
エライザ:30分後から通しでリハします。全部流して。
リハーサルが始まった。
エライザ:ういか、リハーサル全部流すけど照明のOFFだけチェックして、タイムテーブルにメモさせて。スポットライトあてるのとか、照明の本能で付いてくるから ブラックアウトするタイミングだけ遅れないように。
エライザ(マイクで):それでは、みなさんリハ通します。カメラさん私の立ち位置チェックしてだめならスグ止めて!
じゃ! お願いします!
今回の公演は、エンジェルライフの健康診断、健康管理、高度医療、レクレーション、ナイトライフを総合的に紹介し、そのすべてをコンシェルジュするのが接待看護(hospitality nursing)を提供するエンジェルクルーであり、年間を通じて田原市に身を寄せることが心身ともに有益なことを理解してもらえるようプログラムされている。
公演の中で、エライザと、ういかによるLiveもありエンジェルライフのファンにとって特別な公演である。
エライザ:お疲れ様です。本番よろしくお願いします。
ういか:エライザ!お疲れ様!すっかり酒抜けたわ。
エライザ:さすがにリハでも圧倒的な歌唱力だね。関係者のスタッフ泣いてたぞ。
ういか:本番は、更に気合入れますよ。
控室に戻り
ういか:えーっ ロケ弁無いんですか。
エライザ:ロケ弁なんてハリウッドでもないよ。日本だけ・・スターは、みんな専属シェフ付きのキャンピングカー。
ういか:なんか食べんともう、持ちません。
エライザ:近くにバーガーキング有ったから行く?
ういか:いくいく。
バーガーキングで、
ういか:ハンバーガーL ポテトL コーラもLで、
エライザ:大丈夫? 私はポテトだけ SでOK
ハンバーガーが、運ばれてきた。
ういか:L私です。ってデカすぎだろ!ハンバーガー?座布団か! コーラは、バケツだよ
エライザ:食べきれなかったらもってかえれるから。
いよいよ、本番が始まる。
イタリアの有名コメディアンが前座を務めて、笑いを誘い会場も盛り上がってきた。
エンジェルライフのテーマソングが流れる。
会場が暗転しいよいよエライザたちの出番。
いきなり二人の歌から始まるオープニング!
歌い出す二人にピン照明が当てられ拍手と歓声が爆発する。最前列の数人は既に失神しスタッフに次々と介護されている。
一人の女性の意識が戻らないのでスタッフが慌てている。
それに気づいたエライザが女豹のようにステージを駈け、舞い降りながらういかに叫ぶ!
エライザ:ういか!続けて!歌って!
エライザは、意識を失ったままの一人の女性に駆け寄り、自分のスカーフを女性の口に押し込んだ。
頬を叩きながら背中を強く加圧した。気づいた女性は、エライザに抱かれていることに気づくと号泣してしがみついた。
エライザは、女性の口からスカーフを引き抜くと女性の手首に縛る。女性を抱き起し頬を合わせ抱きしめた。
ゆっくりと舞い踊りながらステージに戻る。
ういかが迎えるようにエライザの手を取るとエライザはういかに抱かれながら歌い出した。
二人はステージを走り回り会場のエネルギーを一つに束ねてゆく。会場全体が歌い、揺れる。
エライザの合図で、ドラムがズドンと締める!暗転・・うまく決まった!
暗闇でエライザが静かに語り始めた。ステージにひとつ、ひとつ と ともり始めるキャンドルの光
エライザ:エンジェルライフの歴史は失敗の歴史です。失うことになった一つ一つの光がわたしちを導いてくれました。大切なものはただ一つ、明日への希望です。すべての人に希望の光が届けられるように。エンジェルライフは、けして消えてしまった光をわすれません! ピンスポットがういかにあたり
ういかがステージの真ん中に走ってきた。
ういか:びっくりしたね。エライザ!ね。いきなり歌うのほっぱらかしてステージ下りながら私にやめるな!歌え!って
私の方が歌はうまいからエライザおらんでも大丈夫なんですけど・・そう、私ね看護師なんですけど看護苦手なんです。その分、歌わせてもらってるんですけど・・
歌ってる最中にあんなことされたらね、また、マスコミにエライザが歌唱中、ステージを飛び降り、失神した観客を救助!やらせでは!?
