第九十四話 ギルドで注目の的に
時刻は朝になり、眩しい日差しが俺の顔を照らしていた。またぐっすり寝込んでいたようだ。ベッドの寝心地が良すぎるな。
「ロバート、まだ寝てるの!?」
「今起きたところさ。すぐに下に行くから」
パメラの声が聞こえ、俺も起床し支度をした。
一階の食堂に行くと、すでにパメラとエイダは起きて待っていた。二人とも早起きだな、いや俺が遅すぎるだけか。
「おはよう、二人とも。いやぁ、昨日はぐっすり眠れてね。ベッドが気持ち良すぎて」
「それは何よりね。でもおかげで私達一時間も待たされたわ」
「え? そんなに早起きだったのか、ごめんそれは気づかなかった」
「何言ってんの? 昨日も言ってたでしょ、今日はやることが多いって……」
パメラが今日の予定を簡単に話してくれた。まずギルドへ行って、昨日鑑定を頼んだ大量の戦利品の報酬をもらう。
そして午後からは商人のディエゴを助けるため、東の大灯台へ向かう。東の大灯台はエイダが昔お世話になったという魔道士のルウミラが待ち構えている。
「ルウミラを倒すための方法、何かある?」
パメラがテーブルの上にディエゴが閉じ込められた〈シーリングボール〉を出して言った。
「そんなこと言われても、すぐに答えなんか出てこないよ。エイダは何かいい考えはある?」
「え? いや、私は……」
エイダの様子がおかしい。
「ルウミラの弱点とか知らない? あなたは彼女と交流があるんでしょ?」」
「いや……えぇとね。その……なんというか、ここで考えてもしょうがないから、ちょっと気分転換にあそこに行かないかなって」
「あそこ? それってどこのことだい?」
「ほら、ソーニャの町で観光名所として知られる時計台よ。ちょうどギルドの近くにあるから、寄っていかないかなって」
「時計台か、そういえばそんなのあったな。ん? 時計台?」
俺はここでふと思い出した。ソーニャの町のギルドの北側に確かに時計台がある。そしてその時計台には、実は超重要な隠しアイテムがあった。
エイダもそのアイテムの存在を知っているのか。それとも、本当にただの気晴らしなのだろうか。
「わかった。エイダがそこまで言うなら行ってみようか」
「でも、その前にギルドに寄りましょう。昨日鑑定を頼んだ戦利品の報酬をもらわないと」
俺達はそれから朝食を済ませ、宿をあとにした。
宿をあとにしてまずギルドへ足を運んだ。昨日のギルドに行くと、受付嬢のレミーがいた。だけどかなり機嫌が悪そうだ。
「おはよう、レミー。って、大丈夫か? すごく気分が悪そうだけど……」
「誰のおかげでこんな状態になったと思います?」
「え? なんのこと……って、あ! そうか思い出した」
「ロバートさん! いくらなんでも戦利品多すぎです! あれから五時間もかかって、帰ったのは深夜になったんですよ!」
レミーが怒り出した。そういえば、ジョニーがレミーに鑑定を頼んでいたんだっけ。だけどまさか五時間もあれから一人で作業をしていたのか、なんて仕事熱心な女性だ。
「ごめん、レミー。はは、俺も確かに取り過ぎたなって思ってるよ、だけど討伐した相手が大物過ぎたからね。許してくれよ」
「そうですね。確かにロバートさんのおかげでだいぶ平穏になりました。これは報酬です、受け取ってください」
レミーがカウンターの上にずっしりと重い金貨の山を乗せた。全部で一体何枚あるんだ。
「こ、これが……報酬額?」
「七つ星のアナコンダの素材、五つ星モンスターの素材も十個ほど、さらに大量のアイアンバットの牙と翼、数え切れないほどありましたが、全部で金貨五十枚ほどに相当します」
「金貨五十枚!?」
後ろにいたパメラが大声を出した。すると周りにいた戦士達も気づいてしまった。
「金貨五十枚だって!? 本当だ、すげぇ!」
「四つ星、いや五つ星モンスターの素材か? 一体あんたら何を倒したんだ!?」
「もう、パメラったら」
「ごめんなさい。予想以上に報酬が多かったからつい……」
パメラの反応も理解できる。昨日すでにジョニーからケツァルコアトルの討伐報酬として、金貨二百枚ももらっていた。その副産物である、雑魚モンスターやアナコンダの素材の戦利品の報酬が、まさか金貨五十枚にもなるとは予想外だ。
それだけ大量のモンスターを倒したってことなんだけど、アナコンダの討伐報酬も合わせるとこの二日間で金貨三百五十枚、いや初日のアリゲーターベアの討伐報酬も合わせると金貨四百枚だ。もらいすぎだな。
「はは、なんというか俺達大金持ちになっちゃった」
「あんた貴族のロバート・ヒューリックか? ヒューリック家の長男がどうして戦士なんか?」
「レベルはいくつなんだ? あとその持っている剣はなんだ? 見たことない剣だが?」
まずい。周りにきた野次馬の数がゾロゾロと増えすぎて、動くに動けなくなった。
「いい加減にして! 私達は忙しいの、これから大事な用があるんだから!」
「その通りだ、お前達!」
突然男性の声が聞こえた。ジョニーが両手を叩いて、ギャラリーを静めてくれた。
「ジョニーさん? あぁ、すみません。あまりに報酬が多すぎたものでつい……」
「他人がどれだけの報酬を得たか気になる気持ちはわかるが、そんなことしていると簡単な依頼がすぐになくなってしまうぞ」
ジョニーが依頼書が張られた掲示板を指差した。
「へへ、このニードルプテラ討伐の依頼は俺のものだ」
「あぁ!? てめぇ、それは俺が狙ってた依頼だぞ!」
「言っておくが早い者勝ちだ。自分ができそうな依頼がなくなる前に、さっさと依頼書を手に取れよ」
俺達の周りに集まっていた野次馬戦士達も徐々に散開した。
「ふぅ、ありがとうジョニーさん。助かったよ」
「礼には及ばん、君達は特別だからな。それよりこんな場所で呑気に時間をつぶすわけにはいかんだろう?」
「わかってます。それじゃ俺達はこれで……」
「あのマスター。彼らにあの依頼を」
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