なんて書かれますよ!さっき倒れてたお客さん!! もう大丈夫ですか!!?
スカーフをもらった女性がピンで抜かれスカーフを巻いた手を振っている。
ういか:もう大丈夫そうですね。ごめんなさいね。かっこよすぎて!
そのスカーフ!イイ匂いするでしょ!それね、私の香水!エライザが盗んだんデス!(会場??)
ちょっと・・・ちょっと! ちょっと・・同時通訳さん私のマシンガントークに付いてきてないじゃないですか!
時間上げますからゆっくり通訳してください。いいですか!(会場ザワザワ)
と、言って、ういかは、ステージの真ん中にどっかと座り込む
良いですか・・いきまっせ!
倒れてたお姉さん大丈夫(拍手)
スカーフ イイ匂いでしょ(拍手)
それ、私の香水のにおいなんですよ(拍手)まてまて、
ここね拍手ちゃうねん ここはつっこまあかん
通訳さん通訳できてます? もう一回行きますよ
私の香水のにおいなんですよ
(会場:なんでやねん!)そうそう
エライザが、イイ匂いだって言って盗んだんです。
(会場:ほなアホな・・)
エライザ:ういか!何言ってんの 盗んでないし
だいたいお客さんに突っ込まして、通訳は吉本から呼んでるから良いけど・・
オイ通訳!!突っ込むところ・・
(通訳:なんでやねん!わて、イタリア人でっせ!)
(会場:拍手!)
公演は大爆笑の連続。体験談では、号泣し、汗と涙と大歓声の中で大成功した。
幕が下りると、そそくさと控室に戻るエライザ。ねぎらいの言葉を掛ける関係者を書き分け部屋に入った。
舞台衣装を脱ぐと、真っ黒なワンピースに着替えた。深呼吸をしながら時計を見上げた。
エライザ:うn
部屋を飛び出すとレンガ弊の間を黒猫のようにすり抜けて、疾走する。・・
カルロが店を片付けていた。
エライザ:お疲れさま!
カルロ:お疲れさま! 公演はうまくいった?
エライザ:大成功!お客さん喜んでくれた!店はどうだった?
カルロ:こちらも大成功!昨日のファスティバるからお客さんがいっぱいで、花飾りは売り切れました。
エライザ:すごいじゃん!
カルロ:誰かが、この店でエライザを見たと、ツイートしたみたいで、僕の写真を撮っていく人もいたよ。
でも、エンジェルライフの公演が始まるころには、人通りがなくなったよ。
エライザ:そうなんだ!ライブ配信もしてたから・・ みんなが楽しんでみてくれてたら嬉しい。
カルロ:すぐ片付けるからちょっと待ってて・・・
エライザ:これは、中にしまって良い?
カルロ:ありがと・・その傘もたたんでもらって良い・・
一緒に店じまいをするエライザの笑顔はステージで振りまく笑顔とちがって、幼さの残る溢れるような笑みだった。
店を一緒に片付けると・・
カルロ:何を食べたい?
エライザ:地元の人が食べるやつ!
カルロ:焼き鳥好き?
エライザ:大好きだよ。
カルロ:じゃっ、良いところ有るから行こう!
どちらからともなく、指を絡めた二人、港に向かって歩き出した。
人並もまばらになったベニスのレンガ道を進む二人。道は少し凸凹して歩きにくい。バランスを崩し、よろけたり
支え合ったり、そのたびに見つめ合って笑った。
港の岸壁に出ると少し向こうに屋台が並んでいた。近づいていくと男たちがワインを片手に串焼きを楽しんでいた。
二人は、一番端っこの店先の椅子に座ると
カルロ:エライザ・・
エライザ:白
カルロ:僕は・・・
カルロが飲み物をオーダーしに行った。すぐに両手にワンを持って帰ってきた。
カルロ:はい、どうぞ
エライザ:ありがと・乾杯! うん、美味しい、ブドウジュースみたい。カルロのは?
カルロ:ロゼです。少し皮付きのブドウを混ぜて作った白ワインです。
エライザ:ちょっと、ちょうだい!
と、言って一口飲んでみた。
エライザ:うん 美味しい けど ちょっと苦みもあるね。私は今はこの白で良い。
カルロ:ここは、イタリヤ料理ではありません。アフリカの移民たちが集まって始めた焼き鳥の屋台です。観光客は、ほとんどいません。
二人は屋台に並んでいる焼き鳥を選びに行った。
カルロ:屋台ごとに鶏の焼いている種類が違います。例えばこの店はトサカだけの専門店です。
エライザ:トサカ?? 食べられるの?
カルロ:食べれます。こりこりしておいしいよ。
焼いているトサカを見て・・
エライザ:うWぁ なんかグロイ・・
カルロ:苦手ですか?こっちの店は、皮専門です。全ての店が炭で焼いているので火加減が簡単に調整できません。
おんなじ場所の肉だけなら焼きやすいでしょ。店全体で鳥1羽を料理する仕組みです。
エライザ:面白いね。お客さんは自分の食べたい部位のお店に行って買ってくるんだね。
カルロ:一番高いのは足つきのモモです。焼くのも時間がかかるから最初に頼んでおいたほうがいいよ。
高い肉は、真ん中のへんの屋台にあります。端っこの店はトサカとかもみじとか皮の店です。
エライザ:もみじ?って
カルロ:足のことです。
エライザ:足も食べるの
カルロ:スープのだしをとるために長く煮込んだ鳥の足にスパイスで味をつけて焼いています。
一番安くてワインのつまみに食べやすいから一番人気です。トサカは、1羽に一つ、足は1羽に二つだから足は、半額!
エライザ:長く煮込んでるのに?足のお店かわいそっ・見に行って良い!
二人はそれぞれに屋台を回って好きなものを買ってきた。
エライザ:あらためて、乾杯!
カルロ:ほら もみじ! 食べてみて!
エライザ:・・やっぱ・グロイな
カルロ:おいしいよ!
エライザは、恐る恐る足の端っこを噛んでみた。
エライザ:うぉーープッチ、あーあっ うまいうまい ガブっ うんn!
ワインをぐいっと飲み干した。
エライザ:辛っつ けど、うまっ!
カルロ:でしょ!
エライザ:ぐっろっ辛,うまい!
カルロ:・・グロ辛うまい ですか!
エライザ:・グロ辛うまい!大笑い
あっちこっちの店を回りワインを飲み干すエライザはあっという間に人気者に男たちは,
エンジェルクルーのエライザだと知っていても近づいてくることはなく笑ってみている。
エライザが屋台で焼き鳥やワインを頼むと一人の男が手を挙げて店主に合図すると目配せをした。
エライザが代金を払おうとすると・・
店主:支払いは、あちらの方が・・・
エライザが振り返ると
その男がワインをかざして笑っている。エライザもことを察し
エライザ:ありがとう! 乾杯!
もらったばかりのワインを飲み干して見せた。
エライザ:私にもう一杯!あちらの男性にも彼が飲んでいるものをもう一杯!彼のおごりで・・
グラスに満杯に注がれたワインをすすりながらもう一度、男に乾杯の合図をして席に戻った。
エライザ:おごってもらっちゃった!
カルロ:常連のお客さんは、いちいちお金を払うのがめんどくさいから後でまとめて払うんだ。
エライザ:カルロはあんまり飲まないね。
カルロ:あんまり強くないよ。特別な時しか飲まない。って言うか・飲めない。生活も苦しいから、Wiっかチップは天使の恵みです。
エライザ:エンジェルライフだけに!
カルロ:??
エライザ:もっとおごってもらっちゃお・・
エライザは屋台を見て回る 先ほどの男はもういない。しばらく見て回ったが、おごってくれる気配もない。
エライザ:すいませんモモって焼きあがりました。
注文していたモモ肉をもらい支払いをすますと、やっぱりなみなみと注がれた左手のワインをすすりながら
右手のモモをかじった。カルロのいる席に戻ると
カルロ:エライザ、じっとして・・
両手がふさがっているエライザの口の周りについた焼き鳥の食べ後をハンカチで拭って、
カルロ:しかし、よく飲むし、よく食べるね!
エライザ:はい! みんなに言われます。
カルロ:もうすぐ店が閉まります。もっと食べますか?
エライザ:ハイ ここっ 食べて!
自分がかじったモモの反対側をカルロに食べさせワインを飲み干すと、
エライザ:焼き鳥はもういい もう一杯ワインもらってくる。
戻ってきたエライザは、
エライザ:カルロ、帰ろっ!ねえ、お母さんになんか買ってく?
カルロ:大丈夫です。昨日の料理がいっぱい余っています。周りの人にも分けたけど、大分残っています。
スープ類や煮物は、火を入れて長持ちしますからしばらくは食べていけます。
カルロ:ママ帰ったよ
返事はない
カルロ:ママは、寝てるね。もうちょと飲む?
エライザ:(小声で)いい?
カルロ:昨日の空きビンを片付けるの大変でした。近所の人にバーでも始めたのって聞かれました。
エライザ:ママとの話も楽しくて、、いっぱい飲んだね。
カルロ:昼間少し買ってきました。ジンです。ボンベイ・サファイヤ。ロックでいいですか?
エライザ:おねがいしまーす。
カルロ:はい 強いよ!
グラスの半分ほどを一気に口に入れると・・
エライザ:ごくっ ・・・き~っ きつー 強いわ!
カルロ:アルコール分は40%ぐらいだけど、もっと強く感じるでしょ。
普通はカクテルで使うお酒です。すごい強い人はビンごと冷凍庫に入れて、ストレートで飲みます。
エライザ:冷凍庫で凍らないの?
カルロ:アルコール度数が高いから凍りません。
ほんとかウソかエライザが言った
エライザ:ちょっ酔っぱらっちゃったかな・・
カルロ:地元のワインは、少しアルコール度数が高いですから 15杯は飲んでますよ。
エライザ:カルロは付き合っている人いないの?
カルロ:お母さんの介護もあるしお店もあるし、時間ないですね。
エライザ:今度、お母さんの診察してみる?
カルロ:そんなお金ないですよ。
エライザ:エンジェルライフってお金持ち専用のおもてなし看護だけだと思ってる人も多いし、
その豪華な介護環境が人々に夢を与えて人気が出ているのも事実だけど・・
富裕層の資金を活用して貧しい人にも十分な医療や介護環境を提供しているの
公演の前にイタリアのお医者さんたちとミーティングがあってエンジェルライフから資金提供することに
なってるの。知り合ったお医者さん紹介するから行ってみて!費用はエンジェルライフが負担する。
私じゃないから心配しないで。
カルロ:お母さんに話してみます。
エライザ:帰るね・・・
カルロ:エライザの手を取って外に出た。
夜空を見上げるカルロ
カルロ:今日は曇ってますね。明日は、強い雨みたいです。僕の心みたいです。
エライザ:えっ どういうこと・・・
カルロ:夢のような出来事でした。エライザに直接、会えるなんて・・でも、明日はきっと泣いています。
エライザ:そこまで送って・・
指を絡め合って、引っ張り合って、レンガ道をつまづきながらヨロケテ歩いた。
時間を惜しむようにゆっくり、ゆっくり と、
エライザ:遠くまで来ちゃったね。ホテルはもうそこだから ありがと!
カルロ:さようなら
エライザ:今日は、さようなら! おやすみ!
絡めた指に力を入れ、引き寄せようとするカルロの手を振りほどき
エライザ:必ずお母さんと病院に行ってね。バイバイ!と、手を振った。
カルロは、エライザが路地を曲がり見えなくなっても動けないでいた。
はてさて、この二人、惹かれ合っているのか旅先の思い出で終わってしまうのか・・・